「住まいは賃貸でいい」が10年前から倍増!その要因は?

今回は住まいのかたちの変化についてです。

 

■あなたは「持ち家派」ですか?それとも「賃貸派」?

住まいを所有する「持ち家」に住みたいか、それとも「賃貸」でいいと考えるか。
あなたはどちらでしょうか?

それぞれライフステージや価値観、家計の事情などによって違うとは思います。
ただ、私たち日本人は一般的に、「いつかはマイホーム」という意識が高いと言われてきて、事実、おおよそ8割以上は「持ち家派」でした。
しかし、その意識は、徐々にではありますが変化しつつあるようですよ。

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<「賃貸でいい」18%、10年で倍に>
(2019年8月24日付 日本経済新聞)
『持ち家に関する考え方が変化している。国土交通省が全国の20歳以上の3,000人を対象に住宅の所有についての考え方を調査したところ、「借家(賃貸住宅)で構わない」と答えた人は17.8%と10年前の2倍に増え、1994年の調査開始以来最高となった。』

国土交通省の「平成30年度 土地問題に関する国民の意識調査」(平成31年4月発表)の結果です。
1994年から継続的に行われている調査で、今回は全国の20歳以上の人、1,627件から面接で聴取した、とのことです。

それによると、
「自分が住むための住宅の所有についてどのように考えるか」という質問に対する答えは、
「土地・建物を両方所有したい」が74.6%、「借家(賃貸住宅)で構わない」が17.8%でした。

いわゆる「持ち家派」が変わらず多数を占めてはいますが、10年前と比べるとおよそ10ポイント以上低下しました。かわって「賃貸派」が2倍くらいになったということです。

 

■一戸建て派も減少し、マンション派が増加

10年前、平成20年度の調査結果を調べてみると、「持ち家派」が85.1%、「賃貸派」が8.7%でした。
確かにこの10年で「持ち家派」が減って、「賃貸派」が倍増していることがわかりますね。

「賃貸でいい」と答えた人は、特に若い世代を中心に多くなっています。

「賃貸住宅で構わない」
20歳代 23.8%、30歳代 18.3%、40歳代 22.2%。
一方で、70歳代以上になると、「賃貸派」は11.0%まで減ります。

この結果を国土交通省は、「資産としての不動産の位置付けが相対的に下がっているほか、若い世代を中心に生活や家族構成にあわせて引っ越しがしやすい借家を選ぶ人が増えている」と分析しています。

若い世代を中心に、「賃貸で構わない」と考える層が増えてきたことと関係があるのではないかと思いますが、「住宅のかたち」への志向も、「一戸建て派」が減り、「マンション派」が増えてきています。

「今後望ましい住宅形態は?」
平成30年度 一戸建て 65.0% マンション10.2% どちらでもよい21.8%

これも10年前と比較しますと、
平成20年度 一戸建て 80.4% マンション9.1% どちらでもよい7.8%

この10年で、一戸建て派は約15ポイントも減少しました。
20歳代の人にいたっては、一戸建てが51.4%で、マンションが10.5%、どちらでもよいが34.3%です。

私たちの世代(50歳代)は、「いつかはマイホーム、できれば庭付き一戸建て」みたいな意識が常識だと思っていましたが、どんどん意識は変わってきているようですね。

 

■賃貸派が増えている要因は、恐らく・・・

前出の国土交通省調査の続きです。
「子育てをするとした場合、住まいの立地に最も重視するものは?」
という質問に対して多かったものは、全体では、

1位 「住み慣れた場所であること」 20.4%
2位 「近所に親や親族がいること」 13.2%
3位 「買い物など生活の利便性が高いこと」 12.8%
4位 「治安がいいこと」 12.2%

ですが、「持ち家派」と「賃貸派」では重視するものに違いがみられます。

「持ち家派」は、1位 「住み慣れた場所」 23.0%、2位 「近所に親や親族がいること」 13.7%

それに対して、
「賃貸派」は、1位 「生活の利便性が高いこと」 15.7%、2位 「治安がいいこと」 14.6%です。

「持ち家派」が「住み慣れた場所」を最も重視にするのに対して、「賃貸派」は「利便性」や「治安」を重視しています。

この調査では回答者が、結婚しているのか、子供がいるのかなどの内訳がないのではっきりとはわかりませんが、これらの結果を見ると、恐らくですが、結婚していて子供がいる世帯では持ち家派が多く、独身世帯では賃貸派が多いように思われます。

とすると、賃貸派がこの10年で増えてきた要因のひとつとして、「独身世帯が増えてきた」ということがあるのだろうなと思います。

「令和元年版 少子化社会対策白書」(内閣府)に、「生涯未婚率 ※」の2020年度の推計があります。
それによると、生涯未婚率は、男性 26.7% 女性 17.5%となっています。

2010年の実績では、男性 20.1% 女性 10.6%でしたから、この10年間で生涯未婚率は2倍とまではいきませんが、1.6~1.7倍くらいは増えていそうです。

特に20歳代の未婚率は年々増えていて、2015年時点で 男性 72.7% 女性 61.3%が未婚です。

私は住宅購入支援の仕事もしていますが、「マイホームを持ちたい」と考えてやってくる人の99%(←感覚値です)はご結婚されていて、多くはお子様もいらっしゃいます。
「マイホームを考えるきっかけ」で多いのは「子供が生まれて(or成長して)今の賃貸が手狭になった」とか「子供が小学校に上がるにあたり、住む場所を定めたい」といったものです。

「独身世帯」は、「夫婦+子供の世帯」よりも持ち家を持つ動機が持ちにくいのは確かだと思います。
晩婚化と少子化、また生涯独身世帯が増えるにつれ、求める住まいのかたちも変わっていくのでしょうね。

※生涯未婚率・・・50歳時点で結婚したことがない人の割合(未婚率)を算出したもの。50歳で未婚の人は、将来的にも結婚する予定がないと考えることもできることから、生涯独身でいる人がどのくらいいるかを示す統計指標として使われています。

 

■賃貸ストックの質的な刷新も必要

独身世帯や子育て世帯、若年世帯に高齢世帯、
ライフステージやライフスタイルごとに住まいに求めるものは違ってきます。

ただ、いまだ日本の住宅政策は持ち家を中心に考えられていて、賃貸においては、生涯住むことができるような耐久性や断熱性を備えた性能レベルの高い住宅はまだまだ少ないのが現実です。

日本の住宅ストック5,120万戸のうち、賃貸住宅ストックは1,852万戸(約35%)です(平成25年時点)。
その内、築30年を超えているものが約800万戸もあります。

日本人が住居に求めるものが変化しつつある中、賃貸住宅ストックの質的な刷新も求められていると感じます。

今回は以上です。次回もお楽しみに。

2019年9月3日 火曜日 17:09 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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