HyAS住宅不動産業経営戦略コラム

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住宅・不動産会社の経営と相続

「不動産×相続」で独立し、営業構造を構築

今回は、賃貸管理会社から「相続」を切り口として家族の財産管理会社へと進化を遂げている会社の実例を紹介します。
千葉県柏市にある不動産会社K社はそのひとつです。現在、K社は創業1年で社員は社長を含めて3人。特徴は、「不動産と相続のプロ」として看板を掲げて事業を行っていることです。

同社では、

・一方的な営業は一切していません。
・「先生」と呼ばれ、賃貸アパート・マンションのオーナーや地主のほうから相談に来ます。
・不動産オーナー、地主への提案で他社と競合になることがほぼなく、「言い値」で決まります。
・独自の営業構造を確立し、安定的な収益を見込める状態になっています。

実は同社の社長は本連載の1回目で紹介したK様。以前、茨城県の会社で賃貸管理部門の責任者をしていながら、相続がきっかけとなって自社の管理物件がオーナーの相続人である娘さんによってすべて売却され、大きな痛手を負いました。K様はこの経験ののち、不動産オーナーからの相続相談に乗れるようになることの必要性を感じるとともに、もし逆に相続に際しての相談が自分のところに集まるようになれば、賃貸物件の売買や管理、土地活用などその先の案件も自ずと出てくるはずだと、大きな可能性を感じて一念発起。賃貸管理業を行う傍ら、相続についての知識を身につけ、専門の部署を立ち上げました。

試行錯誤の末、K様が行うようにしたのは不動産オーナーのための「相続勉強会」です。オーナーに一方的に提案を持ちかけるのでなく、定期的に相続勉強会を開催することを通じて情報提供に努めるようにしました。やり取りのあった自社管理物件のオーナーに声をかけ、集まってもらったところで講師として話をすると、そのうち相談がひとつふたつと出てきます。すぐに収益につながらないような話が多く根気が必要ですが、「相続」を切り口に話をすると、今まで賃貸管理会社としてつき合っていた中では聞くことがなかったような家族間の不安や悩み、対処の仕方がわからない不動産の悩みなどを聞ける機会が増えました。

そしてある時、勉強会に参加した自社管理物件のオーナーから、込み入った相談を受けました。そのオーナーは長期にわたって自社で物件を管理していた方ですが、それまで相続について話したことは全くありませんでした。聞くと、実は最近がんで余命2年と宣告をされ、持っている不動産をどうにかしておきたいということでした。しかし複雑なのはその家庭環境。オーナーは結婚されているのですが、今の奥様とは互いに再婚同士で、それぞれ前の配偶者との間に成人して独立した子どもがいました。オーナーは特に大きな収益の上がっている物件を、今の奥様に相続させたいと思っていたようですが、もし次に奥様が亡くなったときのことを考えると、その物件の相続権は、奥様の実子である、奥様と奥様の前配偶者との間の子が持つこととなります。それはオーナーとしては本意ではなく、自分の実子も面白く思わないだろうと思い、時間もない中、対処方法を悩んでいるということだったのです。K様はいろいろな方法を考えて比較しましたが、最終的にオーナーのもっとも大切に思っていた奥様の意見を聞き、「後妻という立場で大きな賃貸物件を任されることへの不安な気持ちを第一に考えるべきだ」と、生前に物件を売却することを推しました。それは、不動産会社の営業マンとしてではなく、専門的な知識も持ったうえで、家族の思いを汲んだ相談者としての立場からの提案で、オーナーは深く考えたうえで納得してK様にすべてを委ねることにしたそうです。

以来、同じような悩みを持っている方が多いこと、そのような方に対して不動産の知識を持ったプロとしてできることが多いと確信を得たK様は、地域の不動産オーナーへアプローチを拡大、相談に来てくれる顧客との関係を構築していきました。そして昨年、不動産と相続のコンサルティングに特化したこのモデルに専念すべく独立をされたのです。

今の地域はもともと全くゆかりのない場所ですが、創業1年にして、地域での認知は着実に拡大し、相続勉強会には継続的に不動産オーナーが集まるように。またオーナーの相続相談に乗る中から不動産の売買や土地活用などの案件を預かることも増えました。こちらから営業をしなくてもお客様のほうから相談され、厚い信頼のもと家族の財産管理を委ねられるという状態を築いていっています。

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