週刊住宅新聞-平成23年8月29日(月)

変形地、狭小地も収益化 活用しにくい土地に「戸建賃貸」

相続時の土地分割もしやすく

土地活用というと賃貸アパートや賃貸マンションなど、集合住宅が主流だが、ここ数年で戸建賃貸の存在感が増している。大手・中堅の住宅メーカーや工務店FCによる商品化も相次いでおり、不動産オーナーにとっての選択肢も増えてきた。若いファミリーなどをはじめとして、戸建て志向は根強く、需要に比べて圧倒的に供給が少ない。そのため客付けもしやすく、長期入居が来たいできることが特長。1棟のアパートと違い、土地の分割もしやすいため、相続時の対応もしやすい。

戸建賃貸の適地は、最寄駅から遠い土地や狭小地、変形地など。もともとの土地所有者が土地を相続する際に切り売りした結果、面積が小さく、旗竿地などの変形地になる場合は多い。そうした活用しにくい土地の活用方法として注目を集めている。

戸建賃貸ネットワーク「WILL STYLE」を運営するハイアス・アンド・カンパニーの中山史章取締役執行役員は、「たとえば郊外で坪単価20万円・敷地面積50坪ぐらいの土地であれば固定資産税は年間十数万円と想定できる。その土地を買って当社の商品(ユニキューブ、本体約750万円)を2棟建築すると、単純計算で総額2500万円のコスト。賃料を10万円とすればおおむね10%弱の利回りが確保できる」と、更地のまま塩漬けになりやすい土地から収益を生み出すのが最大のメリットだという。

希少価値で早期客付け、安定経営に

空室リスクが低いことも特長。中山氏は「需要が100だとすれば、供給は2、3ぐらい。供給が追い付いていないので早期に入居者がつく例が多い」と分析する。

一般的な土地活用といえばアパート建設だが、数年前から供給過剰が叫ばれ、地方や郊外、都市部でも利便性の悪い立地では空室に悩むアパートオーナーは多い。一方で若いファミリーをはじめとして戸建志向の賃貸ユーザーは多いが、戸建賃貸の供給が少ないため仕方なく集合住宅に住んでいるという場合が多いとされる。立地が不利でも戸建賃貸自体の希少価値が高いため、客付けしやすく、安定経営につなげやすい。

「集合住宅の場合、大きな問題となる騒音がほとんど問題にならないのもメリットと言える」(中山氏)。ファミリー向け賃貸の主要ターゲットである小さな子どものいる若いファミリー層にとって、騒音の心配がないのは大きな魅力。居住者間トラブルも減る。

段階的に投資可能 対応商品も増える

相続が発生した場合にも、メリットが生かせる。複数棟の戸建賃貸を所有していた場合、1棟を売却して相続税の支払いに充てたり、親族で分割して所有するなどといった方策も取れる。同じ理由で、どうしてもグロス価格が高くなってしまう1棟アパートよりも戸建賃貸の方がオーナーチェンジしやすいという見方もできる。

土地が分割しやすいので「まずは1棟建てて様子を見て、市場性や入居者の反応などを実際に見てからさらに1棟、もう1棟と段階的に増やすこともできる。アパートではできないリスク回避の方法だ」(中山氏)

対応商品も充実してきている。大手・中堅の住宅メーカー、アパートメーカーなどが05年ごろから参入して専用商品を発売。さらに一昨年ごろからは、賃貸用でない戸建商品の低価格化も進んでおり、戸建て賃貸で土地を活用しようというオーナーには、選択肢が増えている。

中山氏は「利回りを確保するにはもちろん建物の価格を抑えることが需要。しかし、長期入居をねらうためには、ある程度基本性能をしっかり整えなければならない。そのバランスを見極めることが大切だ」とポイントを解説する。

オーナー本人や、不動産会社、建設会社によるマーケティングも重要。戸建賃貸の主要ターゲットとなるファミリー層が少ないエリアや、すでに戸建賃貸があるエリアでは展開が難しい。ほかの土地活用商品と同様に、綿密な調査が必要だ。「戸建賃貸にも対応可能なローン商品が増えれば、よりメリットは大きくなるだろう」(中山氏)

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