「相続勉強会」の定期開催から売却案件を続々受託
〜「素人だった私が3年で相続の先生になっていました。」(茨城県S社A専務の事例)〜

(ページ:1/2)

相続勉強会からアパートの売却を8件受託

不動産管理・仲介会社が実践的なコンサルティング手法を学ぶ全国組織として活動しております「ハイアークラブ」ですが、最近では「不動産に強い相続相談の全国ネットワーク」としてマスコミにも取り上げられるようになってまいりました。今回は、今注目されている相続マーケットにおいて成果を上げている不動産管理会社の事例をご紹介します。

「地域の地主様に対して相続を切り口として相談会を開催し、そこから不動産案件を獲得していく」。これからの不動産管理業・仲介業が地域で生き残っていくためには当たり前に取り組んでいなければならないことですが、現実的にはまだまだ成果が上げられていない会社も少なくありません。今回ご紹介する茨城県のS社はそれを現実のものにされています。S社は茨城県の県南地域で売買・賃貸・管理などの業務を手がけられています。S社が不動産コンサルティングの部署を作ったのは3年前。当初は集客にも苦しむ状況でしたが、現在では定期開催している相続勉強会に参加しているアパートオーナーからアパートのリフォーム、遊休地の売却、アパートの売却、投資家向けに収益アパートの販売等々を受託、数多くの実績を安定的に上げておられます。収益物件の売買仲介では相続勉強会から受託した案件だけで昨年は8件の成約を上げられました。

案件発掘のきっかけとなっているのが、S社が3年前から開催している「相続勉強会」です。現在は毎月2~3 回のペースで勉強会を定期開催しており、今では「相続相談ができる不動産管理会社」としての認知が定着しています。

今やS社の重要な収益部門となっている「コンサルティング室」ですが、メンバーはわずか1名です。勉強会の企画、講師、案件対応に至るまで担当しているのはS社のA専務お一人です。今では勉強会講師を堂々と務められているA専務ですが、「3年前までは相続のことなんて全く知りませんでした。素人でしたよ。」(A専務)とおっしゃいます。

勉強会で成果が出はじめるまで

A専務が勉強会を始めるきっかけはオーナーとのちょっとした会話からでした。以下、A専務のインタビューをご紹介します。

・・・・・・・・

以前は、アパートオーナーさんから「相続が心配なんですよ」といった話を耳にしますと「何かあったら声をかけてくださいね」と伝えてはいましたが、実際オーナーさんからの相談は全くなかったんです。ウチの管理オーナーさんであっても税理士さんがついていらっしゃる場合などはそちらに相談されていて、知らないうちに土地を売却されていたということもありました。これではいけないと考え一念発起して相続の勉強を開始し、「私も相続相談にのれます」とアピールし始めたのです。

・・・・・・・・

その後、A専務は広報活動を重ねるものの、なかなか実際に相続相談をお願いするというお客様は来ませんでした。その状況を打ち破るべく、A専務が講師となって相続勉強会を開催することにしました。しかし会社としてもA専務としても初めての試みです。集客は大丈夫か、勉強会ではいったい何を話せばよいのか、質問が来たらどうしよう…、など多々ご不安な中でのスタートだったそうです。

・・・・・・・・

物件管理業務も行っていますので、親しいオーナーにお声がけをして、ご友人なども誘ってきてもらっていましたが、「サクラ」のような状態でなかなか仕事にまでは結びつかなかったんです。勉強会といっても当時はネットで拾ってきた情報をまとめて、相続税の計算方法とか配偶者控除とは、なんてことを伝えていました。まだ知識がおぼつかないところもあって、初めての勉強会の本番は本当に緊張して汗だくになったのを覚えています。勉強会の中で話している内容にも不安があって、心の中では「誰も質問とかしないでくれ!」と思っていました。本末転倒ですよね(笑)。しかし、会社にもやると言った以上、途中で止めるわけにもいかず取りあえず継続することにしました。最初は集客も多ければ多いほどいいと思っていましたが、実際はそんなに来ませんので毎回「5名限定」と打ち出すようにしました。もし2~3名しかいなくてもそれなら恰好がつきますから。そして勉強会中は「質問も随時OK」としてからオーナーとのコミュニケーションが徐々に図れるようになってきました。

勉強会を試行錯誤する中で2年前にハイアークラブに出会いました。「これはいい!今まで不安だったこと、伝えにくかったことが全部解決できる!」と思い、すぐに入会しました。しかし、やはりすぐには使いこなせませんでした。個別相談でお客様にシミュレーションを見せても話が続かなかったんです。ヘタだったんですね。そこで勉強会の中でシミュレーションをプレゼンしようと考えて、ハイアークラブの研修の時にもらった「相続クイズ」や「リフォームクイズ」などを活用しながら、お客様に「例えば相続財産が3億の場合で、子供が○人の場合の相続税は?」などとクイズ形式でシミュレーションをしていきました。そんなクイズで事例をいくつかお伝えしているうちにお客様の方から「自分の場合はどうなるのか?」と聞かれる機会が増えて、次第に勉強会後の個別相談に進むようになってきました。具体的なケースでシミュレーションを見せられるのでお客様にも関心をもっていただきやすくなりました。

・・・・・・・・・

32-5-1

page: p1 p2

ページトップに戻る