シリーズ 眼を養う#004 R+house住宅のデザインを探る

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クライアントの要望は「中庭、ガレージ、静かに落ち着いて暮らせる住宅」。

建設地に立ち状況を観察したところ、東西には近接した隣家、道路を挟んだ北側には2・3階に大きな窓が配された住宅、南側は不特定多数が使う駐車場という立地だった。

クライアントの中庭を採用したいという想いや、様々な要因なども含めた検討の結果、騒音や視線からプライバシーを確保し、そして静かに落ち着いた生活を満たすために中庭型を採用するに至った。

都市の喧騒に背を向けたような外観をもつ反面、中庭は全ての主要室から見えるように住宅の真ん中に据え、接する部分を全て開放した。単純な形態の中にも入り組んだ動線を成立させ、視覚だけでなく動きからも広がりを感じられるよう玄関からガレージまで回遊性を持たせ、ひと繋がりの空間配列としている。また、浴室からも中庭の植栽が望め、憩いのひとときを演出するようつとめた。

唯一中庭に面していない洗面室からは、東南にある公園の桜が見える窓を配し、都市の風景も楽しめるようポジティブな計画になっている。

私が住宅設計で大切にしている「人と人、人と物、物と物の距離感」を「中庭」という住宅の真ん中をくり抜くことで実現しようと試みた計画である。

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中庭を中心に、LDK、書斎、ガレージ、という主要室を配することで、家族間の視線が交差しつつも距離を保て、程よく繋がる空間構成としている。植樹することにより、外界と閉じられた空間の中にも優しさが感じられる。

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南側の屋根を、冬至の太陽高度 32°以下の角度で北側下がりに折り込むことにより、冬も光が入るようになっている。バルコニー床は FRP グレーチングを採用し、階段部吹き抜けを介して住空間の奥まで光が届く構成とした。より明るくする仕掛けとして、中庭に面した外壁は光を反射する白色を採用。

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