産経新聞-平成27年2月27日(金)

断熱リフォームを手軽に 国のポイント制度開始

環境意識の高まりを背景に、自宅の断熱リフォームが注目されている。国が3月から実施する「省エネ住宅ポイント制度」もこうした流れを後押しする。家全体のリフォームには多額の費用が掛かるが、日常生活に必要な場所だけを改修するなど、小回りの利く工法が広がっている。(兼松康、写真も)

[上限30万円分]

国土交通省は3月10日から省エネ性能の高い住宅の新築やリフォームを対象にポイントを発行し、そのポイントを省エネ家電や商品券などに交換できる「省エネ住宅ポイント制度」の申請受け付けを開始。壁や外壁の断熱化などのリフォームには上限30万円分を付与する。

施工契約が昨年12月27日以降で、来年3月末までに着手することが条件だ。住宅市場の活性化が狙いだ。

「何だ、この暖かさは」
神奈川県平塚市のモデルハウス。築40年の木造建築だが、1階の室内に入った途端、心地よい暖かさを感じた。17畳の部屋に8~10畳用のエアコンがついているだけで、暑いくらいだ。

この住宅は、ハイアス・アンド・カンパニー(東京都港区)がアンビエントホーム(高松市)と昨年4月から共同で展開する「ハウス・イン・ハウス」という断熱改修を施したモデルハウスだ。名前の通り、家の床や壁、天井などを断熱パネルで覆い、二重にして家の中に家を造る感覚だ。改修後の住宅では、熱損失が6割以上も改善したケースもある。

「従来の断熱改修は家全体の大規模な工事が必要で、1500万円以上かかるケースが多かった」とアンビエントホームの藤本修社長。ハウス・イン・ハウスの場合は部分改修が可能で、居間、寝室と風呂場などの水回りに実施した場合、500万~800万円で済む。

子供が独立し、高齢者だけになった家では使われなくなった部屋も多い。必要な場所だけ、居住者が住んだまま施工できる。

[ヒートショック予防]

大和ハウスリフォーム(東京都江東区)の日谷紀久雄取締役によると、断熱リフォームで最もニーズが高いのは、居間などに断熱性の高い樹脂製の窓やサッシを取り付ける簡単な工事。安いものなら数万円から行える。

「実際に取り付けた人や、施工後の住宅を訪れた人などが断熱効果を実感し、口コミで浸透している」という。

住宅関連の建材を扱うリクシル(同千代田区)は、「ココエコ」という名称で簡単なリフォームを提案している。

「外気に触れる側の壁と床に断熱材を張り付け、窓に二重サッシを取り付ける簡単な方法。一部屋ごとに施工でき、作業はほぼ1日で終わる」と同社広報部の河合慎太郎さん。

冷蔵庫や魔法瓶に使われる真空断熱材を使用することで、従来のグラスウール製の一般的な断熱材に比べ18分の1の薄さを実現。狭い場所でも施工できるのが特長だ。

室内の暖かさを保つことは、高血圧の人や高齢者が急激な温度変化で亡くなる「ヒートショック」の予防にもつながる。高齢化が進む中、手軽な断熱リフォームへの関心は高まりそうだ。

[冷暖房費の差8万1000円]

住宅の断熱性能を高めれば、年間の冷暖房費はグッと安くなる。経済産業省などによると、無断熱の場合の年間冷暖房費は、最新の平成11年(25年改正でも同水準)の省エネルギー基準の住宅に比べ、8万1000円多い。

断熱化を図ることで、夏は屋根から進入する熱を抑え、室内の温度を低減して冷房の効きを良くし、冬は室内の暖かさを逃さないためだ。しかし、国内の住宅の39%は無断熱の状態とされているのが実情だ。

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