シリーズ調査を読む#007
消費者、事業者、ファイナンシャルプランナー に聞く「買い時感」

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「平成27年度下期における住宅市場動向調査結果」
(住宅金融支援機構2015年9月)より

世の中には様々な団体や組織によって市場動向の調査リリースが行われています。この企画は溢れる様々な市場調査から「HyAS View」読者の皆様にとって関心の高い、あるいは有益と思われる調査結果から参考となるトピックの紹介・解説、事業運営の参考となる情報提供ができればと考えています。

「住宅市場動向調査結果」は住宅金融支援機構が半年に一度実施している調査で、一般消費者、住宅事業者及びファイナンシャルプランナーの三者に対して行われた、平成27年度下期(平成27年10月から平成28年3月)の住宅市場動向に関するアンケート調査です。供給者、需要者、そして中立的な立場という異なる背景を持った三者の多面的な目線から市場動向を見比べることができる調査となっています。

今回は、同調査結果から、主要な回答について1.半年前との比較、ついで2.三者の見方の差について取り上げ、残り半年を切った平成27年度下期の市場を考えるヒントになれば幸いです。

1.今回調査と半年前の調査との比較から

1-1 住宅事業者の「受注・販売等の見込み」に関する回答

今回調査の回答では、図表1にあるように「平成27年度上期までと比べて受注・販売等の見込みが増加した」との回答は47.4%となっています。約半数の住宅事業者が住宅市場動向をプラスの方向にむかっていると考えていることは、好況感のあらわれと言ってよいのではないでしょうか。加えて、図表2の前回調査結果にも示されているように、「平成26年度までと比べて受注・販売等の見込みが増加」とした回答が38.1%となっています。前回との比較から見ても、住宅事業者にとって市場動向がプラスに向いていると考えている様子がはっきりと分かります。この背景として、調査では今回設置された回答選択肢「消費税引き上げ前の駆込み効果」が低金利に次いで上位の回答結果となっていることが強調されていますが、このあたりは現場の実感値と変わらないといえそうです。

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1-2 一般消費者の「住宅の買い時感」に関する回答

続いて、一般消費者は「平成27年度下期は買い時か」についてどう感じているのかを聞いた結果についてです。図表3にあるように、平成27年度上期までと比べて買い時感について「買い時である」との回答は49.2%となっています。図表4にある前回調査による「買い時である」が53.0%との比較でみると若干ではあるが、低下していることがわかります。低下しているものの、半数近くが買い時と回答していることから決して悲観的な市場動向ではないと考えられますが、一方で、「買い時ではない」との回答を比較してみると、前回調査の結果が4.4%であったのに対して今回調査では10.5%と上昇している点が気になります。その背景として46.1%(上位3項目まで複数回答)が「景気の先行き感が不透明だから」と回答しています。家計にまつわる不安背景としては他にも「将来の収入に不安があるから」、「今後も消費税が引き上げられることで、家計負担が増えるから」といった回答割合が高くなっており、「今」が買い時かどうかという問いへの回答にもかかわらず「将来の」漠然とした不安を理由にしている様子が読み取れます。

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