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図表1は弊社が見立てたこれからのリフォーム市場を分野ごとにプロットしたセグメントイメージです。
このセグメントから見るべきポイントは、分野として成長可能性がそもそも高いか、つまりは社会的ニーズが強いかどうかという点。そして高い付加価値が得られる分野であるか、例えば寡占的か競争的かの差や、あるいは専門的な特別な技術の有無によって獲得できる利得の大きさが大きいか、という点です。
図で見た左上の象限では、既存住宅を維持管理する意識が高まることが見込まれる分成長期待はあるものの、その規模はそもそも小さく、しかも大資本異業種の参入によって価格競争が考えられます。これから戦う場所として選んでも対価を得にくい分野だと考えられます。
下にある象限を見と、太陽光架設による創エネルギーリフォーム分野は、FITが前提とする政策的で作られた分野であり、買取価格の低下とともに、売電を目的とした市場は縮減してゆくと考えられます。また、耐震リフォームについても、すでに新耐震基準以降のストックが80%を超えていることを考えれば、高い成長率が期待できるとは言いがたいのではないでしょうか。
最後に示した右上の事象には「断熱リフォーム」分野があります。結論を先に言えば、この分野こそ「成長期待の高さと得られる果実の大きさが両立した分野」だと考えます。次にそう考える背景に触れて行きます。
少し大きな話となりますが、国の財政上の課題において社会保障費の比率は大変大きく、しかも年々増加しています。こうした負担を軽減するためには国民の「健康」を保つことが重要になります。
ところで、住宅は「健康」に関与できるのでしょうか?リフォーム施工結果の検証ではないですが、新築施工と断熱性能の関係を捉えた先行研究において、断熱性能の高さが血圧など健康状態を示す値の改善に有効であるという結果が示されています。このようなことを踏まえ、財政課題の解決と国民の健康を両立するためにも「断熱」分野は注目されるべき市場であり、伸びてゆくべき分野であると言えます。
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