日本の外食企業が海外で成功していくために必要なこととは?

今回は、日本の外食企業の海外展開についてです。外国で日本のおなじみのお店に出会うとほっとしますよね。
さて、その成功の秘訣は何なのでしょう?

 

■外食企業の海外売上高比率が上がっている

外食産業は国内の食の需要に対応する業界なので代表的な「内需型産業」と言えます。
人口が減少している日本では、内需を盛り上げることはなかなか困難になってきています。
そんな中、外食産業が活路を見出しているのが、海外ですね。
その動きが加速しているようです。
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<小売り・サービス10%迫る  海外売上高比率、さらなる引き上げには壁>
(2019年10月11日付 日本経済新聞)
『人口減少で国内市場が縮むなか、内需型企業が海外に活路を求める動きは年々強まっている。上場企業では小売業やサービス業の売上高に占める海外の比率は10%に迫ってきた。拡大を続ける「グローバル内需」を取り込み、持続的な成長につなげようとしている。』

外食などのサービス業は「日本だけの内需」から「グローバルな内需」へと展開を進めています。
全体の売上高に占める海外での売上高の割合が10%に近付いているそうです。
海外売上高比率は、昔からグローバルに事業展開している自動車や電気機器など製造業では70%前後ですので、外食や小売りはまだまだではあります。ただ、ほんの5年前までは4%弱くらいだったそうですから急増と言っていいでしょう。

 

■海外展開に失敗する企業も

記事はこう続きます。(以下『』内は日本経済新聞同記事の引用です)
『サイゼリヤは連結営業利益の45%が海外だ。19年8月末時点で411店舗を展開している。堀埜一成社長は「(アジアでは)イタリアンレストランが浸透してきた」と話す。』

しかし一方で、
『文化や慣習に合わせた現地化が欠かせず、製造業に比べて海外進出のハードルは高い。「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスは米国進出したが、安さと手軽さが売りのスタイルが受け入れられず、2年で店舗の過半を閉めた。』

サイゼリヤは成功していますが、いきなりステーキは失敗しました。
ステーキに安さと手軽さをもたらしたのが受け入れられなかったとあります。

さて、海外で成功している日本の外食企業はどんなことをやっているのでしょうね。

 

■海外で成功している日本の外食企業、吉野家、ココイチ、味千ラーメン

海外での店舗数が多い外食の上場企業はざっと以下の通りです。(各社IR情報等より抽出)

・吉野家(吉野家、はなまるうどん、など) 905店
・トリドール(丸亀製麺など) 575店
・サイゼリヤ 411店
・モスフードサービス(モスバーガー) 378店
・ゼンショー(すき家、なか卯など) 345店
・ペッパーフードサービス(いきなりステーキなど) 325店
・壱番屋(ココイチカレー) 181店

中でも成功していると評判なのは吉野家やココイチが有名ですね。

海外展開のさきがけ的存在である吉野家は、1975年にアメリカ1号店をデンバーにオープンしています。現在、アメリカで約100店舗、中国では約400店舗を展開しています。海外では、「Beef Bowl」の名称ですでに日本発のファストフードとして定着しています。海外では、牛丼のみならず、それぞれの国の特色を活かしたメニューが多くあります。

ココイチは、中国で約50店舗の他、台湾、韓国、タイなどアジア各国で店舗展開しています。
日本と同じのカレーのメニューに加えて、その国独自のサイドメニューを充実させています。価格帯は日本とほぼ同じくらいですが、アジアでは日本と所得水準が違うために「高級カレーレストラン」の位置づけになっています。内装も少しおしゃれにしていて、デートスポットにもなっているそうです。

あと非上場ですが、海外売上比率が高い外食企業と言えば、熊本の「味千ラーメン」が有名ですね。
私は熊本にしょっちゅう行くのでよく知っていますが、九州以外の人はあまりご存じないかもしれませんね。
国内には熊本を中心に約90店舗しかないのですが、海外店舗は中国や台湾を中心に約750店舗以上。海外比率は9割以上です。おそらく吉野家と並んで最も成功している日本の外食企業のひとつでしょう。
ラーメンといえば薄味の中国で、こってりした豚骨ラーメンが受けて、今ではメニューを豊富にして「ラーメン居酒屋」のような業態になっているようです。

福岡の有名ラーメン店である「一風堂」も同じように「ラーメン・ダイニング」のコンセプトで、アメリカを始めとして世界各地で展開しています。大人気のニューヨークのお店では、内装をちょっとおしゃれにして、バーも併設されています。ラーメンは14ドルくらいからで、サイドメニューやトッピングなども合わせると客単価はおおよそ30ドルを超えると言いますから、日本の一風堂よりもかなり高めですよね。

実は、日本食は世界でかなり受け入れられています。
少し前の調査ですが、ジェトロが、世界7つの国・地域(中国、香港、台湾、韓国、米国、フランス、イタリア)に聞いた「日本食品に対する海外消費者意識アンケート調査 」((2013年3月)によると、「好きな外国料理」は「日本料理」が21.1%と、2位の「イタリア料理」(8.5%)を大きく引き離して1位になっています。

日本料理は、「長寿国日本」を支えている健康食のイメージがありますし、安全性や品質を重視した食材を使っているという信用もあります。
そしてなにより、私は日本のサービス品質が評価されているところも大きいのではないかと思っています。日本の外食企業はどんな低価格な業態のお店であっても必ずスタッフに接客教育を徹底します。日本では、例えビール一杯400円程度の比較的低価格な居酒屋であってもスタッフが笑顔で丁寧に接客してくれることは当たり前です。でもこのレベルの接客が、どんな業態のどんな価格帯でも受けられるのは海外ではなかなか体験できないことです。これは日本のサービス業のひとつの強みだと思います。

 

■成功のポイントは「現地化」と「トライ・アンド・エラー」を続けること

世界で最も海外展開が成功している外食企業といえば、マクドナルドです。
世界100か国以上、店舗数は37,000以上です。オペレーションの徹底した標準化は有名ですが、マクドナルドの海外での成功のポイントは「現地化」だと言われています。

世界のマクドナルドを回っていると国ごとのメニューがあるのに気付きます。
ドイツにはソーセージ、イタリアではバンチェッタ、フランスはジビエ、中南米では豆、そして日本にはとんかつソースのコロッケとか月見とかがあります。インドには牛肉のバーガーがない店もあるそうです。

成功している日本の外食企業もそれぞれ独自のサイドメニューを開発したり、顧客ターゲットを変えたりと創意工夫をしています。
「どこの国に行っても同じ味」ということではなく、現地の顧客の嗜好や文化を見極めてトライ・アンド・エラーを続けることが恐らく成功の秘訣なのでしょうね。

さて、今後も海外で日本の外食企業の味やサービスなどクオリティが今後も受け入れられていくでしょうか。

日本ではそのサービス品質の高さにも関わらず、競争が激しくて低価格業態が多いこともあって、外食産業は低生産性の代表格のように言われています。そんな日本の外食企業が、海外で評価されて競争優位性を発揮して生産性を高めてくれることを期待しています。

今回は以上です。次回もお楽しみに。

2019年10月15日 火曜日 15:01 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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