連 載 ● 住宅営業コンサルティングの現場から

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将来不安で住宅購入心理縮みこみ時代・・・
今、契約率をアップさせている住宅会社がやっていることとは?

住宅販売の営業プロセスの中に「ファイナンシャル・プランニング(以下FP)」を取り入れることで顧客満足度を高めることを目的にしている「リライフクラブ」。現在全国で約100社の住宅会社、不動産仲介会社が取り組み、成果を上げています。

縮小市場で一人勝ちの住宅会社A社

「昨年までは契約率が毎年落ちていました。でも今年はFPのお陰で契約率はかなり改善しましたよ。」(A社社長)

ある地方ビルダーA社は、エリアの新築住宅市場が全体で前年対比約3割落ち込む中、受注棟数が前年対比20%増加しています。A社の住宅は平均価格が坪55~60万円。顧客ターゲットは年収500万円以上の中高級層になります。この層は今住宅市場で唯一動いている顧客層と言ってもいいかもしれません。ただし大手ハウスメーカーから有力ビルダーまでがひしめく激戦区でもあり、競合環境は大変厳しいものがあります。

「今はこの不景気ですから、有望見込み案件のお客様の中に『買い控え層』がものすごく多くいらっしゃいます。この『買い控え層』のお客様は以前はやっかいでした。『大丈夫です!やりましょう!』とプッシュすればするほど引かれてしまいます。今はこの買い控え層をその気にさせて引き上げることができるようになったのが大きいですね。その要因のひとつに『FPコンサルティング』が間違いなくあります。」(A社社長)

買い控え層をその気にさせるFP手法とはどんなものなのでしょうか?

住宅営業手法は以前と何が変わったのか?顧客心理の変化とは?

以前の住宅営業の基本は「他社との差別化」でした。他社との比較検討が進むほどお客様の買う気が増してきますから、最後は強めにクロージングを掛けて契約してもらっていました(プッシュ戦略)。しかし今や住宅販売市場はガラッと様変わりし、営業手法の考え方も180度変わりました。
国土交通省の「住宅需要実態調査」によると、およそ20%いる「住み替え希望者」の内のなんと65%が「資金的な不安」を理由に住替えが出来ないと回答しています。
景気の低迷、デフレ、年金不安・・・「頭金が不足している」「ローンが返済できるか不安」といった「将来不安」が住宅購入希望の気持ちを抑え込んでしまっているのです。お客様は「家が欲しい!」と思う気持ちと同じくらいに「本当に買っていいのか?」という不安を持っています。だからモデルハウスに行ったとしても住宅会社の営業マンにペースを握られて、買いたくなってしまうことを怖れています。だからなるべく自分の情報は出しません。モデルハウスでは営業マンにそっけない態度を取ります。営業マンにしてみれば、何を聞いても、何を説明しても話が盛り上がることがなく、「これは見込み客ではないな…」と判断してしまいます。また、ある程度「買おう」と決めていて積極的に質問をするお客様であっても、実は心の底では「自分はこの予算で本当に大丈夫なんだろうか?」と不安に思っています。だから今は、お客様が購入検討を進めるにつれて不安も高まるので、ハウスメーカーから中高級ビルダー(地域工務店)へ、また中高級ビルダーからローコスト工務店へと予算の下方シフトが起きています。
この大きな変化がほんのこの数年の間に急速に起きました。しかし住宅会社の営業スタイルは以前のまま(差別化&プッシュ)のため、過去に売れていた営業マンほど苦戦している現象が起きています。

ではどうすればよいのでしょうか?今のような「将来不安時代」に差別化を基本としたプッシュ営業だけでは効果は出ないことは明らかです。つまり、営業マンが家の構造や設備仕様、立地や間取りなどの説明だけをしていてはいけないのです。お客様が「買ってはいけないのではないか?」と思っているのに「買いましょう!もう売れてしまいますよ!」と迫られても心配が募るだけで、最後は引かれてしまいます。市場にわずか2割程度しかいない「家を買いたいと思っている人」の65%の人が将来不安で購買心理が縮みこんでいるのです。差別化をする前に「いかに買う気を発掘するか」、つまり「どのように縮みこんだお客様の気持ちを解放してあげるのか」様は教育レベルも高いので例えばお子様の教育費などにを考えなくてはいけないのです。

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