ハイアス・アンド・カンパニーがお届けする、住宅・土木・不動産業界の経営革新情報サイト
HyAS View netでは、ハイアスメンバーがキャッチした業界の最新情報や関連ニュースなどを取り上げたコラムをブログとして公開しています。
皆様のお役に立つ情報をキャッチするアンテナとして、ぜひお読みください。
先日、不動産流通市場の視察のためにアメリカ・ワシントン州シアトルに行ってきました。
今回と次回はそのご報告とともに日米の不動産マーケットの違いについて書きたいと思います。
「アメリカの住宅は資産価値が下がらない」という話を聞かれたことはありませんか?
住宅を買った価格と数年間住んだ後に売る価格にあまり差がないという話です。人気のある街区の住宅なら買った時の価格よりも高い価格で売れたというケースすらあります。
アメリカにはサブプライムローン問題の影響を引きずって住宅価格が大きく下がっている都市も確かに存在しますが、住宅による資産形成に結びつく都市計画に成功しているワシントン州シアトルではさほどサブプライムの影響もなく、最近では住宅価格はむしろ上昇しています。
その秘密はなんなのでしょうか?
今回視察に行った街は米国北西部に位置するシアトルです。イチローがいたシアトル・マリナーズの本拠地としても知られていますね。シアトルに着いてまず印象的なのは街全体の美しさです。人口56万人の西海岸有数の大都市でありながらワシントン湖やユニオン湖などの数多くの湖に囲まれた街は豊かで美しい緑に包まれています。
住宅地は青々とした木々と芝生の前庭を持つ洗練されたデザインの家がきれいな街並みを形作っています。誰もが「ここで暮らしたい」と思えるような計画された街づくりがなされているように感じます。
シアトルの住宅の平均売買価格は、1990年を起点としたこの20年間で、前年対比平均で5.0%程度の上昇で推移してきています。
住宅の価値が上昇していくわけですから、シアトルに家を買って数年住むと資産ができるわけです。
例えば、若いときに中心市街地にある住宅を買って、老後はその住宅を売却して得た資産で郊外の別荘地のようなところの住宅を買ってのんびりと老後を過ごす、なんていう人生計画が本当に実現されているのです。シアトルから車で一時間ほど走った緑あふれる広大な高齢者住宅街区にも行きましたが、ゴルフ場に隣接した別荘のような住宅に住み、プールやジムのある立派なセンターハウスで汗を流すシニアの皆さんが生き生きと暮らしておられました。こういう優雅な暮らしが決して一部の富裕層だけでなく、中間層でも実現できているところが素晴らしいと思いました。
30年後には建物の価値はほとんどなくなる日本とは大きく状況が異なります。
うらやましい限りですよね。
企業の倒産が減っているようです。景気がいいんでしょうか?
企業の倒産がこの20年間で最も少なかったそうです。
<企業倒産件数 上半期、20年間で最少> (日本経済新聞2012年7月10日付)
『東京商工リサーチが9日発表した2012年上半期(1~6月)の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は、前年同期比3.2%減の6311件だった。上半期としては3年連続の減少で、過去20年間で最も少なかった。』
「景気がこの20年間でもかなり良い!」などという実感はあまりないのではないかと思います。それでも企業の倒産件数が減少しているのは、「中小企業金融円滑化法などの政府の資金繰り支援策や、東日本大震災からの復興需要が寄与」(同記事抜粋)しているからです。
特にずっと構造不況業種であった建設業などの倒産が減少しているようです。
倒産がないのは良いことですから、このままいけばいいですね。