幼児教育・保育料無償化は物価のマイナス要因?

今回は「幼児教育・保育料の無償化」についてです。
保育料を無償化すると景気にはマイナスになる?プラスになる?

 

■幼児教育・保育料無償化は物価のマイナス要因?

衆議院の解散後、新党が続々誕生したりしてにわかに政界が賑やかになってきましたね。
新しい政党の政策はまだはっきりとしませんが、自民党の政策はこれまでにかなり明確になっています。そのひとつが「人づくり革命」というもので、なかでも「幼児教育・保育料無償化」は子育て世代に向けて選挙期間中も前面に押し出していくことと思います。

その「幼児教育・保育料無償化」を実施すると、経済指標が悪くなるという記事がありました。安倍政権と日銀が目指しているデフレ脱却に向けての足かせになるのでは?ということです。
さてどうなんでしょう?
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<幼児教育・保育料無償化 物価押し下げ要因に 目玉政策、日銀に逆風か>
(2017年9月29日付 日本経済新聞)
『安倍晋三首相が「人づくり革命」の新たな目玉政策として、3~5歳の幼児教育・保育料を無償化する方針を打ち出した。子育て世帯にとって一見朗報だが、デフレ脱却を目指す日銀には悩ましい。教育無償化は消費者物価指数(CPI)を大きく押し下げ、2%の物価目標達成の足かせになりかねないからだ。』

この「幼児教育・保育料の無償化」の政策が実現すると3~5歳の子供の保育料がゼロになります。またその世帯の所得に応じてですが、0~2歳の保育料の軽減や免除も検討されています。

これは子育て世代にとっては家計の負担軽減になるので歓迎すべきですね。ただ物価の統計上は「保育料の値下がり」ということになるようで、結果として消費者物価指数を大きく引き下げることになる、試算によると約0.7%も下がることになる、ということのようです。

日銀の至上命題は「デフレ脱却」して景気を安定的に回復させることです。政策目標としては「2019年度、2%の物価上昇」を目指しています。それが0.7%もの押し下げ要因があるというのは、確かに日銀にとっては穏やかではないかもしれませんね。

 

■未就学児のいる家計の負担は重い

この記事は、「教育無償化は経済的には良くない」とか「反対だ」とか言っているわけではないのはわかります。ただ単に「こういう思わぬ影響もありますよ」と言っているにすぎないわけですが、保育料が消費者物価指数の0.7%に相当するくらいのボリュームがあるということはちょっと驚きではないですか?

確かに、未就学児がいらっしゃる家庭の保育料は、家計にとって大きな負担になっています。
基本的に保育料はその世帯の所得税や住民税に応じて変わります。収入が多い世帯ほど多く支払う仕組みです。ですので、同じ保育所に預けていても月数千円とかほぼ無料という人もいれば、月に4~5万ぐらい負担している人もいます。

特に、0~2歳児の保育料は高くて、3歳時以上よりも2倍くらいになることもあります。乳幼児の場合は保育士ひとりでみることが出来る子どもの数が3歳児以上の場合に比べて少なくなりますからね。

また、認可保育所と認可外保育所でも保育料は異なります。
認可外保育所の保育料の方が国や自治体の助成がある認可保育所に比べると割高です。ただ比較的割安な「認可保育所」は数が限られているので「認可保育所に預けたいのに入れない」ということもあります。これがいわゆる「待機児童問題」ですね。

保育料は市区町村ごとにかなりの違いがあります。自治体によってはかなりの助けてくれるところもあります。また認可外保育所に子どもを預けている世帯に対しても援助を行う自治体も増えています。
自分が住んでいる自治体でどういった補助制度があるのかは、しっかり調べてみるといいでしょう。

 

■子供が小学校に上がると家計が一変するケースも

私がやっている住宅ローン相談などで一番多いのがこの世代です。
6歳未満の未就学児が2人とか3人とかいると保育料だけで10万近く支払っているというご家庭もあります。

ご夫婦とも30代前半くらいが多いのですが、それくらいの年齢ですと手取り収入もまだそれほど多くありません。時間に制限のある働き方しかできない奥様の収入にも限りがあります。生活自体が結構厳しいので、マイホームが欲しくても資金的に買えない、とか価格・グレードを下げて安い家を取得するということになりがちです。

こういう家計の方たちでも、2~3年後にお子様たちが公立の小学校に上がると家計は一気にラクになります。公立小学校は基本的に無償ですからね。奥様の働く時間も増やすことができるようになります。年齢を重ねたご主人の所得も増えてきます。

だから、「あまり予算がないから」といって家のグレードを下げすぎるのもどうかと思うのです。予算がないからといって耐久性や断熱性が低い家にすると、あとあとメンテナンス費用とか光熱費が多くかかってしまうこともありますからね。

子供が小さい時、お金がかかって生活が厳しくなりますが、それは長い人生のほんの一瞬のことです。その一瞬の家計の状況だけで長い年月住むことになるマイホームの判断はしないほうがいいと思います。

「幼児教育・保育料無償化」で、子育て世代の住宅取得が早まったり、購入する家の仕様が上がったりする効果があるでしょう。この世代の家計は決して楽ではありません。いろんなことを我慢していることが多いので、家でなかったとしても楽になった分はなにがしかの消費に回るはずです。

「幼児教育・保育料無償化」は物価指数を押し下げるくらいのインパクトがあるということですが、ふたをあけてみたらそれほどでもなかったということになるのではないかな、と思っています。

 

■子供にはお金を入れる価値がある

保育料無償化などで子育て世代に向けて国のお金を入れていくことは、社会的には大きな価値があると私は思っています。
これは、そもそもは少子化対策です。家計が厳しいから二人目三人目をあきらめる家庭は少なくありません。収入が高くなると保育料も高くなるから働き方を制限している奥様も多くいます。

しかし、日本に子供が増えたらいっときの物価の押し下げなど全然関係ないくらいの効果があります。子供に関連する消費は絶対増えるし、大人になれば働いて納税もしてくれますからね。

保育料無償化については、保育士さんの数とか待遇改善なども問題です。それはまた別の機会に。

今回は以上です。
次回もお楽しみに。

2017年10月3日 火曜日 16:49 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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