家計のゆとりがなくなっているってホント?エンゲル係数が高水準に

「エンゲル係数」ってご存知ですか?
今回は食費と消費についてです。

■家計のゆとりがなくなってきている?エンゲル係数が高水準に

「エンゲル係数」とは家計の消費支出に占める食費の割合のことですよね。
昔、社会科の授業で習った記憶があります。
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<エンゲル係数、21年ぶり高水準 昨年度24.3%、家計のゆとり低下>
(2015年5月8日付日本経済新聞)
『家計の支出のうち、食料費が占める割合を指す「エンゲル係数」が上昇している。総務省によると、2014年度平均で24.3%に達し、1993年度以来、21年ぶりの高水準になった。各家庭が消費増税で支出全体を抑えるなか、円安などの影響で食料品価格が上昇したことが響いた。』

エンゲル係数は「家計のゆとり度合」を示すとも言われています。
食費はどの家庭でも必ずかかるものですし、お金持ちの家庭でもそうでない家庭でもそれほど大きな違いがない、とされています。家計に余裕があって、消費支出が多ければ多いほど食費の比率(エンゲル係数)が下がる、逆に家計に余裕がなく、消費支出が少なくても食費はそれほど減らせないからエンゲル係数は上がる、ということですね。

記事によると、このエンゲル係数、2000年代以降、ずっと23%台前半を中心に推移してきたのが、2014年度には24%を超えるほど急速に高まったとのこと。要因としては、やはり『消費増税』ではないか、としています。増税後に消費者の節約志向が強まって、消費支出そのものが減ったことに加えて、食料品の価格が上昇したから、ということらしいです。

■年収が高いほどエンゲル係数は低くなる

記事の元データである「家計調査報告 平成26年年度平均速報」(総務省統計局)を見ますと、「2人以上の世帯の消費支出額は14年度平均で28.8万円と、前年度よりも名目で2%減った。自動車や家電など耐久財への支出を減らす一方、節約しづらい食料品への支出は値上げもあって1%増の7万円になった。このため食料品への支出割合が高まった。」とあります。

また、年収階層別のエンゲル係数のデータがありました。
確かに、年間収入が高くなるにつれて低くなっていますね。
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第1階級 436万円以下   : 25.1%
第2階級 436~567万円以下   : 23.7%
第3階級 567~709万円以下   : 23.2%
第4階級 709~906万円以下   : 21.5%
第5階級 906万円以上      : 20.2%

■消費支出に含まれていないものとは?

さて、エンゲル係数の計算方法を確認しておきましょう。(家計調査報告より)
エンゲル係数は、「食費にかかるお金が、家計(消費支出)の何%を占めるか」で表されますから、

エンゲル係数(%)=食料費÷消費支出×100

ですね。

「食料費」と「消費支出」には何が含まれていて、何が含まれていないかは大事なところです。

「食料費」は、お米、パン、魚、肉、野菜、調味料等だけでなく、お酒や外食費も入ります。
「消費支出」は、食料費、住居費(家賃、維持修繕費)、水道・光熱費、衣料費、交通・通信費、医療費、等です。レジャー・娯楽費、交際費、おこづかいも含まれます。

社会保険料や税金は含まれません。あとここが重要なのですが、貯蓄、生命保険料、住宅ローン返済も含まれません。

■実は黒字率は増えている

新聞記事では『食料品の値上がりが続く中、家計にゆとりがなくなっている。家計が生活のゆとりを取り戻すには、賃金の動向が影響しそうだ。』と結んでいます。

ただ、よくよくデータを見ると、決して食料品などの物価上昇に所得の上昇が追い付いていないから家計にゆとりがなくなっているわけでもないように思います。

例えば、総世帯の内、世帯主が働いている「勤労者世帯」では、家計の「黒字率」は増えています。
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『勤労者世帯の黒字率は26.5%となり,0.2ポイントの上昇となった。黒字率の内訳をみると,金融資産純増は可処分所得の21.7%となり、1.4ポイントの上昇となった。また、財産純増は1.8%となり,0.6ポイントの上昇となった。』(家計調査報告)

黒字率とは、「可処分所得(実収入から社会保険料や税金を引いたもの)」に対する「黒字」の割合のことです。そして、「黒字」とは,可処分所得から消費支出を差し引いた額のことです。黒字率がアップしたということは、所得のうち、消費に回らなかった分、すなわち貯蓄などにまわった分が増えたということですね。

金融資産や財産が増えていることは「ゆとりがない」状態なのでしょうかね?
単に消費税増税があって、消費マインドがちょっと冷え込んでしまったのではないか。節約志向になったことで消費が減って、貯蓄性向が高まったのではないか、とも読み取れますね。

■必要以上に縮み志向にならないようにしよう!

この記事をさらっと見た人は、「食料品が値上がりしていることで暮らしが圧迫されてきているのか。もっと賃上げしないと暮らしは楽にならないな。」とか、「生活必需品である食料品にはやっぱり消費税をかけないでほしいな。」といったような感想を持つことでしょうね。

確かに、収入が限られている高齢世帯には消費増税や食料品の値上がりは厳しいことだと思います。実際、高齢無職世帯のエンゲル係数は「25.6%」で全体の平均を押し上げています。ただ、高年齢世代ほどエンゲル係数が高い傾向になるのは、子持ち世代に比べて子供への支出や交際費など全体の消費支出が少ないので当然食費が占める割合が大きくなる、という側面もあります。そうするとエンゲル係数が上がっているのは高齢世帯が増えていることも要因のひとつかもしれませんね。

いずれにせよ、必要以上に縮み志向になって消費が落ち込んでしまうことは景気回復の妨げにもなります。消費も貯蓄もメリハリを付けて、家計を設計したいものですね。

今回は以上です。
もっと日本がよくなりますように。

2015年5月18日 月曜日 17:57 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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