HyAS住宅不動産業経営戦略コラム

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住宅・不動産会社の経営と相続

家族の財産管理、「相続」がキーテーマに

第1回のコラムで、物件管理から家族の財産管理へと視点を変える必要性について書きました。賃貸管理会社が家族の財産管理をするにあたってカギとなる、押さえておくべきテーマは、「相続」です。

前回のコラムで、相続によって知らずのうちに自社の管理物件が売却されてしまったという実例を挙げました。このときも、顧客の相続問題について自社が把握できており、不動産資産をどうするかについて顧客から相談を受ける関係性を築けていれば、顧客が離れることはなかったわけです。

相続が重要なテーマであるというのには、大きく2つの理由があります。

まず一つ目の理由は、市場の拡大です。現在、日本の家計資産の約7割は65歳以上の高齢者の世帯に偏在しています。日本の人口構成のボリュームゾーンである団塊の世代がいまや70代となり、今後、資産を持った世代が亡くなると、必ず多くの相続の問題が発生します。国も相続税の実質的な引き上げとともに、贈与税の引き下げを行い、高齢者世帯に偏った資産の若い世代への移転を促しています。相続資産の規模は「平均的に見積もっても年間 37 兆円」(2012,日本総研)という試算もあり、資産移転市場は膨大です。しかもこの資産移転はまだ長期にわたって続きます。そして、その移転する資産の内訳を見ると、家計資産の約7割は家や土地といった不動産資産です。少子高齢化の進行により住宅の一次取得者層の人口は減少、賃貸物件の借り手も減っていきますが、不動産自体は今後、相続を機に大量に動きます。そのときに、その不動産をどうするべきかという問題に関われるかどうかは不動産会社にとって大きな分岐点となります。

もう一つの理由は、そのような大相続時代が控えているにもかかわらず、一般の家庭の相続相談に応じる社会的なインフラが不整備であることです。ハイアスが行った「相続に関する意識調査」で、「相続相談は誰にしていますか(しようとしていますか)?」という問いに対して、約半数の48.9%の人は「誰に相談したら良いかわからない」、そして、それに次いで15.0%の人は

「血縁者」と回答しました。合わせると約64%は専門家に相談しないことになります。

相続は事前の準備が大切であるにもかかわらず、実際には誰に相談するべきかという相談先に対する社会的な共通認識も、その相談の受け皿となる社会的な基盤もないのです。相続対策は簡単ではなく、法律や税制、金融や不動産の知識が必要になります。また当事者同士だけでの話し合いは、感情のもつれから無用なトラブルになることもあります。そういう意味でも、専門的な知識と経験を持ったプロが第三者的に関与することが有効で、相続専門のプロに誰もがアクセスできる基盤を整備する必要があります。

では、だれがその任務を担うのか。先ほどのアンケートでは、相談先として血縁者の次から「弁護士」「司法書士」「税理士」「銀行」「不動産会社」の順になりました。しかし、先に書いたように、相続資産のうち約7割は不動産資産なのですから、相続では不動産の扱いが特に重要になります。不動産は現金などと違って、もっとも分けにくい資産です。しかも不動産には不動産特有の評価方法や、個別の事情が必ず絡んできます。売却額の試算や有効活用の選択肢の比較、さらに建築や取引にも精通していることが求められ、専門的な知識と経験が不可欠です。不動産や建築に詳しく相続に強い税理士や弁護士がいればいいですが、なかなかそういう人はいません。だからこそ、相続の相談は地域の不動産事情に明るく、不動産の評価や取引に強い地元の不動産の専門家がまず受けるべきだと考えます。しかし実際には相続の相談に乗れる不動産会社はまだまだ少ないのが現状です。世の中には大きなニーズが潜在しています。今、不動産の専門家である「不動産会社」が、不動産相続分野の専門家として名乗りをあげれば、大きなチャンスがあると言えるでしょう。

すべての家族に必ず訪れる相続の問題において、地域の不動産会社が果たせる役割は大きいです。インフラがなく、多くの家族が困っている今、自らの強みをいかして相続の分野で相談に乗ることができるようになれば、家族の世代を超えて信頼を得られるようになり、おのずとひとつの物件だけでなく、家族の財産全体を管理する立場になることができるはずです。

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