シリーズ調査を読む#007
消費者、事業者、ファイナンシャルプランナー に聞く「買い時感」

(ページ:2/3)

1-3 ファイナンシャルプランナーの「住宅の買い時感」に関する回答

この調査の特徴といえるのが、市場の需給当事者である住宅事業者と一般消費者にだけ聞くのではなく、第三者であるファイナンシャルプランナー(以下、FP)にもアンケートを行っていることです。今回調査では「平成27年度上期と比べて買い時か」という問いに対して、図表5にもあるように、「買い時である」との回答は62.3%で、一般消費者の回答に比べ13ポイントほど高い結果となっています。しかし、図表6で示した前回調査において「買い時である」との回答は80.8%と大変高い回答割合であり、今回調査結果は大幅な低下となっているといえます。さらにFPアンケートの結果における特徴として「どちらともいえない」との回答が前回17.3%から30.2%と大幅に上昇していることが挙げられます。この背景にはどのようなことがあるかについては、調査結果では詳細に触れられていませんが、一般消費者の回答にあった将来の不透明さをどう見るか、という観点からどちらとも言えないという回答が上昇しているのではないかと考えられます。

38-6-5

38-6-6

ここまで、平成27年度下期の「見込み」について前回調査との比較から見てきたわけですが、消費税増税前の時期を活かそうとする事業者と、おおむね良い環境であるとの理解を持ちながらどこかで将来の不透明感をぬぐい去れない消費者のそれぞれの立場が改めて鮮明になりました。ここで、事業者にとって改めて参考にすべき結果が図表7で示されています。将来不安を拭えない消費者に冷静な判断軸を提供するのがFPの本来の役割であるわけですが、例えばフラットの利用で金利上昇の不安軽減や将来の支出を明確にして家計の計画を立てやすくするような提案は、一般消費者の将来不安を軽減するのに大変有効な提案ですが、図表7で示したように、実はフラット35Sの金利引き下げという情報は住宅事業者やFPが「お客様の購入意欲を引き上げる」と言っているにもかかわらず、一般消費者は「聞いたことはある」、「まったく知らない」をあわせると68%を超え、ミスマッチがあると考えられる結果が考えられます。

38-6-7

このように、住宅事業者が伝えていると思っていながら、消費者に伝わっていない情報があるとすれば、それは伝えていないことと同然で、このような情報の差を丁寧に埋めてゆくことが、競合がひしめく市場の中で差別化の実現と優位性の獲得につながるのではないでしょうか。

page: p1 p2 p3

ページトップに戻る