米国に学ぶ「不動産流通活性化による新たなマーケットの創出」

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不動産流通情報の可視化により成果を創出している企業の事例

次に、国内で流通市場の問題を解決すべく、物件情報の透明化に取り組んでいる事例を紹介します。

A社は7万世帯を商圏として、不動産売買仲介の店舗を経営。営業担当者は7名で常に700人の管理顧客と400件の物件情報を保有し、地域内の不動産流通シェアの実に約25%を獲得、さらにシェアを拡大すべく活動されています。その成功要因を聞いてみますと、物件情報の「鮮度」と「質」そして「網羅されている情報量」とのことでした。不動産売買仲介の現場では、顕在化された売買ニーズに対して、いかに他社より早く正確で網羅された情報を届けるかという点が重要であり、この積み重ねが顧客との信頼関係構築にもつながるとのことでした。

次にA社はどのような方法で物件情報の鮮度と質と網羅性を実現したのでしょうか?…答えは「営業担当者の業務合理化とシステム化」でした。物件情報を収集する一般的な手段としては、インターネットなどWeb媒体からの収集と新聞・広告などの紙媒体からの収集、不動産会社や知人からの紹介などに分類されます。これらのリソースから情報をタイムリーかつモレなく収集することは非常に大変であり、いくら豊富な人材と時間があっても間に合わないことでしょう。これを解決するために、物件情報収集を外部の機関に委託して更新情報のみを定期的に入手することにしました。次に自社のデータベースに類似物件の検索機能を設け、いろいろなリソースで重複する物件情報を整理するシステムを導入しました。これにより毎朝1時間の収集業務だけで、1日分の更新された物件情報が入手でき、この業務改善により、営業担当者は主体業務である営業活動に最大の時間を割くことが可能になりました。このような「業務の分業と専門化」がもう一つの成功要因といえることでしょう。

今後の取り組み

弊社ではA社の取り組みを参考に、不動産物件の鮮度・質・量ともに充実させた情報を提供するサービス:AMS(エージェント・マスター・サービス)を開発しています。これにより不動産流通市場の課題のひとつである売り手と買い手の情報格差をなくし、消費者が安心して不動産取引できる環境を作っていきたいと考えています。

さらに不動産流通を活性化させるために、次の時代の住宅不動産業界向けのサービスとして、先の残りの2つの課題に対応した、住宅地経営プログラム=日本版HOAによる住宅の資産価値の向上と、登記・物件評価・税制対策など不動産取引の仕組みを昇華させたエスクロー型不動産取引支援サービスの提供を計画しています。

今後の活動にどうぞご期待下さい。

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