価格競争から抜け出る、高額リフォーム受注の秘訣

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2倍となる市場、比例して激化する競争

国土交通省の新成長戦略に、中古・リフォーム市場を10年間で2倍の20兆円市場を目標とすると明記されたのは、記憶に新しいところです。マーケットの拡大が確実視されている中、多くの異業種からのリフォーム業界への参入が進んでいます。異業種からの参入が増加することで、これまでリフォーム市場でのメインプレイヤーであった工務店やリフォーム専業の会社も、価格競争に巻き込まれ、収益面で厳しい戦いを余儀なくされる可能性が高くなります。「どの分野で競争優位に立つか?」という課題は多くの経営者の方々の喫緊の経営課題となっています。

特にキッチン・風呂などの設備の交換や、手すりをつけるなどの高い専門性を必要としない「誰でもできるリフォーム」分野は、エンドユーザー側のニーズが顕在化していることが多く、一見魅力的な市場に映ります。しかし特別な技術力を必要としないため、熾烈な価格競争が起きる分野ともいえます。

それでは、熾烈な価格競争に巻き込まれないためにはどうしたらいいのでしょうか?

専門性を生かしたリフォーム商品が必要

キーワードは「専門性」にあると考えています。専門性を生かした「高付加価値リフォーム」の商品が必要です。目安として請負金額500万円以上のリフォーム工事が受注できる戦略を持つことが重要となります。「専門性」とは、例えば「耐震」「デザイン」「断熱」といった分野があげられます。この分野は異業種から参入したような会社には、ノウハウの蓄積がないので容易には手掛けることができません。参入してくるとしても相応の時間がかかるため、その間に大きな優位性を保つことができます。いち早く自社ができる専門性を生かした高付加価値リフォーム商品を持つことにより、他の会社とは違った訴求点にてお客様が獲得できます。

ハイアス・アンド・カンパニーは、この専門性を生かした高付加価値リフォームの中でも、工務店が最も優位性を発揮できるのは「断熱リフォーム」であると考えました。ハイアス・ビュー32号では、専門性が必要な分野である「断熱」と「耐震」のマーケット比較を行いました。リフォーム対象となる日本における住宅ストック約5,000万戸の内、「耐震補強」を必要とする建物は、21%しかないのに対して「断熱改修」を必要とする住宅は95%にもなります。

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また、住宅の断熱性能の強化は、健康にも資するという研究データも出てきております。健康は高付加価値リフォームのメインターゲットとなるシニア層のニーズにも直結しています。専門性を生かしたリフォーム事業を考えるのであれば、断熱は非常に魅力的な市場であり、早期に着手すべき市場であると考えております。私どもが展開している戸建て断熱リフォームネットワーク「ハウスINハウス」では、そこからさらに踏み込み、既存の断熱リフォームでは解消が難しかった気密性の保持や、工期問題を解決しております。断熱リフォームパネルを用いた工事で簡易に、非破壊・短工期・明瞭価格を実現し、エンドユーザーに選ばれやすい断熱リフォームパッケージとして提供させていただいております。加盟している会社様はすでに地域における断熱需要を捕まえており、工事の受注が増えています。

お客様の言いなりとなっているリフォーム予算

それでは、高額なリフォームを受注するにはどのようにしたらよいのでしょうか。私たちは高付加価値のリフォーム受注のポイントは「資金相談」にあると考えております。これまで、「高額リフォームは受注が難しい」と言っている多くの会社が陥っている問題点は、リフォーム予算がお客様の言いなりになっている点です。

高齢期に向けた「備え」に関する意識調査(内閣府、平成25年)の中では、将来的な蓄えに不安を持っている層は実に66.9%に及びます。

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こんな不安な心理状態の下でリフォーム予算をお客様が決めるのでは、本来的に望まれる工事に対して予算が合うことはあまりありません。多くの場合は工事額が予算を上回ることになるため、値引き交渉が入ったり、粗利を削っての受注になったりします。しかし、リフォーム工事を多く行うシニア層の平均貯蓄額からみると、多くのお客様は、本来ならもっと予算をかけて工事を行っても、その後の生活資金には問題がない可能性があります。なぜ、高額リフォームの提案現場で無理な値引き要請が起きて工務店・リフォーム会社が苦労するのかというと、お客様に「将来的な生活資金不安があるから」なのです。

まずは、「資金相談」を行うことにより、お客様にリフォーム予算の妥当性を認識してもらい、安心感を持ってもらうことが重要なのです。

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