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参加者から直接お話をお聞きすると、平成22年1月28日以降の引渡し物件に適用される「住宅版エコポイント」や、2月15日以降に資金を受け取る方から適用される「フラット35S」の当初10年間金利1%引き下げなどに影響をされているようです。
住宅版エコポイントの新築分野では、平成21年12月8日~平成22年12月31日に建築着工したもので「省エネ法のトップランナー基準(省エネ基準+α(高効率給湯器等))相当の住宅」「木造住宅(省エネ基準を満たすものに限る)」が適用されます。またフラット35Sの金利引き下げは、長期優良住宅に適用されます。このような背景があり、性能部分にこだわりをお持ちのようです。
先日のセミナーでも、建売住宅を検討しているお客様から、「立地と価格は気に入っているけれど、性能に関して心配なのですが…」というご相談がありました。これまでは「デザイン」や「設備仕様」などの目に見える箇所での差別化が支流であった住宅も、性能での差別化が必要な時代に入ったと言えるのではないでしょうか。
車の燃費や家電の消費電力について気にされる方が多くなりましたが、最近では「家の燃費」について気にされる方も増加傾向にあります。
将来的には、化石燃料の供給減から光熱費などのエネルギーコストの高騰が予測されていますが、家庭での光熱費も、燃費の良い家と悪い家では、年間20万円程度の差が出てくることが予想されます。30年に換算すると600万円の差となりますので、家に掛かるランニングコストも、メンテナンス費用が掛からない家と同様に重要になってきています。
ランニングコストとメンテナンス費用が掛からない家というのは、長期優良住宅基準を満たすことで可能なのでしょうか?
長期優良住宅の認定基準では、「耐震性」「省エネルギー性」「維持管理・更新の容易性」「劣化対策」「住戸面積」「居住環境」「維持保全管理」「住宅履歴情報の整備」の8つのチェック項目があります。
「省エネルギー性」の基準は、「平成11年省エネ基準・次世代省エネ基準に適合」となりますが、次世代省エネ基準は10年前以上に出来た基準になります。この基準で、本当にランニングコストの掛からない省エネ住宅となるのでしょうか。
この次世代省エネ基準は、省エネ住宅先進国であるドイツに比べると、大幅に劣る基準となっています。
2009年4月には、国土交通省のトップランナー・省エネラベリング制度が実施されています。この省エネラベリング制度では、年間150棟以上を供給する建売業者は関東圏における住宅のQ値を1.9w/m2k以下としなければならないという制度です。(Q値は、外気温度と室内温度の差が1度であるようなとき、床面積1m2当たり、外皮から逃げていく熱量を表します)次世代省エネ基準では、地区では2.7W/m2Kになりますので、省エネラベリング制度では基準値を大幅に上げています。住宅購入者である消費者サイドで考えると、この基準値がスタンダードになることが予想されます。
長期優良住宅基準は住宅の最低基準であり、むしろエネルギーコストに直結するQ値やC値などの実測値による住宅性能比較が一般的になり、住宅購入者はこの数値と初期コストを比較し、購入の意思決定を行うようになる日はそう遠くないはずです。
年間の着工棟数が80万戸となった現状で、供給サイドとしては更なる対応策が必要な時代となりました。弊社では供給者サイドに立った商品開発をはじめ、住宅購入者である消費者側へも、正しい知識と判断基準を提供するインフォームドコンセントを推進していきたいと考えています。
住宅購入者の声は、今後もHyASViewでお伝えしたいと思います。今後にもどうぞご期待下さい。
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