週刊住宅新聞-平成26年9月29日(月)

特集相続ビジネス最前線 不動産ネットワーク『ハイアークラブ』全加盟店を相続相談のプロに

相続対策を考えるオーナーが増える中、相続相談を受けてビジネスにつなげたいが、対処方がわからないと不安を持つ不動産会社は多い。そんな不安を払拭し、誰でもプロの対応ができるようになるネットワークとして注目されているのが「ハイアークラブ」だ。

20項の提案書を自動作成

ハイアス・アンド・カンパニーは、独自ツール「マイハイアー」を活用した相談サービスを本格化した。不動産業者向けのネットワーク「ハイアークラブ」の会員企業が、”相続相談ができる不動産会社”として認知度と信頼度を高め、収益拡大を実現する営業ツールとして活用。レポート作成機能などを新たに追加した。それに伴い、相続相談のセミナー講師養成にも力を入れる。

「ハイアークラブ」は、不動産相談のインフォームドコンセント(事前説明と同意)目的に、一般消費者と不動産業者との情報格差を縮め、メリット・デメリットを比較検討できる不動産相談ネットワークとして設立。全国の不動産業者約300者が会員となっている。

「ハイアークラブ」会員の大きな魅力のひとつが「マイハイアー」だ。

その地域の地価などの不動産情報を入力し、シミュレーションの前提となる資産額や相続人数など数個の空欄に数字を入力するだけで、複雑な税金や土地活用した際の収支額などを瞬時に計算。「売却と活用のどちらが良いのか」「活用するなら駐車場やアパートなど何が良いのか」といった悩みに対して、約100通りのシミュレーションを瞬時に提示できる。

金利や空室率などの条件を変更しながら、それぞれの用途や選択肢別に5年後、10年後などの収支をグラフなどでわかりやすく提示。2次相続までを考慮した提案が可能なため、どのような土地活用が最適か比較でき、長期プランを立てる目安にできると好評だ。

これまで、加盟店が個別に行っていた「相続・不動産相談」サービスを、6月からは全加盟店で本格的に始動。「相続対策とは資産(不動産)相談」との考えから、不動産に詳しくない税理士などの士業や建築会社などの業務目標ではなく、中立的な立場でアドバイスすることを目的にコンサルティングする。同サービスは、基本的には無料で提供するものの、一部店舗では有料となる。

専門家かかわらずプロ仕様レポート

訪問営業などのツールとしても活用できるように、「マイハイアー」に「不動産最適化診断レポート」の作成機能を新たに追加した。

営業エリアの工事費や相場資料、建築費などの基本となる情報をあらかじめ入力するだけで、約30分後に約20㌻の提案書を自動作成する。あいさつ文から土地活用法、月間収支、固定資産税の減税効果、収支比較などをグラフや表付きの解説文でわかりやすく比較できるようにした。自動作成された解説やコメント文への文章追加・変更も自由にできる。

 

通常、こうした提案書の作成には、経験豊富な担当者が現状確認、活用手段候補の絞り込み、収支計算などを行い、多大な時間とコストを必要とする。

同システムは、いくつかの欄に必要な情報を入力するだけで、複雑な税金などの計算も瞬時に行うため、これまで税理士や司法書士、金融機関などに相談するしかなかった相続対策を、不動産会社が一手に受け付けられるようにした。

物件エリアのリアルタイムな相場と代表的な土地活用プランを示すことで、より具体的な提案ができ、オーナーの関心を惹きつけるための有効な営業ツールとしての活用も期待できる。

会員を講師に要請

これまで本社から講師を派遣していた相続セミナーを、各会員企業が独自で開催できるように、講師育成のための養成講座も始めた。

クイズや小ネタで参加者惹きつける

全国各地でハイアークラブ会員企業が主催する相続セミナーは、オーナーだけでなく、地域の金融機関、税理士や行政書士なども参加し、反響が広がっている。

現在は講師の人数が限られているため、開催場所が限定され要望に応えられなかった。そのため、各会員企業の社員が講師となることで、開催場所を増やし、サービスの知名度向上を図る。

