シニア住居のリフォームにおける要件を考える(「平成26年高齢社会白書(内閣府)」から)

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世の中には様々な団体や組織によって市場動向の調査リリースが行われています。この企画は溢れる様々な市場調査から「HyAS View」読者の皆様にとって関心の高い、あるいは有益と思われる調査結果から参考となるトピックの紹介・解説、事業運営の参考となる情報提供ができればと考えています。

この記事に関心をお持ちの読者にとっては、すでにご存じの数値であるかもしれませんが、本白書に記載されている「65歳以上の者がいる世帯数及び構成割合(世帯構造別)と全世帯に占める65歳以上の者がいる世帯の割合(図表1)」によれば、全世帯のうち43.4%、2,093万世帯が65歳以上の方が家族の一員としている世帯となっています。特にその半数以上は単身世帯(486.8万世帯)、夫婦のみ世帯(633.2万世帯)であり、これは全世帯数に対して実に20%以上が高齢単身、もしくは高齢者を含む2名世帯ということで、高齢者世帯のなかでひときわ目立つ存在となっています。

ところで、とりわけ住まいながらのリフォームビジネスを考えるにあたっては、高齢者世帯は大きなターゲットでありますが、その世帯の暮らしぶりや満足度、生活環境はいったいどのようになっているのでしょうか。内閣府が行った様々な調査を詳細に見ていくと、高齢者の居住に対して事業者が注力すべき「生活提案」というキーワードが浮かびあがります。

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1.高齢者にとっての自宅の意味

高齢者にとって「自宅」の意味を想像するヒントとなる調査結果があります。介護を受ける状態になった際に介護を受けたい場所、さらに、ついに最期を迎えるとなった際に、最期を迎えたい場所を聞いた調査結果です。

「高齢者の健康に関する意識調査(内閣府、平成24年)(図表2,3)」によれば、介護を受けたい場所として自宅と回答した割合は男性で42.2%、女性30.2%とともに最多回答率で、次いで介護老人福祉施設(同18.3%、19.1%)、病院など(同16.7%、23.1%)となっており、やや男性に自宅での生活にこだわる傾向が見えます。つぎに、最期を迎えたい場所を聞いた結果は、全体で54.6%と過半数であり、次の病院などという回答(27.7%)の倍近くあり、ほかは軒並み一桁の回答割合であることを考えると、最期を迎えたい場所として強い希望がある場所と考えられていることがわかります。

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別の調査(「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(内閣府、平成22年)(図表4)」では、身体が虚弱化した時に望む居住形態は?という聞き方でたずねています。この結果でも、自宅に留まりたい(現在のまま自宅に留まりたい+ 改築のうえ自宅に留まりたい、の計)とする回答率が66.4%と約2/3となっています。ちなみに、平成17年の同調査の結果との比較からのトピックとして(まだかすかな変化ではあるが)、改築のうえ自宅に留まりたいとの回答が上昇していることは、さらに自宅へのこだわりが強まっている傾向の表れといえるのではないでしょうか。

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