老後の資金不足は自助努力で賄うべき 62%

今日は、例の「老後2000万円問題」についてです。
金融庁はなにか悪いことしたのでしょうかね?

 

■老後の資金不足は自助努力で賄うべき 62%

金融庁が報告書で「定年後に夫婦で95歳まで生きるには約2,000万円の金融資産が必要」との試算を示した話、マスコミにも連日取り上げられ、国会でも大騒ぎしましたよね。

野党が国会で追及していたように「年金だけで老後は安心して暮らせるのではなかったのか!?」などと本気で信じて怒っている国民などほぼいないだろう、と思っていましたが・・・、やはりそうでしたね。6割以上の人はまともでした。

↓↓↓

<老後資金「自助努力」62% 世論調査>
(2019年7月1日付 日本経済新聞)
『金融庁の審議会が老後に夫婦で2000万円不足するとの報告書を出したことを受け、老後資金の不足への対応を聞くと「年金以外の自助努力で不足を賄うべきだ」が62%だった。』

日経新聞の世論調査です。
約6割の人が「自助努力で老後資金を賄うべきだ」と考えています。
世代別にみると「自助努力」と答えたのは、
39歳以下 71%、40~50歳代 69%、60歳以上 56%、だったようです。

準備する時間がある若い世代ほど現実を直視していて、老後資金の不足は自分で頑張ってなんとかするべきだと考えているということです。

 

■金融庁の報告書には何が書いてあったか

しかし、逆に3割くらいの人は、年金の不足を自助努力以外でどうやって賄うべきというのでしょう?
少数派ではありますが、「老後資金の不足に関しては「税金や保険料を上げてでも年金を増やすべきだ」という人が24%います。あくまで国が全国民の老後を丸抱えで面倒みるべきだということなのでしょう。

しかし、残念ですが税金や保険料を少々上げたとしても、今以上に年金受給額を増やすことはできません。北欧の国のように国民が少なくて、消費税も25%くらいある高負担の国ならまだしも、消費税10%程度で大騒ぎしているような国では無理でしょう。

今後、基本的に平均的な年金の受給額は減っていきます。
これは、日本の人口構成が少子高齢化する中、現役世代が老後世代を支える世代間負担である「賦課方式」を採用している以上仕方がないことです。

だから、金融庁は全然悪くありません。今後、年金だけで豊かな暮らしをするのが難しいのは間違いのない事実です。だから今から備えておきましょうね、と普通のことを言っているだけです。

報告書には大体こんなことが書いてあります。
『人生100年時代を迎え、会社を定年退職した後の人生は延びる。だから、豊かな老後のためには生活資金を現役時代から計画的に準備しておきましょう。』

また、消費者向けだけではなくて、金融機関にも顧客の資産形成を支援する運用体制を求めています。
『現役世代には長期積立型で国内外の商品への分散投資を推奨。定年を迎える時期は退職金の活用や長生きリスクに応じた商品の充実を求める。
70代半ば以降は認知症になっても事前の本人意思にもとづく金融サービスが受けられる環境整備などを重視すること。』

金融機関側にも、短期的な収益だけを求めるのではなく、顧客のために長期的な資産形成につながる商品やサービスを提供するよう求めているわけですね。

すごくまともではないですか?

 

■2,000万円の資産形成ってどうやってやる?

「そもそも2000万円の根拠はなにか?」などという国会質問がありましたが、単なるサンプルに決まっています。

今、仕事をせずに年金生活している高齢夫婦の月額支出の平均が26.4万円という統計があって、一方で公的年金の収入の平均が19.2万円。この差額を平均余命分出したらだいたい2,000万円くらいになったというだけです。
つつましい暮らしをしている人なら1,000万円くらいでいいかもしれないし、豊かに暮らしたい人なら3,000万円かもしれません。もっと大変なのは自営業者やフリーランスなどの国民年金だけの人です。多くても月額6万円くらいしかもらえませんから、年金だけで暮らすのはまず無理、定年がない分、働き続けるか、ものすごく頑張ってお金を貯めるかしないといけません。
2,000万円程度では全然足りないでしょう。

人によって老後に必要な備えはそれぞれ違います。だから、皆さんは自分の場合はどれくらい備えておくべきなのかを早めに考えておくといいと思います。

「2,000万円貯めるのなんて無理!」と20代くらいの若い人がテレビのインタビューで答えていましたが、「若いのにあきらめるな!」と言ってあげたいですね。
若い人にとって、2,000万円くらい貯めるのは全然無理ではありません。
ちゃんと働いて、身の丈にあった生活をして、コツコツ貯蓄を頑張ればそれくらい何とかなります。

簡単に計算してみましょうか。

まず、お勤めの人だったら、定年まで勤め上げれば退職金があります。
厚生労働省の「平成30年度就労条件総合調査 結果の概況」によると、日本では8割を超える企業に退職金制度があります。従業員100人以下の中小企業でも77.6%です。
そして、退職金の平均額ですが、「大学卒・大学院卒」の「勤続35年以上」の場合で「2,173万円」。
「高校卒」の「勤続35年以上」の場合で「1,954万円」。

勤続年数が短くなると、その分退職金額も減ることにはなりますが35年間勤め上げると平均で2,000万円くらいもらえます。

中小企業だけに限ってみても、大学卒で「1,203万円」、高校卒で「1,126万円」が平均です。
(平成 30 年「中小企業の賃金・退職金事情」東京都産業局)

中小企業の場合だとだいぶ少なくなりますが、それでも退職金があるなら、あと1,000万円くらい貯めればいいわけです。
35歳の人が65歳までの30年間で1,000万円貯めようと思ったら、年間33万円です。つまり、月々2.8万円。夫婦二人で月3万円程度の貯蓄はどうでしょう。頑張ればできるレベルではありませんか?

さらに、この積み立てを金利のつく投資信託なんかで運用すればもっと増えます。例えば、インディックス型の長期運用で利回り3%を超えているファンドはザラにありますが、例えば、月2.8万円の積み立てを平均2.5%で35年運用できたとすると、約1,500万円になります。(投資信託は元本保証ではありませんので元本割れになるリスクもあります。念のため)

2,000万円はこんな程度です。

 

■長寿社会を見据えた準備は若いうちから

「老後2,000万円問題」で金融機関の資産運用セミナーなどへの参加者が増えたというニュースもありました。「今頃ですか?」という感じもしますが、間違いなく国民の老後への意識は高まりました。
みんなが資産形成を考える機会を得たという意味ではこの大騒ぎも良かったのかもしれません。

何の用意もせずに、特段の資産運用もせずに、老後早々に働く意欲もなしに、国に頼れば生活できると思ったまま老後を迎えることの当たり前の危険性を金融庁は訴えました。

個人的には一番大事なのは長く働ける気持ちと身体だと思っていて、それさえあれば、それほど老後を心配する必要はないと思います。老後の不安は収入不安ですから。
逆に過剰に貯蓄しすぎるのももったいないことですので、適切に備えて適度に消費するのがいいでしょうね。

長寿社会を見据えた生き方と必要な資産づくりは、できるだけ若いうちから皆が考えるべきことだと思います。

今回は以上です。次回もお楽しみに。

2019年7月2日 火曜日 14:46 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
カテゴリ:

ページトップに戻る