2020年、米中覇権争いはいよいよ「本丸」へ

メリークリスマス!
2019年最後のメルマガです。今回は「デジタル通貨」についてです。
中国が2020年にデジタル人民元の発行に取り組むそうですよ。

 

■米中覇権争いはいよいよ「本丸」へ

2019年の世界経済は、アメリカと中国に翻弄されたような一年でした。
アメリカと中国は21世紀の覇権国家の座を巡って、貿易だけでなく、5G時代の通信技術やサイバー空間、宇宙開発に至るまで争いを続けています。
ある意味、形を変えた戦争状態ですね。

そして、その戦いのステージはいよいよ「本丸」に向かいつつあるな、と下の記事を読むと思います。
米中の覇権争いは2019年で終わることはなく、2020年以降、さらに激化するのではないかと感じます。その影響は当然日本にも及びます。
そしてそのインパクトは、とてつもなく大きいのではないかと心配になるのです。

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<デジタル人民元の発行視野 中国、主要国で初>
(2019年12月3日付 日本経済新聞)
『中国が主要国では初めてとなるデジタル通貨の発行を視野に入れ始めた。すでに制度設計を終え、地域限定での試験発行の準備を進める。キャッシュレス化が進む中国で現金の流通をさらに減らし、金融機関の負担を軽くする。海外への現金持ち出しによる資本流出を防ぐ狙いもあるとみられる。
中長期的には人民元を国際化し、ドル覇権に対抗する思惑も透ける。』

その「本丸」というは「通貨」ですね。
上の記事の最後の一文、
『中長期的には人民元を国際化し、ドル覇権に対抗する思惑も透ける。』
これこそ中国が考えていることでしょうね。

 

■デジタル通貨は基軸通貨ドルに対するチャレンジ

今、世界の貿易決済で使われている通貨はほぼ「ドル」ですね。ドルを中心基軸として各国の通貨の相場が決まっています。だからドルは「基軸通貨」と呼ばれています。

そのドルと、円やユーロなどの各国・各地域の通貨を管理しているのは、
アメリカのFRB(連邦準備制度)とか日本銀行などのいわゆる中央銀行ですね。

「ビットコイン」とか「リップル」などの仮想通貨は、この世界の中央銀行が管理している通貨制度に対するひとつのチャレンジだったと思っています。仮想通貨は「ブロックチェーン」という仕組みで管理されていますが、このブロックチェーンはデジタル空間の中での相互監視のシステムです。
中央銀行のような厳格な管理者はいません。

この「管理者がいない通貨」は、基軸通貨であるドルの発行権益を持つアメリカはもちろんですが、中央銀行が通貨を管理している世界中のすべての国家にとって脅威を感じるものだと思います。

だから、民間企業であるフェイスブックが提唱しているデジタル通貨「リブラ」はアメリカの政府や中央銀行に警戒されています。リブラはこれまでの仮想通貨と違い、実用を前提として、ドルも含めた各国通貨の相場に連動させることを想定しています。だからリブラは「仮想」通貨ではなく、
「デジタル」通貨と呼ばれているわけですね。

なお、このリブラの裏付け通貨に中国の人民元は含まれていません。
ある意味、中国はそこを逆手に取ったのかもしれません。

 

■デジタル人民元でドル覇権に対抗する、という思惑

『中国人民銀行の範一飛副総裁は11月末、デジタル人民元の準備状況を明かした。黄奇帆・元重慶市長は10月末、「人民銀は世界で初めてデジタル通貨を発行する中央銀行になるだろう」と語った。2020年にも発行に踏み切るとの観測が広がる。』(日経記事より)

デジタル通貨「リブラ」は、民間企業による通貨発行ということで中央政府に警戒されていますが、デジタル人民元は全て中国政府が管理します。

これまで中国政府は人民元の流出をずっと警戒してきました。アリペイなどの決済企業や海外送金などへの監視を強化しています。中国には、通貨をデジタル化して現金の流通を減らすことで資金移動やマネーロンダリングへの監視対策にもなるという「実需」があります。これがまずデジタル人民元に取り組む第一の理由です。

しかし、私が心配するのは、いずれ中国がデジタル人民元を国際貿易の決済通貨として使うようになるのではないかということです。

まずは中国国内で普通に利用されるようになった後に、中国が優位に立つ貿易相手国から徐々にデジタル人民元で貿易取引の決済をし始めるでしょう。
中国は「一帯一路」という経済圏を作ろうとしていて、タイやシンガポールなどの東南アジア諸国だけでなく、ドイツやオランダなどヨーロッパ諸国とも経済連携を進めています。これら連携している各国との取引通貨としてデジタル人民元の存在価値を上げていくことを狙っていくでしょう。

アメリカから経済制裁を受けたり、ドルと人民元の相場をコントロールされたりしたとしても、経済連携している各国と直接人民元で取引が出来るようになれば中国への影響は小さくなりますからね。

中国にとってデジタル人民元は、ドル支配の経済圏から抜け出すことを狙ったものだと考えた方がいいでしょう。

 

■さて、日本はどうする?

アメリカとしては国際基軸通貨としてのドルの立場は絶対に守るでしょうから、デジタル人民元が決済通貨として流通することを放置しないでしょう。
リブラと手を組むのか、デジタルドルなのかはわかりませんが、なんらかの対抗をしていくと思います。

さて、日本はどうしましょう。
中国は日本との貿易においてもデジタル人民元で決済をせざるを得ない状況に持っていくかもしれません。
日本は、ニクソンショック以降、変動相場制のもとでずっとドルに翻弄されてきました。日本経済はドル・円相場を少しいじられるだけで大きな影響を受けます。
それがもし中国政府に管理されているデジタル人民元になるとするとどんなことが起きるでしょうか・・・。

この米中の通貨の覇権争いにおいて日本の主導権はありません。
どちらを選ぶのか、ということで生き抜いていくしかないでしょうね。

今回は以上です。次回もお楽しみに。

2019年12月24日 火曜日 14:18 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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