社長が「社長業」をやっている工務店だけが生き残る

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あなたは社長業を放棄していないか?

激変する工務店の経営環境

かつては、いっさい広告宣伝や営業活動を行わず、地元の人脈を中心に年間数棟の新築受注とリフォームで数人の社員が食べていける分だけ稼ぐというのが工務店業態の大半を占めていました。社長自らが良い家を造るための段取りをし、場合によっては自らが家を造ります。当然大きな借金もなく、ある意味では健全経営と言えるかも知れません。しかしながら、今後この業態の工務店経営は単純成立するのでしょうか?最近の受注棟数や粗利率などを見ていると、完全に二極化が進んでいるような気がします。

着工工数が減少し、半分以上の工務店が不要になるということは皆様周知のことですが、客層も大きく変化をしています。地縁や人脈に縛られない現代の若者が家造りの主役になってきました。インターネットで勉強し、各工務店の特徴を調べ、目を引かない工務店、価格不透明な工務店を避け、よりお得で信頼性の感じられる工務店を探しています。そして、年功序列、終身雇用が崩壊した今、教育費や年金計算に基づく論理的な資金アドバイスを求め、さらに性能やデザインにまでシビアな要求をしてきます。

国の政策も明確になってきました。ご存じの通り工務店のトレーニングのための長期優良住宅というレベルの低い基準は、2020 年には「義務化」という形でより厳しい省エネ性能が要求される仕組みに変わります。そうなると、気密性・断熱性はますます重要になり、別の技術や発電などの新しい考え方も必要になってきました。

工務店社長としての社長業の第1歩

そもそも工務店の社長が最低限考えなければならないことは、商品力強化、販売施策、人材育成の3つの項目だと考えられています。メイン顧客となる若年層の嗜好性に合い、国の基準を満たし、なおかつ他社と差別化された強い商品を持たなければなりません。商品を持たない「何でも屋さん」は「何の特徴もない」と判定され、集客さえも苦労します。商品と自社をどのように見せるか、どう説明するか、何を使うのかなどの販売施策も決めなければなりません。他社も強化しているわけですので、販売は苦手だとか、言っている場合ではないのです。社長自身も含む人材の成長・育成も考えるべき課題です。

では、そのようなことをより厳密に緻密に考えるために、社長がまずやるべきことは何でしょうか。それは「本当に有益な情報を収集をするためのアクションを起こすこと」です。目まぐるしく環境が変化するこのご時世において、本当に重要な生の情報は、自ら動き、リアルタイムで見聞きするのがベターです。細かいノウハウや成功・失敗の裏側など、参考になる情報を多く収集できます。それにより、自社の課題や不足する情報が具体的に見えるようになり、もっと厳密なアクションが起こせます。正の循環です。情報量が増えれば前記3項目について考える幅が広がることは明らかですので、より強く安定的な会社になるためには社長の情報収集活動が極めて重要で、これこそが社員と家族のためにやるべき「社長業」の第1歩だと言えるのではないでしょうか。セブンイレブンにシェアを奪われた酒屋さんもシャッター街の商店も、経営者として、先読みのための情報収集をすべきタイミングで、既に負けが決まっていたように思います。

職業柄、弊社スタッフは多くの工務店社長と会話をさせていただく機会を持っています。しかしながら「現場が忙しい」など、自ら社長業を放棄されている方がいらっしゃいます。「人が少ないから」などの理由は当然あるわけですが、これでは他社に打ち勝って生き残っていくことは難しいのではないでしょうか。

間もなく2020年

省エネ義務化の2020年は、まだ先のように感じられるかも知れませんが、消費税の段階的引き上げなどにより平時の戦略検討ができない混乱期を除くと、ここ1 ~ 2年くらいが勝負どころと考えられます。そうすると、先ほどの情報収集に関しては、現段階では既にある程度進んでいなければなりません。業績優秀な工務店の社長は、2 ~ 3年先を走っています。

本来、地域の住宅を建築し、家守りをしていくのは、地域の工務店でなければなりません。そのためには、生き残りを掛けて、工務店社長が今すぐ真剣に「社長業」を行うことこそが重要なのではないでしょうか。

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