情報を集めることが強みの時代から、情報を使いこなすことが強みの時代へ
~CMAはこれからの不動産エージェントにとって強力な情報提供ツール~

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さる5月27日、改正宅地建物取引業法(宅建業法)が参院本会議で可決、成立しました。この出来事は今後の不動産売買仲介の営業現場でどのような変化がもたらされるのでしょうか、何を準備しておかなければならないのでしょうか。

改正の本質的な目的は「情報提供の充実」

今回の改正では、インスペクションのあっせんと実質的な義務化に注目が集まっています。それに反応して、多くの宅建業者はインスペクションの提供に関して着々と準備を進めていらっしゃる事と存じます。しかし、果たしてインスペクション提供の準備をする事で今後の流通市場において勝ち組となり得るのでしょうか?

実は、インスペクションはそれはあくまでも手段であって目的は「既存建物取引時の情報提供の充実」ということは一読すればわかることです。私達はインスペクションの提供が出来るか否かは宅建業者として最低限の準備を整えたに過ぎないと考えています。競合に対して優位に立つためには、可能な限り「情報提供の充実」を進めることこそ重要であり、さらには「情報提供の品質」を高めることが不動産売買仲介において一番の差別化ポイントになってくると考えています。

情報提供における品質とは何か

不動産仲介業が提供するサービスにおいて、その価値の源泉はマッチングです。特に買主側に立つ仲介業者では、購入希望のお客様の希望条件を整理し、条件に最適な物件情報を提示、マッチングを成功させることで買主から手数料を得ています。しかし、現実には希望条件をヒアリングする過程において期待値調整を誤れば、(1)価格(2)立地(3)建物の全てが揃った、いわば市場に存在しない物件探しを諦めさせる「説得」しか提供できず、あるいは自社が売主様から預かった「売りたい物件」をマッチングしようと「説得」し続けるような関係性しか作れない営業も多いのではないでしょうか。このような「説得型」マッチングでは、購入希望者は自ら物件を選んだと言う「実感」を持つ事が出来ず、むしろ「買わされた」と気持が強く残ってしまい、マッチングの対価である仲介手数料を払いたくなるような顧客満足度に到達するはずもありません。もっと言えば、それ以前にそのような宅建業者の前から去っていってしまうのではないでしょうか?

もうおわかりでしょう。つまり、情報提供における品質向上とは、従来型の「説得型」マッチングから抜け出し、「情報提供のあり方」そのものを変えていくということです。

業法改正を期に大きな変化を遂げる不動産売買仲介業において、顧客から選ばれ勝ち残る為には、市場に存在しない物件を「説得型」マッチングから、例えば、希望駅から一駅外す事でより条件の良い条件の物件が見つかるといった様な、お客様の「思い込み」を解除し、“比較するという行為を可視化し”、“溢れる情報の中から選択肢を提示する”ことやり方への移行が重要となります。そして、そのプロセスこそ、仲介手数料の対価であり選ばれる業者への道だと考えています。

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