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国内の住宅市場において、新築中心の市場からリフォームによる住宅ストックの品質向上を行うストック型市場への転換が進められようとしていることは周知の通りです。
本年度も事業継続が予測される「長期優良住宅化リフォーム推進事業」、「スマートウェルネス事業」など国交省が主導する事業からも、リフォーム市場における高断熱= 省エネ性能向上工事への期待が高まってくることが予想されます。
ところで、断熱・省エネ性能向上リフォームは美観を保ついわゆる表層リフォームに比べ、消費者の動機となりにくいと言われています。目に見える部分だけの改善を行う従来の一般的なリフォームと異なり、断熱性能向上が一見して分かるものではないことも一因と考えられます。住宅消費者が断熱効果の重要性を理解した上で、断熱リフォームの実施に踏み切る効果的な方法の一つとして、その温熱環境を「体感」することが有効であると考えます。
そこで、「ハウスINハウス」リフォーム後の実棟において、温度計測を実施し、「体感の見える化」に取り組みました。以下、その結果をご報告します。
2015年1月、全国数カ所のモデルハウスを含む実棟において、温熱環境測定を実施しました。
その中の一例、香川県高松市のケースについて、ご報告します。この建物は、築年数30年以上を経過した大手ハウスメーカー販売による軽量鉄骨造の建物です。この建物では、リビングを中心とし、キッチン、浴室など水廻りを含めた主たる生活居住エリアを断熱改修しています。今回の測定は、改修部分と日常的な利用に供しない非改修部分において実施しました。
一般に、室内において人間が感じる体感温度効果は、室温と内壁表面温度差(図表1参照)において把握することができます。室温が同一の場所において、内壁の表面温度が低い場合は、壁から「冷気[冷輻射]」を感じるので、不快感や室温以下の体感温度を感じるとされています。
測定の結果、香川県高松市の「ハウスINハウス」モデル棟における改修部分と非改修部分(既存維持エリア)の比較では、室温と内壁表面との温度差は断熱改修済みエリアで1.3℃、非断熱エリアで5.3℃と4倍の差が計測され、室温差以上に快適性向上に効果があることが確認されました。
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