中国の債務問題が深刻化している?中国も失われた時代を迎えるのか?

新元号が発表されましたね。新たな気持ちで頑張りましょう!
さて今回は「中国の不良債権について」です。日本とは違う取り組みを見せる中国を興味深く見ています。

 

■中国の「債務問題」が深刻化している?

中国の経済成長率が鈍化しつつありますが、それとともに中国の銀行が抱える不良債権も大きくなってきています。その不良債権を「外資」が積極的に買い取っているそうです。

これを日経新聞は、「政府主導の中国国内勢による不良債権処理スキームの限界」、「中国債務問題の深まり」と表現しています。
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<中国不良債権、外資が食指 政府主導処理に限界  7~8割安で一括購入 150兆円市場>
(2019年4月1日付 日本経済新聞)
『中国で外資系ファンドが不良債権の購入を拡大している。中国の銀行が抱える不良債権額は膨らみ続け、広義の市場規模は150兆円に上る。景気減速で新たな不良債権が一段と増え、政府主導の国内勢に頼った処理スキームに限界も見え隠れする。商機とみる外資の積極姿勢は中国債務問題の深まりを映している。』

なんか「中国、やばいんじゃないか?」という印象を受けますね。
さて、中国の不良債権問題はどうなっていくのでしょうか。

 

■中国も「失われた○○年」になる?

記事によると、中国の銀行が抱えている「公的に明らかになっている不良債権」は2018年末時点でおよそ2兆元。さらに日本でいうところの「要注意先」債権が3.4兆元くらいあるのではないかとみられていて、合わせて5.4兆元です。さらに、中国の不良債権の受け皿機関である「AMC」がこれまで引き受けた不良債権が約4.3兆元。合計およそ9.7兆元(日本円にして約154兆円)くらいが広義でいうところの不良債権になっているのではないか、とのことです。

本当にこれくらいあるとすると、中国の不良債権比率(貸出総額にしめる不良債権の割合)は10%を超えます。不良債権処理に苦しんだ日本の大手銀行の不良債権比率がピーク時でも7~8%くらいだったので、中国経済もこの先、日本のように金融の機能不全が起きて、「失われた〇〇年」みたいになるのでは?ということでしょうかね。

 

■日本の不良債権処理はどうだったか?

この先に中国も日本が経験したような「失われた20年」みたいな状況になるかどうかはわかりませんが、私はこの記事を見て、「中国、やばいな」というよりも「中国、さすがだな」と感じました。

今の中国の金融事情は、まさに日本が90年代後半に陥った状況に似ていると思います。
振り返りますと、日本では1985年のプラザ合意後に円高ドル安が加速して、いわゆる「円高不況」になります。対策として日銀は大規模な金融緩和を行いますが、それが契機となって日本経済は一転して「バブル」と言われる状況に突入します。「バブル」は1991年頃には崩壊し、そこから景気は悪化します。それから「失われた20年」とも言われる不況の時代を経験するわけですが、景気回復の足を引っ張った一因は日本の金融機関の機能不全であり、その原因は金融機関が大量に抱え込んだ不良債権の処理が遅れたから、と言われています。

私は1990年から2000年までの10年間、中堅都市銀行に勤めていました。1998年頃に本部のM&Aのセクションに居ましたが、その頃に外資系ファンドへの不良債権の売却話が頻繁に行内を飛び交い始めていました。バブルの頃に開発されたホテルとかゴルフ場とかの貸出債権を売却していたのですが、50億円くらいの債権が2億とか3億とかで買い取られていくのをなんとも言えない無力感とともに眺めていたのを鮮明に覚えています。

その様子は小説やドラマにもなった「ハゲタカ」にも詳しく描かれていますね。(私は「狩られる側」だったわけですが)。

日本の金融機関は、バブルがはじけて不良債権が問題になってから外資系ファンドへ不良債権の売却処理を始めるまでに7~8年かかりました。政府が公的に銀行救済に介入したのは2003年の「りそな銀行公的資金投入」まで待たないといけません。
その間、日本の金融機能は機能不全を起こしていました。90年代後半には「多額の不良債権を抱えているのではないか」と疑問視されていた日本の銀行は徐々に世界の市場からの資金調達が難しくなっていきます。1997年には北海道拓殖銀行が破綻するという象徴的な出来事もありました。

日本の金融機関は、バブル後に抱え込んだ不良債権を「塩漬け」にしたり、受け皿会社に「飛ばし」をしたりして、もたもたと時間をかけてやっていました。「処理に時間がかかった」というと聞こえはいいですが、要するに「処理を先送りし続けた」わけです。

中国は、恐らくこうした日本の不良債権処理の経緯をよく研究しているのではないかと思います。
2008年のリーマンショック後の世界的な経済危機に対して、中国は世界最大規模の金融緩和を行い、経済を支えました。そのお陰で中国経済は大きな落ち込みもなかったのですが、その反動として不良債権も多く抱えることになりました。中国はその不良債権の処理を日本よりもかなり早いペースで積極的に行っています。

日本の銀行は自前でちまちまと受け皿会社を作って不良債権の移し替えをしていましたが、中国はもともと官製の受け皿会社であった「AMC」を活用して、せっせと移し替えをしています。金融機関が不良債権を先送りしないような規制もしています。公的資金や証券化などで順次処理を進めており、冒頭の記事にもあったように「外資」へもためらいなく債権の売却を進めています。

中国はしたたかだな、と思う次第です。

 

■中国は外資をうまく活用している

日本は多かれ少なかれ、「外資にやられた」というイメージを持っています。
外資に買い取られて、「ひどい目にあった」という人も確かにいるでしょうが、再生した企業も少なくありません。日本の金融機関も外資とビジネスライクにやり取りをするようになってから不良債権処理が進んだ側面もあります。

中国は外資を積極的に活用しようとしているように見えます。
さて、日本の不良債権処理の局面では大きなビジネスチャンスをものにした「外資」ですが、したたかな中国とのディールはどう展開するでしょうね。中国が「外資」とどう渡り合うか。「外資」は中国で得た資産を再生したり、転売したりして収益をものにすることができるでしょうか。

見ものだなと思っています。

今回は以上です。次回もお楽しみに。

2019年4月2日 火曜日 14:18 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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