なぜ住宅会社はアフター業務ができないのか?

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お客様が求めるのは「アフターフォロー」ではなく「信頼」

実はお客様もアフターフォローそのものにはそれほど関心が高いわけではありません。「アフターフォローをちゃんとしてくれるかどうか」ということを重視するお客様は多くいます。でもそれはアフターフォローそのものに価値を感じているわけではなく、アフターフォローをちゃんとやると宣言している会社はいい加減な家は作らないだろうという認識があるからです。お客様が住宅会社を選ぶときに一番関心があるのは、「この会社に任せて満足のいく家が建つかどうか。後々後悔しないか。」ということです。お客様は、いい加減な家を建てた上に、もし補修などが必要になってもほったらかしにされたり、倒産や廃業するような会社を選択したくないのです。
「住んだ後に不具合は出ていないかを定期的に確認してくれるのか」「もし不具合があってもすぐ対応してくれるのか」。こういったことを知って安心をしたいのです。だから、その会社で建てたOB 施主の満足度はどうなのかを気にするのです。ちゃんとした家を建ててくれて、引き渡した後も必要な時にちゃんと対応してくれるという安心感さえあれば、お客様にとっては十分なのです。

顧客マネジメントはアウトソーシングの時代へ

今後、日本の住宅の性能はますます上がります。建物は長寿命になりますから建て替えのリピードオーダーが一人のお客様からやってくることは少なくなります。高性能になるほどメンテナンスも楽になり、修繕やリフォームも減っていくでしょう。つまり、今後住宅会社にとっては一度引き渡したお客様から売上を上げる機会は少なくなっていきます。そうなると売上の見込めないアフター業務はますますコストセンターの性格が強まっていくでしょう。

家を建てた住宅会社がその家に対して長期間責任を持つのは当然です。しかし、住宅会社が「新築住宅を建てる会社としての収益構造」になっている限り、コストセンターであるアフター業務を際限なくサービス充実
していくことは不可能です。

そうなると、いずれアフターにおける顧客管理業務は専門会社にアウトソーシングされる時代が来ます。「家歴」と呼ばれる設計図書などの履歴の管理、住宅満足度調査アンケートの回収や定期的な挨拶、定期メンテナンスのスケジュール管理などのアフターの顧客マ
ネジメント業務に対して、人的経営資源に限りがある工務店クラスが専任担当者を置くのは合理的ではありません。工務店は建てる時には将来的にメンテナンスが不要なくらい性能の高い良い住宅を建てることに専念せざるを得ないでしょう。そしてコストセンターとなる引き渡し後の顧客マネジメントは外注するという選択肢が主流となるでしょう。

アウトソーシング会社は住宅会社とお客様からの委託を受けて顧客と接点を持ち続けます。顧客の声を住宅会社へフィードバックしたり定期点検の発注をしたりします。もし万が一、施工した会社が倒産しても代わりの会社にメンテナンスや修繕を発注します。そういうケースや将来のリフォームや売却時にも備えてお客様に代わって家歴の保管も代行することになります。

こういった「コストセンター業務」を大量に引き受けることで業務コストを下げて効率的に運営するというアウトソーシングの考え方は今では一般的です。住宅顧客のアフター業務のアウトソーシング受託は、ハイアスがエンドビジネスで志向するひとつの重要な考え方です。前項の熊本でのトライアルショップでも運用していく予定です。成果は随時あらためてご紹介をしてまいります。住宅業界の新しい方向性にご期待ください。(川瀬)

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