シリーズ調査を読む#008
持ち家長期継続居住者の住宅需要に関する意識調査

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3.住み替え意向と満足度評価の関係性

繰り返し記しますが、今回の調査対象は現在の住まいに20年以上継続居住している50代から70代です。そうした世帯は「住み替え」はどの程度考えているのでしょうか。詳細な図表は示しませんが、調査結果によると、全体で15.8%が住み替えを考えているという結果となっています。またマンション居住と戸建て居住には差があり、マンション居住者の住み替え意向が20.0%に対して、戸建て居住者の意向は14.4%となり、戸建て居住者の住み替え意向は高くないことが分かります。

では、戸建て居住者の住み替え意向の有無によって満足度評価はどう変わるのでしょうか。それを示したものが図表3です。図表3から分かることは、住み替え意向がある居住者は「デザイン・間取り」、「バリアフリー対応」、「気密性・断熱性」、「住宅設備」においてはマイナス評価をしていることがわかります。つまり不満なので更新する、ではなく不満だから新しい住宅に移りたいと考えていることが分かります。一方で、住み替え意向が無い居住者の評価は、立地、住環境、ご近所つきあいと「場所」に付随する項目が高い評価ポイントとなっており、今更ながら住む場所を決めるにあたってはハコよりも場所が優先されるということが確認することができます。

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4.継続居住派の「今後」 について

前章でみたように、現在戸建てに住む居住者は約86%が現在の住宅に住み続ける意向を持っています。では、住み続ける意向をもっている居住者は現在の住まいを今後どのようにしたいと考えているのでしょうか。

図表4で示しているのは、今後の住宅をどうするかという意向を聞いた結果です。これによると、今後の住宅に対する意向の多数派(約69%)は「(改修しながら)現在の住宅のまま住み続けたい」となっています。改修をしながら、という意思表示よりもう少し積極的な居住環境の改善意向と考えられる「増築やリフォームをしたい」という回答は16.6%と決して多くないといえます。

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ちなみに、増築やリフォームをしたいという回答に限ると、回答数が小さくなり(N=45)参考回答ということになりますが、図表5には今後のリフォーム意向として、実施したいリフォームの内容が記されています。複数回答となり重要視する程度は不明ですが、内装外装の更新、水回りの更新、耐震補強、断熱改修という順に続いています。

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一つ気になるのは、水回りの更新(キッチン・トイレなどの水回りの改修)という内容であれば、約69%の「改修しながら現在のまま住み続ける」という回答における改修にあたる含まれる可能性も考えられることです。このあたりは調査設計まで遡らないと不明ですが、一つの推測として、リフォーム工事によって現在の生活に何らかの支障(一時的な引っ越しや機能が停止する期間が発生するなど)が生じるような工事規模を想定した場合に「増築やリフォーム」という回答になっている可能性があります。もしそういう差であるとすれば、69%の「改修しながら現在の住まいで住み続ける」という意向の中にも「リフォーム」とくくることが出来るビジネスチャンスがあると読み取ることが出来そうです。

リフォーム、改修という領域において、ハイアスではハウスインハウスという仕組みを事業者に提供しています。非破壊、定額、短工期な断熱改修という特徴は、今回の調査結果から、(大規模で引っ越しや機能停止期間を伴わない)改修をしながら「現在の住まい」に住み続けるという多数派の要望にマッチするものと考えられます。

(ハイアス総研 矢部)

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