養成講座では、これまで積み上げたノウハウを生かし、システムの活用法から参加者への接し方、言葉づかいなど基本から学ぶことができる。プレゼンテーション用のひな形となる資料を教材として、ページ毎にどのように説明しながらセミナーを進めるかを指導。参加者を惹き付けるため、クイズなどのツールや”殺し文句””小ネタ”なども伝える。

時や場所選ばず学習ネットシステム開発

養成講座に参加しづらい遠隔地の会員や、講座を受けてから時間が経ち、内容を忘れてしまった会員向けに、ネットを通して学習できるeラーニングシステム「マイスタディ」も開発した。主要な全OSパソコン、スマートフォン、タブレットなどに対応。忙しくて時間がない時でも気軽に学べるように、約3分間の動画を1コマとした授業を掲載する。

ハイアークラブの理念や営業支援体制などの概要から不動産営業のポイント、相続きっかけトークなど実際の営業シーンに役立つノウハウまで幅広く用意した。マイハイアーの使い方も詳しく解説した動画を用意し、使い方を忘れた時でも、必要な解説部分だけを見ることができる。

現在は31コマを用意。随時追加していき、最終的には100コマ以上とする。

同社は、数年以内に会員1000社を目指しており、ハイアークラブシステムが業界の標準となり、マイハイアーを不動産業の基幹システムに育てていくことを目標としている。

今後、資格創設も視野に入れながら、養成講座やeラーニングシステムの拡充を進める。

事例紹介

茨城県サンヨーホーム

セミナー開催で売買仲人の成約増

”営業マン”から”先生”に

現在、講師養成を進める「ハイアークラブ」で、会員自ら講師としてセミナーを定期開催し”相続相談ができる不動産会社”として認知されることで、収益を拡大している事例も出ている。

茨城県で売買・賃貸・管理などの業務を手がけるサンヨーホームは、管理物件のオーナーが相続相談を税理士などに行い、知らないうちに土地を売却していたなどの事例を目の当たりにしたことから、3年前に相続相談を受けるための専門部署「不動産コンサルティング室」を設けた。

同部署は大澤健司専務が担当となり、一から勉強しながら「相続勉強会」を開催。試行錯誤しながら、相続税の計算方法や配偶者控除などの基礎知識を伝えながらも、その後のビジネスに結びつかなかった。

1年が経った頃にハイアークラブと出会い、「今まで不安だったこと、伝えにくかったことが全部解決できる」と思い、すぐに入会した。

早速、個別相談で顧客に「マイハイアー」によるシミュレーションを見せて説明したものの、話が続かず自らの力不足を実感。ハイアス社が行っている会員向けの研修会を受け、そこで提供された相談クイズやリフォームクイズなどを活用しながら、個別相談だけではなく、セミナー形式で「マイハイアー」をプレゼンするようにした。

「相続財産3億円で子どもが○人の場合の相続税額は?」などの事例をクイズにしながら、いくつかの数字を打ち込むだけで簡単にシミュレーションできる機能を示すと、「自分の場合はどうなるのか?」と聞かれるようになり、勉強会後の個別相談に進む参加者が増えた。そこで、それぞれの具体的な資産や家族構成、要望などに応じた結果を一目でわかりやすく示す「マイハイアー」への関心が参加者の間で広がった。

勉強会はS社の会議室で開催しており、コストがかからないため、参加者ゼロでも継続して開催した。その結果、回を重ねるごとに認知度が高まり、リピーターも増加。20回を超えたころから、それまではたびたびあった参加者ゼロがなくなった。

現在は6講座の勉強会を1セットとして展開。「参加者と何度も接することでビジネスにつながりやすくなった。また、これまでの”営業マン”から”先生”との受け止め方になり、オーナーからの信頼を得やすくなった」と話す。

勉強会を通じて、アパートのリフォーム、アパート・遊休地の売却、投資家向けの収益アパートの販売などを受託。昨年は収益物件の売買仲人を8件成約するなど、案件発掘に功を奏し、安定的な実績をあげる部署となっている。

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