コンビニ業界にみる店舗ビジネスの転換期とは?

今回はコンビニをはじめとした「店舗ビジネス」についてです。

 

■20世紀の事業モデル「店舗拡大」の終焉

日本の店舗が減り始めました。
コンビニや小売店舗や外食チェーンなど、皆さんの街にもあるお店はこれまでずっと増えてきていたのですが、ついに店舗数が減少し始めたようです。

時代の変わり目にいることを実感します。
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<流通、店舗減に転じる ネット台頭、変革迫る>
(2019年6月12日付 日本経済新聞)
『日本国内で小売り・外食の店舗数が減少している。コンビニエンスストアやスーパーマーケットといった業界団体の集計などによると、直近の店舗数は11万8000弱と2018年末比で1%減少した。人口の減少と電子商取引(EC)の普及が重なり、不採算店の減損損失も多発している。店舗増が収益拡大に直結した20世紀型の事業モデルは抜本的な見直しを迫られている。』

言われてみればそうですが、「店舗の拡大」は「20世紀の事業モデル」だったのですね。これが21世紀になって、リアル店舗からネットの世界に移りかわってきたということです。

記事によると、『外食は2.4%減で3年ぶりの減少。百貨店は1.8%減で11年連続の落ち込み。スーパーも0.3%減、コンビニは0.1%増。」とのことです。

ネット通販の台頭とともに人口減少にともなう需要の落ち込みが店舗の減少に拍車をかけているようです。

 

■コンビニ神話も終わる

ずっと成長を続けてきたコンビニエンスストアも例外ではありません。
セブン&アイ・ホールディングスは、2019年度のセブンイレブンの店舗数の増加を150店と発表しました。これは40年ぶりの低水準です。ローソンに至っては2019年度の店舗数の純増はゼロにすることが明らかになっています。

これまでコンビニ大手の成長の源泉は新規出店でした。
一般的にコンビニ本部はフランチャイズ加盟店の「粗利益(=売上高-商品原価)」の一定割合をロイヤリティ(経営指導料)として受け取ります。
新しくお店がオープンして売上が増えれば、本部のロイヤリティ売上も増えることになります。ですので、本部の至上命題は「店舗数を増やすこと」でした。

既にあるコンビニ店のすぐ近くに同じチェーンのコンビニ店が出店して、既存加盟店のオーナーと本部がもめる、といったことがよくあります。加盟店にとっては近くにお店が出ると売上も利益も減ってしまいかねないのですが、本部としては両店舗で売上が少しでも増えれば収益が増えます。
コンビニ本部が、「既存店舗の経営」よりも「総売上高の増加=店舗数の拡大」に意識が向いてしまいがちになるのは収益構造上仕方のないことでもあったわけです。

 

■コンビニ経営の現状とは?

しかし、ついに店舗が減少する局面に入ってしまいました。
すでにコンビニ店舗は全国で55,000店舗を超えました。店舗網がほぼ全国に拡がる中、人口減少が始まり、需要が落ち込み、少子高齢化で働き手も不足して、店舗の拡大が出来なくなってきたのです。

店舗数の拡大で売上・利益を上げるビジネスモデルは転換点に立っています。
店舗がもう増えないわけですから、フランチャイズチェーン本部の売上を伸はずには既存店舗に売上を伸ばしてもらうしかありません。
しかし、店舗の経営は厳しくなっています。すでにコンビニの一店舗当たりの売上は頭打ちになっています。

経済産業省の資料を見ると厳しいコンビニエンスストア業界の現状が見えてきます。
(経済産業省「第1回新たなコンビニのあり方検討会」(2019年6月28日)より)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/new_cvs/index.html

コンビニの一店舗当たりの「1日の平均売上高」は、2008年には 52.50万円でした。リーマンショック後に回復した2011年には 55.25万円まで伸びましたが、その後は横ばい。2018年は 54.31万円でした。

一店舗当たりの「1日の平均来店客数」も減少傾向です。2014年に769人/日だったのが、2018年には685人/日まで減っています。

売上が伸び悩む一方で、人件費をはじめとした経費は増える傾向にあります。
アルバイト・パートの最低賃金は10年前に比べ2割強上昇しています。

コンビニオーナーへの「人手不足の状況」についてのアンケート調査では、
「従業員が不足している」と回答したオーナーが、2014年には「22%」だったのが、2018年には「61%」になっています。
結果、オーナーやオーナーの家族が長時間勤務するなどの事例が増えています。もう24時間営業が続けられない、という問題もありましたね。

既存店舗の売上を伸ばすどころか、今後は経営を続けていくことができない店舗が増えることが予想されているのです。

コンビニ本部は「経営難の加盟店への指導を強化する」としているところが多いのですが、ロイヤリティ収入が減る上に、経営支援のコストもかさむことになりますね。

 

■本来、もっとも大事なのは「既存店収益」

「出店の勢いが止まると成長が止まる」というのは、コンビニだけでなく小売り店舗でも外食チェーンでも店舗ビジネスはすべて同じ構図です。

チェーン展開で大事なのは「既存店収益」です。
本来は、収益が上がらない事業モデルの店舗は増やすべきではありません。しかし、一般論としてチェーンの本部は店舗が増えた方が売上が増えるし、マーケットシェアを取るためにも一気に店舗を増やす強気の出店戦略をとりがちです。

しかし、店舗減少の時代を迎えた今、既存店舗の売上・利益を上げないと本部も生き残っていけません。
次にくるのは不採算店舗の閉鎖や本部による店舗経営権の買い取り、業態転換などでしょう。

改めて、今私たちは時代の変わり目にいるのだと感じさせられますね。

今回は以上です。次回もお楽しみに。

2019年7月16日 火曜日 14:39 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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