長期優良住宅の資産価値とは

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イギリスとドイツの住宅事情

イギリスのガーデンシティ レッチワース

最初のガーデンシティ、レッチワース

近年日本で大きく取りざたされている「長期優良住宅」。各種税制優遇等によりその促進を図られているところです。長期優良住宅の取り組みを考える上で、イギリスのガーデンシティの住宅地経営の理論および実践の様子は、非常に参考になります。

今回イギリスを訪問した中で、ガーデンシティの理論に基づいて作られた住宅の資産価値が、長期にわたっていかに上昇してきたかという事実を確認し、その必然的な理由を学ぶ事ができました。その一端をご紹介したいと思います。


レッチワースの街並み

ガーデンシティとは、文字通り田園都市を意味します。都市計画によりつくられた街です。訪英してまず、世界の新興住宅地(ニュータウン)の見本となった最初のガーデンシティ、レッチワースを見学しました。

この住宅地は19世紀末に計画され、20世紀にかけて建築されました。街区ごとに外壁が統一されているため、街並みにも統一感が感じられます。ここは渋沢栄一(日本資本主義の父と言われた人物)の息子、渋沢秀雄が見学し、帰国後、東京の郊外に田園調布を建設する参考にした街でもあります。

現地のガイドによる案内の中でもっとも印象的だったのは、ご自身の経験に基づいて、「住宅を所有すること自体が、重大な資産形成になっている」というお話でした。ガイドのA氏はご両親の介護の為に、引っ越しを目前に控えておられました。ご自宅は20年前に11万ポンドで購入された戸建住宅ですが、現在の売却価格は40万ポンドとのことでした。購入時の約4倍という、大きな差益が生まれていました。引っ越し先は幾分離れた地方都市ということもあり、これからの生活費を得て安心して引っ越しが出来る状態にありました。

大きな差益が生まれた要因として、A氏の住宅地が、この地域の中でも多くの人が憧れる「優れた学校区」であることを伺いました。イギリスでも子供の教育に対する関心は高く、この地区への転居を望む家族は、子供がまだ学校へ入学する数年前から、宅地探しを始めているとの事でした。

通常、経済的に優れた階層が居住する地域では、そこでの居住者の所得は、年月を追うごとに社会的地位等が向上することにより、所得(賃金水準)も向上します。このような人々が一定の地域に集まることで、そのエリアの消費も拡大し、そうした人々に対応して利便性の良い施設整備(公共施設や商業施設)やそれらのサービス品質も向上していきます。この利便性を求めて、類似のライフスタイルを求める人々が集まってくるという好循環が生まれます。

その結果、いったんこのエリアに住宅を購入した人は、自らの努力以上に、周辺の生活利便施設やサービス環境が整っていきます。このため、住宅の取引価格は、住宅購入者の所得水準を反映して向上し、住宅の資産価値も比例して向上していくのです。

レッチワースの住宅

レッチワースの住宅2

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