購入後に価格が上がる家の条件とは

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例えばアメリカでは、LEEDという制度があり、これは米国グリーンビルディング協会(USGBC)が開発・運営しているもので、Leadership in Energy and Environment Designの略です。LEEDの認証を受けた建築物は、高い環境性能と快適性を象徴して、「グリーンビルディング」と名乗ることができます。

LEEDの認証基準には6つの項目があります。(1)持続可能な敷地、(2)水効率、(3)エネルギーと大気、(4)素材と資源、(5)室内環境の品質、(6)デザインの革新性 のそれぞれに詳細なチェック項目が付随し、数値基準が設定されています。評価方法はポイント制になっており、その合計値によって、標準・シルバー・ゴールド・プラチナの順に格付けが与えられます。

最低ランクとなる標準認証を受けるだけでも大変なことであり、それだけ高いランクの評価を受けた建築物に住むことはステータスになるというのが、今のアメリカ特にNYなどでは共通の認識となっているようです。

街の資産価値について

さて、エネルギーパスが特に今注目を集めている背景には、前田武志国土交通大臣が行った自身の就任会見にて、「ゼロ・エネルギーのまちづくり」について語られたことがあります。エネルギー問題で重要なことは、街づくりにおいてどれだけエネルギー効率を良くするか、というわけです。建物一つひとつに与えられるエネルギーパス導入の必要性を説くと同時にその集合体である街単位での省エネルギー性を追求しようとする姿勢には、我々も非常に共感するところです。

住宅の資産価値を守ることを理念として掲げている弊社は、住宅単体だけではなく、住宅地全体の価値についても注目して、研究を進めています。省エネルギーで持続可能な住宅地のデザインはもちろん、その環境を維持し、ひいては資産価値を向上する為に、住宅地経営の導入は必要不可欠と考え、その仕組みづくりとして日本版HOA(Home Owners Association)の開発に取り組んでいるところです。

ドイツ・フライブルクの事例

ここで、ドイツで行われている街づくりの一例を見てみましょう。写真はフライブルク市の住宅地です。フライブルク市は人口22万人、面積150k㎡の都市です。持続可能な街づくりのために多岐に渡りつつも、キメの細かい施策を行っています。

まず、徹底的な建物の省エネルギー化を行っていることです。新築住宅には、無暖房住宅であることが義務付けられており、既存住宅に対しても、断熱改修や設備機器の設置に対する補助金が出るので、エネルギー性能の高い建物へのリモデリングが進んでいます。

その他の施策を見てみますと、(1)全ての建物の屋根の有効活用(太陽熱発電による自然エネルギーの効率的利用、または屋上緑化によるヒートアイランド対策と雨水が一気に流出しない措置等)、(2)間伐材や値の付かないような木から作り出されるチップをエネルギー源とした地域暖房とコージェネレーションシステムの活用、(3)交通施策の充実(公共交通機関網の整備や自転車交通推進計画などにより、CO2排出量は最低限に抑えつつも、住民は高い利便性を享受)など、街全体での省エネルギー化への取り組みがなされていることがポイントであるといえるでしょう。

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