思い切った「高単価」が勝負の分かれ目 工務店が取り組むべきリフォーム事業とは
〜ポイントは専門性、異業種参入組には真似出来ない分野で勝つ〜

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労多くして益少なし 工務店のリフォーム事業の実情

「うちはOB客からの注文でリフォームは好調だから」全国の工務店経営者と話をしていると、こういった回答に非常に多く出会います。確かに社長や従業員のスケジュールを拝見すると、リフォームの工事や現地調査の予定でスケジュールはびっしり、とても忙しそうです。しかし、実際に営業利益ベースで事業を見てみると、案外リフォーム事業では利益が残らず、労多くして益少なし、という状態になっていることが多いのではないでしょうか。

原因は1件当たりの請負金額が低い(低単価)ことと、そこにかけている営業・施工での工数の概念の欠如だと考えられます。

リフォーム産業新聞社の調べでは、リフォーム工事の請負単価は全国平均で約55万円となっているそうです。大小様々なリフォーム工事があるはずですが、平均値をとってみると案外これぐらいの単価に落ち着くのではないでしょうか。思っていたよりも低い単価であり、仮に新築の請負金額を2,000万円とした場合、工事一件あたりの金額は、約36分の1の規模になります。

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リフォーム事業の収益化を図る上で、一つのポイントとして、55万円の工事にどれほどの工数をかけて仕事をするか、を考えることが重要になります。仮に新築工事とリフォーム工事の粗利が30%で同じと仮定します。営業利益につながる「工数」について、新築工事の打合せ期間が45日、工期が70日だったとすると、リフォーム工事はそれぞれ打合せ1.25日、工期1.94日で行わなければ収益上は新築工事よりも劣ることになります。

すべての案件がこの通りに進まないかもしれませんが、重要なのは請負単価にみあう工数であるかという認識です。実際に各会社計算してみると、営業工数・施工工数ともに非常に手間をかけていることが多く、これではいくら忙しく飛び回っていたとしても利益が残るはずはありません。

営繕・修繕の分野は競争激化 異業種の参入の脅威に勝つために

更に工務店のリフォーム事業は悪い方向に進むと考えられています。

従来のリフォームの受注では、主にOB客からの指名受注が多くあったと思いますが、そのような工事の主な内容は、古くなった住設の交換や手すりの追加などの営繕工事・修繕工事でした。

近年この分野の受注構造に大きな変化が訪れています。それは、拡大するリフォーム市場に注目した、異業種からの参入組の存在です。彼らは資本力を背景に低価格戦略をしかけ、さらに圧倒的な広告量で、これまで工務店に直接依頼をかけていたような層にアプローチし、より多くのお客様を獲得しています。ただでさえ低単価な工事に工数をかけすぎていることで収益性の低さが目立つリフォーム事業ですが、強力な競合の出現で、いっそう厳しい戦いが待っていると考えられます。ここで安易に値引き競争に参入すれば、これまで以上に収益性の悪い事業となってしまいます。まさに、これまで通りの既存の方法では通用しない時代が来たと言えるのではないでしょうか。

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