財産移転市場で活躍できる不動産コンサルティングプレーヤーの育成を産学連携で取り組む
〜不動産コンサルティングの全国組織 「ハイアークラブ」の新たな取り組みとは?〜

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2015年、ハイアークラブは新しい展開を始めます

ハイアス・アンド・カンパニーでは、不動産コンサルティングの全国組織である「ハイアークラブ」を2007年より運営しており、現在では約300社の加盟会員企業が全国各地で不動産の活用・売却・管理などの相談事業を展開しています。

「ハイアークラブ」では不動産コンサルティングの実務ができる担当者の育成に力を入れており、ファイナンシャルプランニングや事業収支、税制、相続等に関する相談対応ノウハウをマスターできる教育体系を構築しています。ハイアークラブの最大の強みは、担当者が学んだ知識を不動産相談現場において効果的に活かすことができる「マイハイアー」というシミュレーションシステムツールをベースにしていることです。ケースごとの収支比較などが瞬時に計算でき、美しいグラフなどで表示されることでお客様へ質の高いプレゼンが可能になります。知識や経験が不足している方でも短期間でプロのノウハウを習得し、現場で活用することができます。

この「ハイアークラブ」が新たなステージへ展開を拡げます。2015年春より、某有名私立大学とともに産学連携事業を開始することとなりました。現時点ではまだ正式発表前ですので、今回はその事業概要とその背景、ならびに今後の展開について報告させていただきます。

産学連携事業のコンセプトは?

事業テーマは、「家計が所有する不動産の維持・運用・継承に関する研究」になります。

これはまさにこれから日本が直面する大きな課題です。日本経済のダイナミズムが失われている原因のひとつとして「資産の偏在」があげられます。

下図(図表1)は世代別の家計資産額の内訳ですが、周知のとおり、日本の資産構成には2つの大きな片寄りがあります。


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ひとつは、「日本の資産の約7割は50代以上のシニア世帯が保有している」ということ。

もうひとつは「家計が保有する資産の約7割は住宅・宅地などの不動産である」ということです。

老後を迎えている、もしくはこれから迎えるシニア世帯が資産を多く保有しているのに対して、消費意欲が旺盛な子育て世代、マイホーム世代である40代以下の現役世帯には財産がありません。

この財産の固定化されている状態が市場にマネーが回らない一因であるとして、政府はシニア世帯から現役世帯への財産の世代間移転を推進しようとしています。

2015年1月1日より相続税の実質増税が始まりました。一方で生前贈与に関しては減税の方針が取られています。2015年度の税制改正大綱では、住宅や結婚・子育て資金の贈与の課税の見直しも盛り込まれました。「住宅資金は最大3000万円」「結婚と子育てには1000万円」までが贈与非課税になります。親や祖父母から若い世代にまとまった額の援助を促し、資産移転を図ることが狙いです。

その資産の約7割を占めるのが住宅・宅地などの不動産であることを考えたとき、日本の富を守るためには、「家族単位で保有されている不動産資産の価値を落とすことなく、いかに円滑に次世代へ承継させられるかどうか」が課題になります。

まだまだ不動産資産家ならびにその家族(以下エンドユーザー)の不動産の維持・運用・承継に関する理解は十分ではありません。また、この市場において高い専門性と倫理観を持つコンサルティングプレーヤーの層も薄いと言わざるを得ない現状があります。

そこで私たちが産学連携して取り組む事業の目的は以下の3つです。

1)家族単位の不動産資産運用や承継などに対するコンサルティングを一般的なものとして、相続問題や資産価値目減り問題などを解消する。

2)エンドユーザーに対しては、所有不動産資産が円滑に次世代に受け継がれていくために、不動産資産の管理・運用への意識を高める重要性について理解を深めていただく。

3)不動産資産の管理・運用の市場において高い専門性と倫理観を持つコンサルティングプレーヤーを志望する人たちに具体的な試算手法やアドバイス手法を提示する。

対象は不動産を所有する資産家ならびにその相続人になります。イメージとしては「都心部の評価額の高い戸建住宅に加えて数千万円の金融資産を所有する団塊世代」や「地方の実家に跡継ぎのいない広大な農地や家族が営んでいた事業所の用地などを相続した、もしくは相続する予定の40~60代」といった層になります。

この層に対して、「家族の豊かさの本質と原因は不動産の取得と運用の巧拙によって決まる」ということを啓蒙していきます。

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