HyAS住宅不動産業経営戦略コラム

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住宅・不動産業界の経営戦略

住宅業界が知っておくべき2020年開始の省エネ基準の義務化


新築住宅を建築する際に「省エネ基準」への適合が2020年に義務化されます。省エネ基準とはそもそもどのようなものなのか、なぜ義務化されるのか、改めてその概要と、住宅関連企業が備えるべき対応について解説します。

省エネ基準とは

省エネ基準とは、「建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)」に基づいて定められている、建築物のエネルギー消費性能を表す基準のことです。

省エネ基準は1980年に初めて設けられ、その後、1992年(非住宅は1993年)、1999年と段階的に強化されてきました。とくに1999年の改正では「次世代省エネルギー基準(平成11年基準)」と呼ばれる大幅な見直しを実施、さらに東日本大震災後の2013年には新たな基準として「改正省エネルギー基準(平成25年基準)」が導入されました。

この改正省エネ基準は非住宅に対してすでに2014年4月から完全施行され、2015年4月からは住宅に対しても完全施行されています。ただし、この時点ではあくまで建築主への努力義務規定であり強制力はありません。ところが2020年からは、新築住宅の建築に際してこの改正省エネ基準(平成25年基準)に適合していることが義務化される予定です。

建築物の省エネ化に関する工程表(案)など、今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方について参考となる資料は、国土交通省住宅局住宅生産課が公開しています。
「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策の あり方について(第一次報告)」(骨子案)

省エネ基準の義務化の背景

そもそも、1979年に制定された省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)は法律の目的「内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、工場等、輸送、建築物及び機械器具等についてのエネルギーの使用の合理化に関する所要の措置、電気の需要の平準化に関する所要の措置その他エネルギーの使用の合理化等を総合的に進めるために必要な措置等を講ずることとし、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」にもあるように、石油危機を契機として貴重な資源を産業、民生部門で有効に使うためにできた法律です。建築物省エネ法はその後、住宅・建築物の省エネを一層推し進めるために、2015年7月の通常国会で可決・成立し、公布されました。

資源エネルギー庁によれば、住宅・建築物部門のエネルギー消費量は日本の全エネルギー消費量の3割以上を占めています。しかも、1990年から2011年までの20年あまりで、約33%(住宅部門のみでは約25%)も増加しているという状況があります。同期間で、住宅部門の二酸化炭素排出量は48.1%増えたとのデータもあります。そのため住宅・建築物部門における早急な対策が必要とされ、2020年の省エネ基準の義務化はそれを受けてのものとなっています。

義務化によって得られる効果

繰り返しになりますが省エネ法の目的は貴重なエネルギー資源の有効活用の促進にあります。しかし、省エネ基準(平成25年基準)への適合義務化は、それだけでなくその住宅で暮らす人々にとっても恩恵あるものになることが目指されています。

ユーザーにとって具体的なメリットの一つは光熱費の削減です。また、「快適な室内環境」の実現も謳われています。たとえば政府は2020年のさらにその先を見据えた新しい住宅のかたちとして「ZEH(ゼッチ:ゼロエネルギーハウス)」を提案しています。
ZEHは断熱などによってエネルギー消費量を抑制するだけでなく、太陽光発電などによってエネルギーを創り出すことで、年間の一次エネルギー消費量の収支をプラスマイナスゼロかプラスにする住宅です。経済産業省は2020年までにハウスメーカー等の建築する注文戸建住宅の過半数でZEHを実現することを目標としています。ZEHをはじめとする省エネ基準対応の住宅が、住環境と暮らしの品質を向上させると期待されています。

次世代基準(平成11年基準)から改正基準(平成25年基準)への変化 2020年の義務化に向けて企業が取るべき対応

以前の省エネ基準では建物の外皮と呼ばれる壁や開口部などの断熱性能のみを評価するものでした。しかし改正省エネ基準(平成25年基準)では、新しい計算方法による外皮の断熱性能に加え、空調、給湯、照明、換気などの一次エネルギー消費量の2つをモノサシとして評価するものに変わっています。

今後、ハウスメーカーや工務店にとって重要な意思決定は、顧客の立場に立って短期的な目線で対応するか長期的な目線で対応するかを決めることです。建物と設備の耐用年数は違います。創エネや省エネ設備によるエネルギー消費にばかり目を向けることは長期的な視点に立てばどちらが顧客志向であるかは一目瞭然です。その意味でいかにしてコストアップを最小限にとどめつつ、基準に適合した省エネ性能を備えた家づくりを実現させるかが重要な課題となるのです。

まもなくやって来る省エネ基準義務化。住宅販売・建設業界が住宅の省エネ性能と真正面から取り組む時代は、すでに始まっています。

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ハイアス・ビュー・ネット R+house
2020年省エネ基準適合義務化についてもっと詳しく知りたい方はこちら

引用元:
資源エネルギー庁 省エネ法の概要

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