リフォーム市場参入のカギを握る断熱リフォーム 〜顕在化する消費者ニーズにすばやく応える手法とは〜

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新築事業だけの経営では厳しい競争環境に

2010年、国交省からリフォーム市場の倍増構想が打ちだされ、以降、国内の住宅政策はフローからストックへと舵を切られたという認識は一般的なものになりつつあります。また、新築着工数もここ数年何とか持ちこたえている感はありますが、将来的には60万戸前後の予測も出されるなど、競争が厳しくなることは必至です。

そのような状況のもと、リフォーム市場は成長期待の高い市場だと考えられ、市場への参入を検討する企業は、住宅会社や不動産会社、さらにはまったく異業種からの新規参入など、多種多様でここでも厳しい競争が生じそうです。

リフォーム市場の分析と集中 ~断熱というキーワード~

厳しい競争が想定されるリフォーム市場ですが、市場を整理して捉え、そこにある顧客ニーズをきちんと把握し、自社の強みをいち早く定めてそれを強化してゆくことが、厳しい競争を勝ち抜くうえでは重要です。

リフォーム市場は大きく3つに分類できると考えられます。設備機器交換を含む営繕工事、建物の延命や強化を含めた修繕工事、そして温度など快適性の向上や転倒防止など危険回避といった生活空間の改善工事という3つです。このような3分類において顧客のニーズはどちらに向いているのでしょうか。

それを把握するひとつの方法として、国土交通省が半年に一度公表している「建物リフォーム・リニュアル調査」から、目的別リフォーム・リニュアルという調査結果(図表1,2)を参照します。これを見ると、「劣化や壊れた部位の更新、修繕という工事」、先ほどの分類でいえば営繕工事領域が大半であることがわかります。しかし、本誌読者の皆さんも実感されていると思いますが、その分野ではなかなか生産性を高めることは難しそうです。実は私たちが注目する重要なポイントはほかにあります。それは「省エネルギー対策」という目的をもった工事件数の伸びなのです。グラフに表したように、省エネルギー関連、高齢者・身体障碍者対応といった「住生活の改善」、言い換えれば日常の生活空間をより快適にする工
事の伸びが、防災・防犯・安全性向上や耐震性向上、用途変更といった目的を大きく上回って推移しているのです。つまり、すでにニーズが顕在化した成長期待の高い分野が「生活空間の改善」である、といえそうです。

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ところで、「生活空間の改善」という分野では、壊れたからそこを元通りにしたい・直したいといった明確なお客様の要望がなかなか現れません。それゆえ、現状把握を手助けし、問題を認識いただき、それに対する改善を提案するという行為がとても重要になってくるのです。

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