シニア住居のリフォームにおける要件を考える(「平成26年高齢社会白書(内閣府)」から)

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今更ながらですが、高齢者にとっては、元気で暮らせる時間が終わった後もこだわる場所が「自宅」であり、重要な意味を持つ場所であるといえそうです。

2.高齢者の生活

2-1現在の生活環境に対する満足度

自宅が、元気でいられなくなった後も重要で必要な場所であることはわかりました。では、元気で暮らせている“ 現在”の自宅と生活環境についてはどう認識しているのでしょうか。「高齢者の日常生活に関する意識調査(内閣府、平成21年)(図表5)」において、60 歳以上の高齢者に現在の住居の満足度をたずねた質問があります。これによれば、満足、ある程度満足と回答した人の割合はほぼ9割、89.3%という結果となっています。住宅の所有関係で差があるものの(持ち家91.2%、賃貸住宅69.9%)、総じて高い回答率といえます。

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2-2高齢者の健康と有訴者数率

暮らしていく中でもっと大切なものは「健康」。白書では、厚生労働省による「国民生活基礎調査(平成22年)」の結果にある、65歳以上の高齢者の健康状態について有訴(ゆうそ)者率という数値を用い、高齢者の健康状態について触れています。有訴者率とは、人口1,000人当たりの「ここ数日、病気やけが等で自覚症状のある者(入院者を除く)の数」のことです。これによれば、全体では471.1、つまり65歳以上の半数弱が何らかの自覚症状があると答えています(図表6)。さらに年齢階級で詳細に見ると自覚症状を持つ境目らしきものも見えてきます。65-69歳階級から70-74歳階級、70-74歳階級から75-79歳階級と、次の階級に移る際にその程度有訴者率があがるか、を見ると、男女とも65-69歳階級から70-74歳階級のギャップが大きくなり、つまり、70歳は身体的に一つの境目である、ということが言えそうです。

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2-3住宅に関する備え

高齢期に向けた「備え」に関する意識調査(内閣府、平成25年)(図表7)」の中で、高齢期に備えた建替え、リフォーム、転居の時期についてたずねています。その結果は、「自分または配偶者の日常に不便がでてきたら」が48.9%と約半数、次いで「自分または配偶者が要介護、要支援状態になったら」が25.7%となっており、日常の中で必要に迫られる状態が生まれたとき、という回答が多いことがわかります。

2-2 でみたように70歳前後を境目として自覚症状が強まるタイミングがあるわけで、生活の変化、身体の変化に合わせた用途や機能の改修を行う時期は本来この時期の前にあるべきかもしれません。

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