ヤマダがヒノキヤをTOB 日本の市場で起きる寡占化とは?

こんにちは!ハッピーリッチ・アカデミーの川瀬です。
今日は、市場縮小と寡占化についてです。
これからそこかしこで資本の集約が始まるのでしょうね。
さて、個店はどうすればよいのでしょうか。

 

■住宅業界で資本集約が始まっている

私は住宅事業支援の仕事をしています。「住宅業界でこれからこういうことが起きますよ」と、よく見聞きしていた話がいよいよ現実化してきたなと感じます。
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<ヤマダ、ヒノキヤにTOB 最大126億円>
(2020年9月9日付 日本経済新聞)
『ヤマダ電機は8日、住宅メーカーのヒノキヤグループをTOB(株式公開買い付け)で子会社化すると発表した。発行済み株式の50.1%を取得する方針で、投資額は最大で126億円となる見通し。ヤマダは本業の家電量販に加え家具や住宅事業を収益の柱として育成する考えで、ヒノキヤグループが得意とする冷暖房システムなどを活用する。』

これは決して経営不振に陥った会社を救済するようなM&Aではありません。ヒノキヤグループの直近の業績は、売上1,240億円(前期比5.4%増)、
当期純利益35億円(同48.3%増)ということで、かなり好調です。
これはお互いの得意分野を活かして、さらに強くなっていこうとするM&Aです。

ヤマダ電機は近年、本業の家電量販事業に加えて住宅事業に本格的に取り組んできました。ヤマダグループの傘下には、ヤマダホームズとレオハウスがありますが、2社でおよそ年間4,000棟の着工があります。ヒノキヤも年間4,000棟規模ですので、今回のM&Aにより単純合計で年間8,000棟規模のグループになります。

これで新築戸建市場では、積水ハウス、大和ハウス、一条工務店、タマホームといった大手と肩を並べる規模になりますね。

また、ヤマダグループもヒノキヤグループも傘下に部材会社があります。
お互いに販路を拡大することで、生産規模も拡充し、生産効率を上げて単位コストを下げる、といういわゆる「規模の経済」を狙ったM&Aでもあります。ヤマダ、ヒノキヤ双方にとって良いM&Aだと思いますね。

 

■日本の市場で起きる「寡占化」とは?

住宅業界ではこれからもこういった話が増えていくでしょう。エリアを統合するような水平型のM&Aや、商流の川上と川下が統合するような垂直型のM&Aなど、資本集約が進んでいきます。
そのようにして、住宅市場のプレーヤーの数は集約されていき、地域ごとの各個社別の戦いからグループ間の戦いになっていくでしょう。

このように市場を構成するプレーヤー(事業者)が集約されていって、上位の主要プレーヤーによって市場が支配されていくことを「寡占化」といいます。一般的に、市場が成熟もしくは縮小を始めるくらいの段階になると寡占化が起きると言われています。

持ち家戸建住宅の新築着工棟数は、年々緩やかに減少しています。
20年ほど前は年間40万戸ほど着工がありましたが、最近は30万戸を切っています。2019年は28万8千戸でした。そして、この先、住宅購入層の人口が減少していくにつれ、減少スピードは加速していくと見られていて、2040年頃にはさらに今より4割ほど市場が縮小するという予想もあるくらいです。

市場が4割縮小すると何が起きるでしょうか?
市場を構成するプレーヤーの売上が一律に4割落ちるわけではありません。
4割のプレーヤーが市場から退場させられるのです。勝ち残った一部の業界大手や資本集約したグループ数社で市場をシェアするようになるのです。それが寡占化です。

 

■なぜ個店は大規模事業者に寡占化されてしまうのか?

この、市場の寡占化が起きているのは住宅業界だけではありません。
日本の市場そのものが成熟した市場です。人口減少を伴う少子高齢化で多くの市場は縮小していきます。

魚屋さん、肉屋さん、八百屋さん、時計屋さんとか洋品館など、個店で構成されていた街の商店街は、すでに大型スーパーやコンビニの台頭によって市場から退場させられました。
小売業界全体で見ても、アマゾンやネット通販大手などの大規模資本による寡占化が今も進行中です。

飲食業界でも同じです。チェーン居酒屋やファミレスなど、効率的に合理化された運営オペレーションを持つ店舗に、個店のレストランが対抗していくのは大変なことです。

経済を回すプレーヤーがどんどん集約されて、大規模な事業者によって生産と供給が効率的になされるようになることは消費者にとって悪いことではありません。より良いものがより安く手に入れることが出来るようになるわけですからね。

一方で、地域や街ごとの特色は失われていきます。画一的な市場になります。都市部ではすでにどの駅前も同じような大手やチェーンストアの看板ばかりです。

昔を懐かしむわけではありませんが、個人的には地域経済は地域のプレーヤーが回している方がいいと考えています。特に、外食とか小売りとかはその地域の特産を活かしたものに魅力を感じます。
日本の各地が持つ風土や文化に合ったものが、地域をよく知るプレーヤーによって供給され、それに価値を感じる人が購買する。そうして成立している地域が理想的な姿ではないかと思うのです。

そもそも、なぜ個店が大規模資本に寡占化されてしまうのかというと、まず生産性が低いからです。そして大規模資本にはない特色を出せていないからです。
大規模資本は、最新のテクノロジーを取り入れることが出来て、生産工程には無駄がなく、規模の経済性を発揮することで生産原価も低い、そしてマーケティング技術も高いので効率的に顧客を獲得していきます。

そんな大規模資本に対抗していくためには、大規模資本にはない特色を打ち出す必要があります。
体力勝負の価格競争では勝てませんので、自社にしかない強みを形にして、少し上の価格帯で勝ち残っていくべきです。そのようにして小規模なりに生産性を上げていくしかないのです。

 

■頑張れ、地元の工務店

話を住宅産業に戻します。
新築戸建て住宅市場では大手企業の市場シェアは2割ほどで、残りのおよそ8割は地域に根差して事業を行っている、「地元の工務店」と呼ばれる小規模なプレーヤーたちが担っています。

住宅事業は地域密着産業です。「地元の工務店」の中には、地域の風土、地域の文化に合ったこだわりの家づくりをしている会社が多くあります。住宅にとって大事な耐震性能や断熱性能、耐久性能でも、決して大手に見劣りしない家を丁寧に作っています。

しかし、良いものを作っているのだから高くて当たり前、というのではお客様はやってきません。品質を落とさずにコストを抑え、生産性を上げる努力を続ける必要はあるでしょう。

課題は生産性なのだから、生産性高いやり方を学び、自社内に取り込むことが出来れば必ず課題は解決できます。なにより中小工務店に足りていないのは、それを実行する「人財」です。経営者が自ら率先垂範で頑張るのはもちろん大事ですが、一人でやれることには限界があります。
有望な「人財」の採用と育成は経営者の最も重要な仕事のひとつです。意欲のある「人財」は、社会貢献度が高くて、自らも成長できる環境に身を置きたがるものです。
経営者は、社員に高い志と新しいものを取り入れる柔軟な思考を示してあげていただきたい。そして会社が成長した先にある夢を語っていただきたい。優秀な「人財」はそんな経営者の下に集まるものです。

住宅市場の8割を占め、地域の住環境を支えている地元の工務店。ここを市場の縮小とともに枯らしてしまうのではなく、成長させることが地域経済にとってとても大事なことだと思います。

地域の経済は地域のプレーヤーで回す。私たち支援事業者も微力ながらそこに少しでも貢献できればと思っています。

今回は以上です。

2020年9月15日 火曜日 17:33 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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