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このような家づくりの場における工事や予算、価格に対するお客様の不安に、正面から向き合う必要があるのではないでしょうか。熊本県のL 社はお客様の悩みや不安に正面から取り組み受注棟数を伸ばしている住宅会社で、性能が高く自分好みのデザインで家づくりができ、それが適正価格で建築が可能な点が強みです。初めの頃は自社の売りをお客様へ説明することに重点をおいてしまい多くの失敗も経験されました。今では過去の失敗から学び、初回接客では自社アピールを止め、お客様の悩みや不安をお聞きし、解決する手段をお伝えするスタイルに専念しています。例えば、多くのお客様は予算面で多くの不安を抱えています。「想定した予算総額が正しい価格なのかどうか。その予算内で希望のマイホームを建築できるか。30 ~ 35 年の住宅ローン負担に耐えられるのか」など。L社では、そのような多くの不安を解決するために、教育費や老後費を踏まえた上でマイホーム資金を決定するようなファイナンシャルプランニングを実施します。マイホームの取得に掛けられる予算を明確にし、プラン・見積り提出後の追加費用を極力少なくすることで、顧客満足度を上げ、失注率を大幅に低減し成果をあげられています。
「最近のお客さんは予算がないのに要望ばかり多くて」「要望は妥協しない上に値引きを要求してくる」「お客さんの質が落ちてきたよな」などの嘆きを営業現場からお聞きすることがしばしばあります。
本当にお客様の質が落ちてきたのでしょうか?今ではインターネットなどの普及により、過去に建築されたお客様の声を簡単に調べることができます。このことにより、住宅を販売する側のモラル低下を、お客様が気づき始めたのではないでしょうか?「値引きを要求すれば落としてくれる」とお客様が思っているのは、「今月が決算期月ですので」「今月キャンペーンですから」と、値引きでしか意思決定をさせられない住宅会社側に大きな問題があるのではないでしょうか。
また、「家長制度の崩壊・人口減少、家あまり」「上がらない年収」「共働き時代」「親・祖父母世代からの贈与」などお客様の環境は複雑化してきています。お客様の質が落ちてきたのではなく、それらの課題に十分対応できないままそのことに気づかずにこれまでのやり方を通していることにも問題があるのではないでしょうか。
自分達の為に親身になってくれる住宅のプロであるとの認識をお客様が持ったなら、値引き要求をしてくるでしょうか?今後さらに住宅販売が激化します。その中で、モラルの低いアプローチでは、自社どころか業界自体が大きな信用を失う時が来るでしょう。その時のために、再度自社の営業手法・アプローチ手法の見直しをおすすめしたいと思います。(塩崎)