米国に学ぶ「不動産流通活性化による新たなマーケットの創出」

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不動産流通情報の可視化と郊外団地の住宅資産化

はじめに

人口減少時代を迎えて、日本の住宅政策も新築(フロー)中心から、既存住宅(ストック)重視へと転換する方向性が2006年に制定された住生活基本法で示されました。しかしながら、既存住宅の流通量は2005年の47.6万戸が2010年に50.2万戸に増加した程度ですので、まだまだ時間がかかりそうな印象です。

本稿では、不動産流通が活性化している米国を一つの基準として、日本との違いを明確にしながら実行可能な方策について検討したいと思います。

日米の住宅指標比較

米国の直近1年間の住宅着工棟数は約58.3万戸でした。ピーク時の2005年には約206万戸ありましたので、大幅に落ち込んでいることが分かります。

一方で、世帯数やストック住宅数に関わる基礎データを見てみますと、世帯あたり人数、世帯あたりストック住宅数、持ち家率に表されるマーケットの潜在力に関する指標は、それほど日米間に違いはありません。

重要な指標は(12)の不動産流通戸数の指標であり、2010年は米国では日本の約4.1倍の物件数が流通しています。これをストック住宅における比率で表しますと、日本はストック全体の約2.3%の住宅が流通していることに対し、米国では約4.2%の住宅が流通しています。つまり同じ人口に換算すると約1.8倍のマーケットがあることになります(※2005年は2.4倍)。

既存住宅が流通するということは、即ち関連する不動産売買仲介やリモデリング、銀行ローン、登記・保険関係など関連するビジネス需要が発生することになりますので、単純に日本の既存住宅流通市場が米国並みの水準になった場合、不動産売買仲介の手数料のみで換算して約1.5〜2.0兆円(取引高で約30〜40兆円)の市場規模と計算できます。これが今後開発投資すべき新たな不動産マーケットといえるでしょう。

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