2014年は申し訳ないくらい残念な一年でした…

メリークリスマス!
いよいよ年の瀬ですね。今回は今年2014年を振り返ってみたいと思います。

■一年前にみていた2014年とは?

ちょうど一年前のこのコラムで「2014年はこんな感じの経済になるのでは?」としてざっくりとした展望を書きました。

<2014年の経済はどうなるか? ~2013年の振り返りとちょっと早い2014年の展望~>
(2013年12月24日 ハッピーリッチ・アカデミー182号)

『(前略)2014年4月には消費税が上がります。その反動で、2014年度の第2四半期、4月~6月は間違いなく消費は落ち込み、経済はマイナス成長するでしょう。
だから金融緩和は止められない。それどころか市場では、「日銀は今以上に追加の緩和に動くのではないか?」という見方もあるくらいです。
一方、米国では景気回復が順調で金融緩和縮小への市場の理解も進んでいます。この方針の下ではっきり言えるのは「日米金利差はますます広がる」ということ。金利差が大きくなれば、ドル高円安基調はさらに加速します。
(中略)円安になると株価が上昇しやすくなるので日経平均株価もそれなりに動いていくと思います。少なくとも、消費税反動減の状況がはっきりする上半期中は、今の円安ドル高と株高。そして低金利は続くでしょうね。(中略)状況次第では下半期くらいに1ドル=120円くらいになっているかもしれませんね(ちょっと言い過ぎ?)。
企業業績がよくなって、投資や在庫積み増しが本格化して、給与水準が上昇していくかどうか。来年、特に上半期はそういうことを見極める時期になりそうです。』

まあ、今年は官制相場でしたから誰にでもわかる展望でしたが、ほぼその通りになりましたね。
株価は一年を通じて上がり続けて、12月には1万8千円を超えました。
アメリカが緩やかに金融緩和を終えていく一方で日本は10月末にもう一段の金融緩和をしました。お蔭でさらに日米金利差が開き、円安ドル高はさらに加速しました。一年前は1ドル=104円くらいだったのが12月には122円を超えました。一年前にはさすがに誰も120円台になるとまでは思っていなかったと思います。「120円になったらさすがに日本経済が持たない」と言われていましたからね。(そうなってしまいましたが)。

■想定外だった「消費増税延期」と「衆議院解散」

想定外は、消費税の8%→10%への増税が延期になったことでしょうか。
4月に実施された5%→8%の増税の反動減があった第2四半期(4~6月)に続き、回復が期待された第3四半期(7~9月)のGDP成長率も0.5%減とプラスに転じなかったことが大きかったですね。
7~9月のGDPがマイナスになった要因としては、在庫の積み増しが出来なかったこと、住宅投資の落ち込みがひどかったこと(△6.8%)、給与水準は2.6%プラスになったもののそれ以上に物価が上がったことで消費が0.4%のプラスにとどまったことなどがあげられました。

そのため、消費増税の延期とともに「アベノミクスを検証する」というムードが高まり、12月に衆議院は解散し、総選挙がおこなわれましたね。

■2014年は「申し訳ないくらい残念な一年」

2014年第4四半期(10~12月)のGDP成長率はおそらく劇的に改善するでしょう。そして新しい政府はさらなる景気対策を打つでしょうから、2015年はスタートから景気回復ムードで始まるのではないかと思います。
しかし、2014年だけをみると経済的には残念な一年だったと思います。
円安になり、確かに株価は上がりましたが、景気の回復は遅れ、GDPは増えず、結果消費税を上げることすらできませんでした。結果だけみれば、景気対策と社会保障の増加で歳出は増えましたが、一方で税収を上げるためのベースの拡大も叶わず、税率のアップも行わなかったわけです。
歳出が増え、歳入が増えない、となると政府の借金は増えることになります。財政は悪化することになります。

次世代の子供たちに申し訳ない、と思います。
いつまでたっても私たち今の大人が強い経済基盤を作ることができないことに。
政府が無理をして、金融緩和をして、財政支出までしているのに、経済基盤を強くすることもできず、自立的に経済成長を果たすこともできず、またまた将来にツケを回す形で景気対策をすることを。

いまだに「政府が悪い」とか「アベノミクスが悪い」とか言い続けている人たちがいます。そうではなく、いつもここで申し上げていますが、経済成長は私たち民間が果たすべきことであり、社会に関わっている大人全員が責任者です。
消費をして、設備投資をして、生産性高くモノ・サービスを生み出し、技術革新もする。そういう結果が経済成長につながり、所得と税収を増やします。

今年、皆さんの会社は投資をしたり、在庫を増やしたりされましたでしょうか?
技術やサービスのイノベーションはありましたでしょうか?会社は利益を上げられましたでしょうか?
結果、皆さんの所得は増えましたでしょうか?

そう考えると私も反省しきりですが、要するに、そういったことが日本全体でまだまだ不十分だったということなのだと思います。

■「格差」は政治が生むものではない

私は今年の5月に、「金融緩和はどこかで収束に向かわせてソフトランディングをした方が良い」というようなことを書きました。

<異次元金融緩和の先にあるものはなにか?~日銀はどう異次元緩和を収束させていくのか?~>(2014年5月7日ハッピーリッチ・アカデミー191号)

金融緩和も財政支出もあくまで経済成長の起動をかけるためのものであり、長く続けるものではありません。今はまだ経済が強くなっていないので継続は仕方がありませんし、中途半端な状態で止めることほど無駄なことはありませんから良いのですが、当然、「副作用」もあるので経済が強くなってきたらどこかで止めるべきです。

「副作用」とは、「財政悪化」と「バブルの発生」です。その結果、経済的な格差も拡大します。

よく「アベノミクスが格差を生んだ」的な話があります。ひどいのになると「景気を重視する経済至上主義から格差が生まれる」などと言われたりしますが、それはまったく違います。

経済至上主義が格差を生むのではありません。経済が弱いから格差が生まれるのです。

経済が弱いと所得は増えないし、失業が増えます。その中でインフレになったりすると資産がある人以外はみんな生活が苦しくなります。
だから経済を強くするために政府が金融緩和をしたり、財政出動したりします。金融緩和や財政出動をしたとしても経済実体が弱いと金融緩和であふれたマネーが金融市場と不動産市場に向かい、マネーゲームが行われます。株価が上がったり、不動産が値上がりしたりと市場が過熱してちょっとした「バブル」になったりしますとこのプロセスで一部の新たな富裕層が生まれます。
でも「バブル」は「バブル(実体の伴わない泡のようなもの)」ですから行き過ぎますといずれ崩壊します。
バブルが崩壊しますと、個人だけでなく、企業も政府も増えた借金だけが残ります。
崩壊したときに社会構造から転落する人も出たりして、このプロセスで新たな貧困層が生まれます。
政府の借金が増えて、財政が悪化すると、増税されたり社会保険料などの公的負担が増えたりして、一般庶民を苦しめます。

これがこの20年間日本で起きてきたことですが、これは政府が悪いのではなく、経済が弱いことが悪いのです。戦後の日本だって、今の中国だって経済成長したから貧しさから這い上がれたのです。

2015年は景気の本格回復の年になると思います。この回復タイミングで経済基盤そのものを強くしたいものですね。

東京の不動産はすでに実勢をかけ離れた水準で取り引きされています。バブルにならないように気を付けたいものですね。

本年は今回で終わりです。
来る年に日本がもっとよくなりますように。

2014年12月24日 水曜日 18:08 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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