またまた円高不況?

■今の政府にお願いしたいことは・・・?

ちょっと前に「今の政府に期待することは?」というニュースがありましたが、その第1位は「景気対策」でした。

リーマンショックから早2年。
「もう不況には疲れました。何とか景気回復を・・・。」という私たち市民の悲鳴ですね。

でも、「景気対策」などという曖昧な表現では、またまた勘違いしてバラマキの予算が取られかねませんので、もう少し具体的に言う必要があります。

私が思うに、「景気対策」の中でも特にこれ↓ですね。

<円高:一時84円台 15年ぶりの水準>(日本経済新聞8月12日付)
『11日の欧米外国為替市場は、米景気の先行き不透明感が強まっていることを背景に、ドルを売って円を買う動きが強まった。ロンドン市場で円は一時、1ドル=84円72銭をつけ、95年7月以来、15年ぶりの円高水準となった。
円は、ユーロに対しても買われており、ユーロは前日比2%以上円高・ユーロ安の1ユーロ=110円14銭をつけるなど、円が独歩高の展開となっている。』

こんな水準で円高が続けば、自動車や家電など日本経済の根幹である輸出企業の業績が悪化します。
日経平均株価も下がるでしょう。せっかく回復途上にあった日本経済はまたガタガタになる危険性が非常に高まっています。

それに対して、政府の反応はこれ↓です。
<注意深く見守る 野田財務相>(日本経済新聞 8月12日付)
<円高動向を注視するよう指示 菅首相>(同 8月13日付)

いやいや、もはや注意深く見守っている水準ではありません。
今回の円高局面は、アメリカも欧州も、かなりの思惑を持って自国通貨安を志向している結果と思われます。
ですから日本もすぐに対応すべきです。

■他国の「通貨安」にやられっぱなしの日本・・・

日本だけでなく、アメリカも欧州もなかなか不景気から抜け出せず、自国経済の伸び、つまり「内需」が期待できない状況です。
ですから成長途上にある新興国などの「外需」に活路を求めることになりますが、外需を伸ばすために一番手っ取り早いのが、「通貨安政策」です。

85年のプラザ合意以降の「円-ドル」だけでなく、近いところでは97年の通貨危機以降の韓国のウォンもそうでした。また中国は今も「人民元」を政策的に安く抑えています。先ごろアメリカからの政策的な要請で、実質的な人民元の切り上げが決まったにも関わらず、元の上昇に対しては慎重に為替介入をしているようで、最近ではまた元の水準へ下がってきています。

「経済政策において通貨安政策なんていうのは邪道、あるべき姿は新産業育成などの産業構造の転換や技術革新などで自国経済の成長につながるような地道な政策に取り組むべし」。これが正論。
でも事態はそんなきれいごとを言っている場合ではない、ということでしょう。
事実、米欧中などが通貨安を武器に輸出拡大を進める中で、その影響をモロに受けているのが日本なのです。

■日本だけが成長しない・・・

今週、GDP(国内総生産)の「4月~6月」の発表がありました。

新聞によりますと、
ユーロ圏16カ国の実質成長率は年率換算で「4%」程度の増加。
ユーロ圏成長の一番の要因は「新興国向けの輸出の伸び」。
ドイツの自動車やフランスの高級ブランド品などのユーロ域外への輸出が好調だったとのこと。
ユーロ安に伴って高級ブランド品に割安感が出れば、(旦那さまには厳しい)奥さまも思わず・・・・となってしまうんでしょうか。

一方、わが日本の4月~6月のGDPは・・・
景気の二番底が懸念されているアメリカでも年率換算で「2.5%増」程度だったのに・・・。
年率換算で「0.4%増」。

景気減速懸念から日経平均株価もまたまた下がりました。

国際マーケットにおいて、
日本の「円」だけが高く、日本の株式市場だけが低迷し、そして日本だけが成長しない。

各国が自国経済を守るためになり振りかまわず通貨安政策を志向している中、足並みそろえて円高防止の協調介入(※日米欧の各政府や中央銀行が協調して円を売って市場を冷やすこと)などはありえないでしょう。
またマーケット規模が大きくなったことなどから一国政府だけの為替介入は効果がない、といった指摘もあります。

それでも、国として「円高を容認しない」という姿勢を見せることは大事ではないでしょうか。
日銀と連携しての一層の金融緩和と併せてやれることは早急に取り組むべきと思います。

このまま放置して一層の円高が進めば日本の経済は、間違いなく、かなり深い不景気の二番底へ転落です。

もちろん、政府には為替変動に耐えられる強い産業基盤を整えるための成長戦略もお願いしたいですが、すぐにできることという意味でまずは円高阻止に向けて強い姿勢を見せていただきたいと願っています。

2010年8月17日 火曜日 13:06 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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