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お話される経験事例の中で、特に会場の反応が大きかったと感じたのは、境界未定の土地の売却に関わった事例でした。県外に住む複数の所有者の間に入って、査定から売却まで大変な苦労の連続だったという話をされていました。そのような状態の土地は相続のときにトラブルになりやすいということが狙い通りに伝わり、「へぇ~」という声が起きたり、その場で質問が出たりと実践経験のある社長への信頼感が高まっている雰囲気を感じました。終了後は「個別に相談したい」と具体的に話に来られる方もいらっしゃり、アンケートでも勉強になったという声が多くあがっていました。
勉強会の開催効果は早速現れ、商談につながりました。第一回目の勉強会に参加した80歳の女性が勉強会後にすぐに相談に来られたそうです。
ご相談は「相続で何か手続きをしなければいけないことすら知らなかった。勉強会では相続税は10ヶ月以内に納税しなければいけないと言っていたけど、まずいのでしょうか?」という内容。彼女のご主人は2年半前に亡くなられていて、ご家族は、離婚して孫を連れて家に戻ってきた同居中の娘さん、その上に長男、次男があり、それぞれ東京と松山市に住んでいるということでした。必要な手続きを再度お伝えしたうえで、大まかに資産の内容をお聞きすると、駅の近くに自宅と農地をお持ちで、ほかに現金もあるということだったので、後日、娘さんも一緒にT社が懇意にしている税理士のところにお連れしたそうです。
相続税の算定は30~40万円程度でしたが、この際、農地は売却をしたいという方向に話が向かったそうです。それは、農地はすでに他人に耕作してもらっていること、亡くなったご主人の弟が共有名義に入っているため次の相続が起きると弟さんの子世代を含めて共有することになり扱いに困ること、さらに同居する娘・孫との生活資金として現金も得たいというご事情からの検討でした。これにはそれまで関与していなかった次男や東京に住む長男、そしてご主人の弟も合意。相談に来た女性からは、「3年経つ前に相談できてよかった。先に税務署が来たら法定通りに分けていたと思うし、トラブルになったかもしれない」と感謝されたそうです。
ご相談者のご意向を受け、T社から自社買取を提案。この農地はおよそ600坪の広さがあり、駅近の好立地で住宅地に最適な土地として需要は大いにあると見込んだからです。造成費用などを差し引いても最終的に 3,000万円以上の利益が期待出来るとのことです。「相続相談を起点」にビジネスチャンスを広げることができたということです。