コロナ・ショックの影響は実体経済にも

今回は、新型コロナウイルスによる経済危機「コロナ・ショック」についてです。
いかにこの難局を乗り切るか。みなさん、頑張りましょう!

 

■コロナ・ショックは実体経済にも

新型コロナウイルスが猛威をふるっていますね。
感染が世界にも広がりつつあるようで、この先の見通しがつきにくくなってきした。
みなさんも感染されないようくれぐれもご注意を。

健康はもちろん心配ですが、経済も心配です。
日本経済は今、正念場に立たされています。
↓↓↓

<新型コロナで損失深刻 地方景気、悪化の恐れ>
(2020年3月2日付日本経済新聞)
『新型コロナウイルスの感染拡大が、地方景気を悪化させる恐れが強まってきた。中国からの航空便欠航やイベント中止による観光客急減に続き、部品の供給が滞っている製造業にも影響が及びつつある。地域によっては経済損失額が数カ月で1千億円に達するとの試算もあり、政府や日銀による各地の景気指標には先行き不安が目立つ。』

新型コロナウイルスによる経済停滞懸念が引き金を引いたとものと思われますが、世界の主要株式市場で株価が暴落しています。リーマン・ショックやチャイナ・ショックのように「コロナ・ショック」と言われるようになりました。
その影響は株式市場だけでなく、すでに実体経済にも及んでいます。

人の動きが止まっていますので、バスや航空、ホテルや旅館、観光地の小売店や飲食店など観光産業はとても厳しい状況です。新幹線も空港も明らかに人が少なくなりました。都内の飲食店などもすいていますね。
加えて、モノの動きも止まっていますので製造業にも影響が出ています。

 

■厳しい環境にある2020年度上半期をいかにしのぐか

もともと今、日本経済は減速傾向にあって、この先の見通しも弱含みでした。
2019年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、米中貿易戦争の余波や消費増税による消費の落ち込み、台風の被害などもあって、年率換算で前期比6.3%減とマイナス成長でした。

次の2020年1~3月期にどれくらい回復するかが注目されていたわけですが、それどころかその次の4~6月期も厳しい見通しが出始めています。
2020年度の上半期の日本経済がマイナス成長になるのはほぼ間違いありません。
あとは、どれだけのマイナスになるのか。どれだけの痛みで抑えられるのか、というところでしょう。

ただ、これはウイルスによる一時的な経済活動の停滞です。
新型コロナウイルスの検査体制が整って、重篤化するリスクの程度がはっきりしてきたり、効果的な治療法が出てきたり、感染が収束し始めたりすれば、世の中の需要は、必ず、一気に回復します。

その時に供給側である企業サイドが経済的に受けているダメージが少ないほど、経済はV字回復するはずです。大事なのは、その時に企業の経営状況が「重篤な状態」になっていないことです。

今、大企業の中にはほぼ休業状態になっているところもありますが、
中小・零細企業は経済活動が1か月でも止まったら会社が持ちません。

だから、感染予防には十分気を付けるとして、なんとか、細々とでもいいので経済活動を続けて今をしのがないといけません。

政府は、休業分の補償とか資金繰り支援することは明示しています。
現状、金額として出ているのは5,000億円の緊急支援。GDP500兆円の国としては少々足りないのではないかという印象がある規模ですね。

 

■今は資金調達環境しやすい環境

政府に頼ってばかりにもいきませんので、企業は自主防衛を取る必要があります。
私が関わっている工務店業界の経営者からも、部材入ってこないことで施工現場が止まったり、引き渡しが遅れることで資金繰りが悪化したりすることを心配する声が聞こえてきます。
決算月であることが多い3月末に向けて、竣工計画を立てていたのがズレることで売上・損益が悪化する会社も多くでるのではないかと思います。

ただ、今はまず、売上・利益よりもまずは当面をしのぐ手持ち資金を確保することです。
早めに金融機関に借入の相談をして、資金の手当てをすることをお勧めします。

幸い今は、資金調達がしやすい環境ではあります。
金融市場にお金は余っていますし、金融機関の経営状態は比較的健全です。ここがリーマン・ショックなどとはまったく違うところです。
日銀の黒田総裁も、「潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努める」とする緊急談話を昨日(3月2日)発表しました。

企業側にも借入余力はありそうです。
今回のコロナ・ショックの影響を受けそうな経営規模の小さい中小・零細企業でも、現在「借入依存度」はかなり低下しています。(借入依存度とは、総資産に占める借入金などの負債の割合のことです)

先日、日本経済新聞の「経済教室」(2020年2月27日付)に
植杉威一郎・一橋大学教授の論説が掲載されていましたが、そこに企業のこの約20年間の借入依存度の変化のデータがありました。

1998年4~6月期と2019年4~6月期の金融機関からの借入依存度を比較すると、中堅・中小企業は、1998年 42.6%→2019年 20.7%(21.9ポイント減)。
零細企業は、1998年 47.3%→2019年 39.2%(8ポイント減)。

1998年といえば、いくつかの日本の金融機関が破綻したりして、金融危機といわれた年です。統計的にみると、1998年の金融危機の時に比べて、中堅・中小・零細企業の借入依存度はかなり低い。つまり、手持ち資金に余裕がある企業は多いし、手持ち資金が乏しい企業でも借入できる余地は大きいとも言えそうです。

 

■金融機関への説明を尽くし、経営実態を理解してもらいましょう

しかし、当然のことですが、だからと言って銀行が無条件に融資をしてくれるわけではありません。
銀行がどこまでいっても懸念するのは、融資の不良債権化です。金融機関の経営は比較的健全とはいえども、景気の減速傾向にともなって不良債権処理費用は年々増えてはきています。

銀行にとっては、売り上げが立たなくなり、利益が確保できていない企業への融資は「赤字補填資金」です。原則、赤字企業の資金繰りを支えることは、銀行には出来ません。恐れるのは、もともと慢性的に経営不振だったかもしれない会社に対して追加融資することです。
こういう企業は今回の騒動が収束しても、経営が回復する見込みは乏しいからですね。

まず、企業側は金融機関に経営の実態を詳細に説明して、理解をしてもらうことです。
これまでの経営がどうであったか、今期は赤字になりそうでも、影響は一時的なもので今後十分回復が見込めるかどうか、そういったことを数字とともに説明を尽くすことです。

国や自治体、金融機関も経済的に厳しくなった企業の資金繰りを支援する動きを見せています。信用保証もつけたり、緊急的に制度融資の運用を開始したりしています。
ぜひうまく活用し、この難局をしのぐ資金の手当てを進めていただきたいと思います。

懸念するのは、コロナ騒動が収束し、経済回復する段階になるまでに、企業が再び立ち上げる力を失うくらいに痛んでしまうことです。頑張って、何とか生き延びましょう。

今回は以上です。

2020年3月3日 火曜日 14:43 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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