新たなる共同会社から発想する郊外型住宅団地の再生

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郊外型住宅団地の高齢化の急速な進展と持続可能性

高度経済成長期の頃、大都市・地方都市を問わず、その郊外に丘陵部を切り崩して、戸建て中心の住宅団地が数多く開発されました。それが現在では、高齢化が急速に進み疲弊を余儀なくされています。各種公共施設の老朽化、空地・空家の蚕食、暮らしの不便化などの諸問題を抱え込んでいる、オールドタウン化です。

郊外型住宅団地では、人の転出や転入がなくなり、今後急速に高齢化率が高まることになります。また、郊外型住宅団地の多くは、高度経済成長期に新しくつくられたものであり、歴史を持つ中心部や集落と比べ、土地に受け継がれるものも少なく、信頼や絆も希薄になりがちであることは想像に難くありません。地域の絆から解き放たれた個人社会が行き着いた先は、個人が社会とのつながりを喪失し、バラバラとなり、孤立、孤独、不安、手詰まり感に形容される社会になります。

そのような中、今回の東日本大震災は関係性、共同性、結びつき、地縁、コミュニティに彩られる社会こそが大事であることを気付かせてくれました。一言でいえば「絆」ではないでしょうか。近代的な市民社会の行き詰まり感が強まる中で、前近代の遺物ではなく、未来に向けた可能性として「共同体」というものを見つめ直していく必要があり、その現代の形こそが、新しい共助・共同のための組織体としての「まちづくり会社」です。

「まちづくり会社」

「まちづくり会社」とは、「住民による住民のための会社」「地域の共助・共同を実現する仕組み」であり、その使命は住民共有の生活基盤となる郊外型住宅団地を「持続可能な状態に誘導」するとともに、「住民のより良い暮らしを実現」することにあります。そのためには、地域のリーダーが必要であり、必要な法律や経営、会計等の知識を学ぶアカデミーが必要です。また、共同作業によるコミュニティの形成の場や健康をテーマにジョギング・散策コース、ペットと暮らせるライフスタイルなど、地域に小さくとも新たな需要を生み出したり、趣味の延長としての生業をつくりだすことも大切です。弊社では、上記のアカデミーの設立やライフスタイル施策の様々な提案を行い「まちづくり会社」の支援をしたいと考えています。

しかしながら、「まちづくり会社」を住宅団地再生の新たなる主体としてつくりだすには、「まちづくり会社」を設計(組織設計・事業計画・資金調達・事業性等)し、それが住民の支持や行政の支援が得られるものになるか…などの課題はありますが、手遅れにならないための、事後の百策に勝る「事前の一策」こそが、この「まちづくり会社」なのです。「まちづくり会社」を中心に行政が手を携え、持続可能性を保持する諸策を繰り出していくのです。

先見性のある市長村を中心に具体的な団地において「まちづくり会社」を素描し、地域住民や専門的なノウハウに優れる民間を交えて真剣に詰めていく必要があります。そして、市町村や国の支援のもとにモデル的に実践していきます。普及させるためには、行政の手によって本格的な支援策の確立もしていかなければなりません。

このまま団地が崩れ、その影響を都市の周辺の住宅市街地にも及ぼさないためにも、速やかに新たなる一歩を踏み出す必要があるのです。そのことを心から願うとともに、弊社はアカデミー設立による優秀な地域人材を育成し、新しいライフスタイルの提案により、「まちづくり会社」の設立による日本の住宅資産価値向上に寄与していきたいと考えています。

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