海外留学8年ぶり増 海外留学生数が再び増加傾向に

今回は「留学」についてです。
お子さんが「留学したい」と言ったら、お父さん、あなたはどうしますか?

■海外留学生が再び増加傾向に

近年、若い人たちの間では、海外勤務志望者や留学生が減少しているという話をよく耳にしました。
「内向き志向」などと言われていましたが、そんな流れが少し変わってきているようです。
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<海外留学8年ぶり増 中国へ2万人、米抜き最多 12年、文科省「内向き志向改善」>
(2015年2月28日付 日本経済新聞)
『2012年に海外留学した日本人は6万138人(前年比2,637人増)となり、8年ぶりに増加に転じたことが27日、文部科学省のまとめで分かった。経済のグローバル化を背景に留学への関心が高まり、文科省は「若者の『内向き志向』に改善がみられる」と分析。国は20年までに12万人に倍増させる目標を打ち出し、奨学金の拡充などで後押ししている。』

文科省の統計によると、1980年代に大体1万4千~5千人程度だったのが留学生は90年代に入る前あたりから増え始めて、89年には2万人を突破。その後右肩上がりで増え続けて、ピークの2004年には8万3千人にもなりました。しかし2005年以降、景気の悪化もあって7年連続で減少し、2011年には5万7千人に。それが2012年にようやく反転して6万人を超えた、という記事ですね。

■留学相手国トップは?

留学先として特に増加したのが中国です。それまでトップだったアメリカの1万9568人(前年対比2%減)を超える2万1126人(前年対比18%増)が中国へ留学しました。それでも3位の英国(3633人)、5位のドイツ(1955人)など、約7割が欧米へ留学しています。

一方、留学生として日本の大学に在籍している外国人数は13万9185人(前年対比2.7%増)です。
留学で外に出る日本人が6万人ですから、2倍以上の外国人の若者が日本に学びに来ているのですね。
その出身地域は、92%がアジアです。トップの中国(7万7792人:前年比5%減)、2位の韓国(1万3940人:同9%減)、3位がベトナム(1万1174人:77%増)です。(←ベトナムの伸びがすごいですね。)

文科省のホームページに、『日本人の半数以上が米国に留学し、欧州と合わせ約7割が欧米に留学している。相互交流の観点からは、受入れ留学生の多いアジア諸国への留学、体験についても配慮・誘導が必要である。』という記載があります。そういう意味では日本人の留学先で中国がアメリカを抜いたということは文科省にとっては嬉しいニュースなんでしょうね。
中国への留学生が増加した要因について文科省は『経済成長を背景に、中国の有力大学と協力関係を結ぶ日本の大学や研究機関が増えている。』としています。

中国は輸出も輸入もトップの貿易相手国です。色々と話題に事欠かない中国ですが、好き嫌いに関係なく、経済的にはもはや切っても切れない関係にあります。そういう意味ではお互いの国のことを良く知る留学経験のある若者が増えるのはこれからの両国の関係発展にとって良いことだと思いますね。

■若者が海外留学する意義とは?

文科省のホームページを見ていますと、留学生を増やす意義として、『グローバル化した社会に対応』、『諸外国への国際的理解・知識の拡大』、『語学力の向上』、『国境を超えた幅広い人的ネットワークの形成』、といった言葉がたくさん出てきます。
確かに、「将来はグローバルに活躍したい!」という若者が、語学力を高めたり、外国の文化を理解したり、グローバルな人脈を作ることを目的に留学するということはよくわかります。しかし、「国内で仕事をしたい」という人たちにとって留学は意味がないかというともちろんそんなことはありません。私は、留学はどこの国へ行くにせよ、将来的にどこで働こうとも、すべての若者が経験すべきことだと強く思っています。

私は小さい頃から「将来は海外で働きたい」とずっと思っていました。できれば学生時代に留学したかったのですが、とてもじゃないですが資金がなくて無理でしたので、「それならば」と海外で働ける会社に就職させてもらい、その会社の海外派遣実習員制度に応募しました。3年目、25歳の時に念願かなってスペインの大学に一年間留学させてもらうことになり、帰国後に2年間国内で働いた後に今度は勤務で3年間スペインに行きました。
結局、その会社には10年間働かせていただいた後に転職、今は完全に国内で仕事をしております。今、日々の仕事でスペイン語はおろか英語も使うことはほぼありません。でも、あのスペインで暮らしていた期間や語学の勉強に費やした時間が無駄だったとは全く思っていません。むしろあの時間があったから今の私があると思えるほど今の私の生き方や考え方に影響を与えてくれています。

■留学とは「自分が何者かを突き付けられ続ける環境に身を置くこと」

海外に住んで外国の人たちと触れ合って一番意識させられたことは「私は日本人である」ということでした。常に外国の友人たちから日本の歴史、宗教、文化、経済、風習などについて聞かれます。留学して初めていかに自分が日本のことを知らないか、自分の考えがないかを思い知らされました。
自分は何者なのか、自分の考え方の根底にあるものは何なのか。
そもそも外国では、いくら言語ができようと自分のことをちゃんと話せない人とは本当の意味でのコミュニケーションが成立しません。だから自分のアイデンティティとは何かということを考え続ける日々を送ることになります。
例えば、私は自分のことを無宗教だと思っていましたが、カトリックやイスラムの友人たちと話しているうちに自分が父や母から受け継いだ暮らしの考え方の中に仏教や神道の教えがあることに気付かされました。「日本人はお米一粒にも神様が宿っていると考え、手を合わせて感謝して食事をする。」という話をすると皆が私を尊重してくれました。

外国でのコミュニケーションの前提は「個」があるかどうかです。「個」がない、いわば何を考えているかわからない、どんな思想的背景があるかわからないような人と話す時には外国人は決して本心を話しません。外国では自分の考え、自分の信じるところをはっきりと話せることが大事です。日本のように同じ文化を共有していないので、「何となく言わなくてもわかるでしょ」は通じない世界です。ヘラヘラしているだけでは気味悪がられます。そう考えると、国際感覚を持つ上で大事なのは言語を習得することもそうですが、まず日本人としての自己のアイデンティティをしっかり持つことが大事なのだと思います。

私は留学後、それまであまり勉強してこなかった日本の歴史や文化を学ぶことが好きになりました。異文化と触れ合うことで自分を相対化することが出来、結果、「私」をはっきりと意識することが出来たと思っています。

「自分が何者かを突き付けられ続ける環境に身を置くこと」。
これが留学の一番のメリットではないかと思います。若い人には是非留学にチャレンジしてもらいたいと思います。また政府はもっともっと若者が海外に行きやすい環境を整備していっていただきたいと思います。

今回は以上です。
もっと日本がよくなりますように。

2015年3月3日 火曜日 14:54 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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