金融資産にも課税される時代が来る!?

今回は「資産家への負担強化」についてです。
「税金はお金持ちから取ればいい」というムード、仕方がないとは思いますが、行き過ぎるのもちょっと…。

■資産がある人にはさらなる課税と負担が…

「年金不安時代に備えて若いうちからコツコツためて資産を作り、安心して老後を迎えよう。」というライフプランを考えている人は少なくないと思います。
でも今後はそれも難しくなるかもしれません…。

これはこれから大きな議論になるでしょうね。
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<医療や介護の自己負担額、金融資産に連動 骨太方針原案 >
(2015年6月5日付 日本経済新聞)
『政府の2015年度の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」の原案が4日、明らかになった。来年1月に始動する税と社会保障の共通番号(マイナンバー)で個人の金融資産を把握し、資産額が多いほど医療や介護の自己負担額を増やす仕組みの検討を明記。高所得者の基礎年金の支給を一部停止するなど国の歳出の3割を占める社会保障費の抑制に重点を置いた。』

また政府からはこんな声も漏れてきています。
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<財務相、税制改正「改革検討の時期」>
(2015年5月19日 日本経済新聞)
『麻生太郎副総理・財務相は19日の経済財政諮問会議で、民間議員が提言した資産課税の強化などの税制改正について「人口構造の変化などを踏まえた総合的な改革を検討すべき時期に来ている」と述べた。今夏から政府の税制調査会で具体的な検討を始める方針だ。』

内閣府のHPにある「経済財政諮問会議」の当日の議事録を見ますと、民間議員として会議に参加されているサントリーの新浪社長がこのように発言されています。
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『65歳以上の方々は、大変に資産を持っている方と、そうでない方のばらつきがある。これをフローだけ捉えていて、今後の新しい税体系を本当に考えられるのか。この点は一度データを出していただいて、今、どういう状況にあるのか。マイナンバーを活用して、資産そのものも少しみていかなければいけないのではないか。そういう意味で、新しい税体系にはストック(資産)というものも考えなければいけないのではないかと、御提案申し上げる。』

まだまだ大きな方針なのでどうなるかはわかりません。これから税制調査会などで議論がなされていくことと思います。ただ、方向性として、「資産がある人は老後の社会保障も年金も自分で何とかしてもらいましょう。また資産そのものにも課税していきましょう。」となっているのは間違いありませんね。

■背景にあるのは日本の財政問題

ある程度の資産を持っている層を対象として、保有している金融資産などに課税を強化したり、医療費や介護費の負担を増やしたりすることは、もはや規定路線といいますか、ほぼ間違いないと思います。
これまでも、所得税の基礎控除の上限設定や最高税率のアップ、相続税の基礎控除額の減少と最高税率のアップなどがすでに実施されています。消費税ほど騒がれてはいませんが、高額所得者や資産家への課税強化は着々と進んできました。

これがもう仕方のないことで、すでにこの流れが止められないのはなぜでしょうか?
理由は明白で言うまでもありません。日本の財政が待ったなしの状況にあるからですね。

政府としては、財政健全化の目標として2020年度までにプライマリーバランス(歳出と歳入の基礎的財政収支のことです)の黒字化を目指しています。安倍首相は、その前段として、2018年度までにプライマリーバランスのGDPに対する赤字額を1%まで縮小するよう事務方に指示しているそうです。

日本のGDPが約550兆円ですから、その1%というと5.5兆円です。今の財政赤字が16.4兆円です。今から約3年で約11兆円も改善しなければならないことになります。

今から3年で11兆円の改善って…。

消費税は2017年度に10%になる予定です。「消費税を1%上げると税収が2兆増える」と言われています(←必ずしもそんなことはないと思いますが)。仮にそれが本当だとしても消費税10%で4兆円しか増えません。安倍首相は、10%以上の消費税率の引き上げは否定しています。さすがに8%にした後の昨年度の経済の落ち込みを見ると、とてもではないですが10%の次の引き上げは出来ませんよね。

そうなると、「もうあとは富裕層しかない」というところでしょうね。

もし、2018年度にこの財政赤字の対GDP比率1%が達成できない場合には…
おそらくこの時が、2020年度までの残り2年間でプライマリーバランス黒字化に向けて、金融資産への課税や資産家への社会保障負担増加、年金削減などがスタートする時なのかもしれません。

■自分の資産への関心を高めないと大変な時代に

ちょっと前に大流行りしたピケティ教授は、「日本経済においても消費税引き上げではなく富裕層への資産課税強化で若者世代が子育てや就職をしやすい環境整備にお金を使っていくことが格差是正の道だ。」と語りました。

ピケティさんの意見には賛否がありますが、いずれにせよ日本はそのような方向に向かっています。

お金持ちの皆さんは大変になります。
しかし、おそらくですが、何億円と資産を持っているようなクラスのお金持ちの皆さんはこんな動きはとうに察知していて着々と準備していることでしょう。

気を付けたいのは、普段から資産管理について考える時間もない中、コツコツと貯蓄をしているような40~50代の稼いでいるサラリーマンのような方です。気を付けておかないと折角の退職金もコツコツ貯めた老後資金もごっそり持って行かれることになるかもしれません。一般のサラリーマンのほとんどは自分の税金対策などやっていませんからね。

これからは、不動産と同じように金融資産も持っているだけではダメで、課税コスト以上に運用しないと資産が目減りしていく時代になっていくでしょう。

■資産家への過度な負担は国力を落としかねない…

私は個人的には、過度に資産家や高所得者層に重い負担を強いることにはあまり賛同しません。高い法人税と強い労働規制をかけた上に円高とデフレを放置したことで日本の強くて稼いでいる企業がどんどん海外に出て行ってしまったことを連想させます。強い企業、稼ぐ企業が日本から出て行ってしまったお蔭で、GDPも雇用も技術ノウハウも、そして税収も全部海外に持って行かれてしまいました。

財政のことを考えたら、資産課税などで資産家層へ負担を強いるのはある程度は仕方がないとは思います。しかし、だからと言ってあまり負担をかけすぎると、国民の資産形成への意欲を失わせます。高所得者への過度な課税は「頑張って稼ぐぞ!」という意欲も失わせます。上手く行って資産が出来た人から日本から出て行ってしまったり、資産を隠したりするでしょう。

そうではなく、日本人の資産は、隠すことも逃げることも必要のない状態にして、堂々と日本で運用してもらいたい。日本で投資してもらいたい。そうして国力アップにつながるようなお金の流れを生み出すものにしてもらいたい。そういう制度にしてもらいたいものだと思います。

今回は以上です。
次回もお楽しみに!

2015年6月8日 月曜日 15:47 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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