シリーズ 調査を読む#005
住まいの改善意向について

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平成25年住生活総合調査(速報集計)(平成27年4月9日、国土交通省住宅局)より

住まいの改善意向について

世の中には様々な団体や組織によって市場動向の調査リリースが行われています。この企画は溢れる様々な市場調査から「HyAS View」読者の皆様にとって関心の高い、あるいは有益と思われる調査結果から参考となるトピックの紹介・解説、事業運営の参考となる情報提供ができればと考えています。

1. 住宅総合調査とは

住宅総合調査とは、昭和35年から平成15年まで「住宅需要実態調査」として実施されてきた調査で、前回平成20年から現在の名称に改められ実施されています。今回は、平成25年住宅・土地統計調査の調査対象世帯のうちの普通世帯から無作為に抽出した全国85,302世帯(平成25年12月1日現在)から76,096世帯からの回答を得てまとめられたものです(http://www.mlit.go.jp/common/001085916.pdf)。

今回のシリーズ調査を読む#005では、速報集計結果から住宅改善計画の有無やその傾向に注目して、結果を抜粋、報告をしていきます。

2.「改善(建替え+リフォーム)」に関して注目した調査結果

注目した調査結果(1) 今後5年以内の住み替え・改善意向

今後5年以内の住み替え・改善意向の問いには、住み替え意向を持つ世帯の割合が11.3%、建て替え意向の割合が0.8%、リフォーム意向の割合が6.8%となっており、今後5年以内の住み替え・改善意向のない割合が全体の約80%を占めました。

改善意向について経年変化を見ると、建て替え意向は総じて減少し、昭和63年の4.8% から平成25年の0.8%になっている一方で、リフォーム意向は、7%前後で横ばいとなっていることがわかります。(調査報告書、図33、表22)

一般に転居を伴う「住み替え」の意向が低下するのは、職業やライフステージの変化などを伴う若年世帯数の減少との関係が考えられますが、一方で改善(建替え+リフォーム)意向、なかでもリフォーム意向の回答割合が減っていない点は、今後の事業機会の拡大を予感させる結果といえそうです。世帯数の減少や高齢化など住宅需要の変動期において、リフォーム需要の底堅さを示す傾向と考えられます。

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注目した調査結果(2) 今後5年以内の改善意向の主な目的と具体的な工事箇所

今後5年以内に改善意向を持つ世帯が改善の主な目的を、回答割合5%以上の上位8項目から抜粋すると、「住宅のいたみを直す、きれいにする」が58.8%と最も多く、次いで「高齢期の生活の安全・安心や住みやすさの向上」が29.8%、「間取り、収納、設備などを使いやすくする」が22.8%となっています。(調査報告書、図36、図37、表8、表23)

今後5年以内の「リフォーム意向」を持つ世帯の考えている工事内容について見ると、「台所・トイレ・浴室・洗面所の改修」が53.6%と最も多く、次いで「天井、壁、床などの内装の改修」、「屋根、外壁などの改修」が32.5%となっているようです。

これを平成10年と25年の調査とを比較すると、「台所・トイレ・浴室・洗面所の改修」(+15.7ポイント)、「冷暖房設備・給湯・電気設備、太陽熱利用の温水機器、太陽光利用の発電機器の改善・設置」(+10.7ポイント)、「窓・壁などの断熱・結露防止工事」(+7.6ポイント)等の省エネ工事は大きく増加しており、「増築、間取りの変更、収納の改善・増加」(-14.3ポイント)が大きく減少していることがわかります。(調査報告書、図39、表28)

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