シリーズ調査を読む#009
需要者の意識、行動から考えるリフォーム市場の行方

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『インターネットによる住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する第9回調査』より

世の中には様々な団体や組織によって市場動向の調査リリースが行われています。この企画は溢れる様々な市場調査から「HyAS View」読者の皆様にとって関心の高い、あるいは有益と思われる調査結果から参考となるトピックの紹介・解説、事業運営の参考となる情報提供ができればと考えています。

はじめに

今回取り上げるのは、少し前、平成27年3月に一般社団法人リフォーム推進協議会が発表した『インターネットによる住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する第9回調査』です。

住宅不動産市場は「マーケティング」の重要性が低い市場“であった”と言われることがあります。なぜかと言えば、これまでの住宅不動産産業は人口や世帯、さらに世帯所得も右肩上がりが続いた時代に興り、発展してきた産業であることが背景にあります。

人口も所得も成長する社会では、多数派にあわせた汎用的な商品・サービスを供給すれば売れ残ることはないと考えられ、尖った需要を発掘してそのニーズにマッチするような商品・サービスを開発、提供するような事業の必要は小さいと考えられていたからです。しかし、人口や世帯はすでに減少局面に入り、世帯収入も伸び悩む中で、従来のように汎用性の高い商品・サービスのラインアップ中心の経営で成長を持続できる産業ではなくなり、それに加えて地域消費者の需要をきちんと捉えて、独自の商品・サービスを開発、供給する必要が大きくなってきました。つまり「マーケティング」の重要性が増してくるというわけです。

このような変化のなかで、リフォーム市場においても同様にマーケティングの重要性が高まると考えられます。その仮説のもと、リフォーム需要の動向を把握することを目的とした市場調査である本調査から、その一部を抜粋して紹介したいと思います。

1.リフォームに関する情報の入手先

はじめにリフォーム需要者が、関連する情報(イメージ情報、内装材・設備機器、事業者)をどのようなルートで入手しているのかを聞いた結果から紹介します(図表1)。

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この調査結果によれば、戸建てリフォーム需要者、マンションリフォーム需要者のいずれの需要者もインターネットを主要な収集媒体としていることがわかります。しかもイメージ情報、内装材・設備機器情報、業者情報のいずれの情報についてもインターネットを使って収集しています。なかで、やはりそうかと感じ注目したことですが、企業のショールームやカタログといった媒体(機会、場)は業者情報を収集する入手経路であるという回答割合が、イメージ情報や内装材・設備機器情報の入手経路であるという回答割合よりも低くなっていることです。一見すると、業者情報、つまり提供される工事の性能、品質、実績などの情報や、あるいは提示される見積りの相場が曖昧であるかといったリフォーム業者の信用性は、業者が自ら発信するショールームやカタログ上の情報を受容するのではないか、と考えられます。しかし調査結果ではそうではなさそう、という結果があらわれています。以前このコーナーでも紹介した野村総研の「生活者一万人アンケート」では、消費者はより正しい情報を得ようと考えるとき、業者が自ら発信する関連情報より第三者評価や専門家のレコメンドとして発信される関連情報に対して高い信頼を示す場合があるという調査があります、おそらくこの結果もそのような傾向の現れではないかと考えられます。

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