年間10棟クラスが30棟クラスへ成長するときの壁をどう乗り越えるか

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A社の課題はどこにあったのか?

A社の事例は急成長する企業がよく陥るケースです。現場が増えて現場監督のキャパシティを超えると工程管理が出来なくなります。工程管理が出来なくなると、ミス・モレ・ズレが起こり、結果、手直しの発生、手待ちによる職人ロス・工期遅れ、品質低下を招き、利益が残らなくなる。また同時に資金繰りも大変になります。

A社は受注力が高かったので早い段階で成長への課題が浮き彫りになりました。そのお蔭で軌道修正も早くできました。しかし実は成長がゆっくりの会社や成長していない会社はこういった自社の課題になかなか気づけません。自社の商品の標準仕様や工事単価を掘り下げて社内で共有しないから、毎回顧客の要望に応じて現場が少し混乱し、工期が少しずれる。自社単価がわかっていないから追加・変更のたびに価格が変わる。結果、邸別の利益管理もままならず、粗利が低いレベルで安定しない。利益が安定しないから、拡大・成長を志向することが出来ない。

急成長していない会社はすべてのズレや混乱がひそやかに起きるので経営者が重視しない、もしくは気付かないのです。そして「利益が取れない。」とか「利益が安定しない。」と嘆かれるのです。

工務店の基礎力を上げるR+houseの立ち上げ支援

R+houseを始めると、多くの会社で受注棟数が伸びます。そういう会社が「急成長の落とし穴」に陥らないように、R+houseでは初期研修で以下をSV(スーパーバイザー)とともに確認をして改善計画を立て、実行していただいています。

1) 売価設定

まず自社の売価を設定します。お客様にしてみると、どういう住宅がどれくらいの金額でできるかがわからないと前に進めません。自社の住宅作りのコンセプトを具現化したのがプランであり仕様です。それと価格がお客様に簡単にわかるようになっていないと相談にすら来てもらえません。

R+houseでは販売価格は「マーケティング発想」で考えます。マーケティング発想のポイントは、


・ どのターゲットに提供していくのか?
・ そのターゲットが買える価格帯はいくらか?

そうして決定したのが販売すべき価格です。その販売価格から自社の取るべき利益を引いて残った部分が、かけていい工事原価になります。

これはコストダウンを図るための考え方でもあります。こうして出た工事原価に合うように工事の各工程にロスやムダがないかを見直します。

この時の注意点として、適正な利益を取るために原価を下げ続けた結果、自社の商品レベルも下がってしまっていないかは確認します。出来た住宅のレベルを見た顧客の満足度次第で口コミや評判が変わります。出来上がった住宅のレベルが、次に受注できる住宅のレベルになるのです。つまり価格を抑えた結果として仕様を下げ過ぎると、顧客層も下がっていくことになります。自社が想定したターゲット層の方から問い合わせが来るようにしないといけません。「どういうターゲットの方にどういう暮らし方をしてほしいか」。このコンセプトと仕様と価格がカチッとはまった時に受注は増えます。

しかし、「マーケティング発想」ではなく「プロダクトアウト発想」で販売価格を考えると受注は増えません。そして営業も現場も苦労します。

この考え方で出た販売価格に見合う顧客ターゲットを探す、これがプロダクトアウト発想です。この考え方の場合に自社コンセプトと価格が顧客ターゲットと合致することは極めて稀であり、通常は計画通りに受注を上げることが大変難しくなります。

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