世界的な株価下落、国家レベルの「買い場』にどう備えるか

非常事態ですね。今この時をどう生き抜くかは当然大事ですが、国際社会はその先も見据えているようです。

 

■株式相場は乱高下、「今は買い場」

「コロナショック」で株価が大幅に下落しましたね。
日経平均株価は、2020年1月20日の年初来高値24,083円から、
3月19日には16,552円になりました。わずか2か月で30%以上の下落です。

これで大きな損失を抱えてしまった人はかなりいると思います。
経済的なダメージはかなりのものです。
こういった株価が乱高下することは定期的に起きています。
こういった相場の変化をチャンスと捉える動きも当然あります。
資金的に余裕のある個人や企業にとっては絶好の仕入れタイミングですし、また、この機会に新たに株式投資を始めようかと思う人も多いでしょう。
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<ネット証券 口座開設急増>
(2020年3月27日付日本経済新聞)
『インターネット証券で新規口座を開設する個人が急増している。
楽天証券では2月の開設数が初めて10万を超え、3月は2月比で3割程度増えそうだという。初心者が足元の株安を「投資を始める好機」と捉えている。』

ネット系大手のSBI証券、楽天証券、松井証券、auカブコム証券の1~3月の開設数は初めて50万口座を超える勢いとのこと。これはリーマン・ショックなども含めて、過去最大級とのことです。

そのような「今が買い場」と考える人も多いのでしょう。
日経平均株価も1万9千円台に戻ってきています(4月14日時点)。

 

■国家レベルの「買い場」に対してどう対応するか

株式相場の下落は日本だけでなく、世界的な動きですが、
このような「買い場」の話も国家レベルになるとまた話は変わります。
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<豪、中国勢の投資に歯止め コロナで株急落、買いたたき防ぐ>
(2020年4月11日付日本経済新聞)
『オーストラリアが中国からの投資に一段と警戒感を強めている。
政府は今後、海外からの全投資案件について規制当局の審査を義務付けた。
年間数兆円の買収で攻勢を強めてきた中国の存在が念頭にある。』

オーストラリアの株式市場も「コロナショック」の影響で、一時はピークから3割以上値下がりしました。この機をとらえて、どうやら中国系の企業やファンドが「爆買い」にきていて、それに対抗するためにオーストラリア当局が海外企業による国内投資に規制をかける、という記事です。

記事によると、オーストラリアはこれまで外国からの投資をむしろ歓迎していて、投資額が2億7500万豪ドル(約180億円)以下の案件なら、審査は不要でした。それが例え、乳製品や食品企業などのオーストラリアの基幹産業とも言える企業や、港湾や通信などの国防にも関係する主要インフラ産業であっても、です。
しかし、さすがに警戒感が高まったのでしょう。『豪政府は今後、一定期間は投資金額にかかわらず、海外からの全ての投資案件について、投資の可否を判断する審査を外国投資審査委員会(FIRB)に義務づけた。』(同記事)ということです。

■欧米各国は、規制の強化や国家ファンドを対抗策として発表

こういった自国の重要産業の防衛策を取っているのはオーストラリアだけではありません。
貿易戦争で中国と真っ向から対立しているアメリカはもとより、比較的中国との取引が多く、経済的な結びつきが強い欧州各国でも対内投資規制の対策が取られています。

ドイツは6,000億ユーロ(約72兆円)の「経済安定化基金」を設立しましたが、そのうち1,000億ユーロ(約12兆円)は特定企業への資本増強に使われるようです。主に、国の重要技術やインフラを持つ企業に対してです。
早速、フォルクスワーゲンやルフトハンザ航空への支援を明らかにしましたね。

イタリアでは、「外国企業の買収から国内企業を守るため政府の権限を強化する措置」を4月6日に発表しました。
主に、銀行や保険などの金融機関やエネルギー産業など、かなり広い業種を対象としていますが、対象業種の企業の株式を、10%を超えて取得しようとする外国企業に対して適用されるようです。

スペインではすでに「外国からの直接投資に対する規則」を新たに導入済です。こちらも重要産業として指定した企業の10%を超える株式投資に対して適用します。

世界のどの国も、自国の存続と発展、ならびに安全保障を考えた時に、
守らなければならない産業・企業があります。
航空や自動車などの運輸産業、港湾や空港などのインフラ、天然資源、
電力、通信、ハイテク産業、その他自国が主要産業と位置付けている企業群がそれに当たります。

それらの優良な企業は総じて企業価値が高いと思われますが、それが今回のような相場の下落局面で、時価総額が減り、いわば「手が届く」価格になるわけです。そこは当然、外国に奪われないように国家として守らねばならないでしょう。

 

■「日本の財産」を守ることへの備えも大事

さて日本はどうでしょうか。
日本にも外為法で外国資本による対内直接投資に対する事前届け出制度があります。対象業種としては、運輸、航空、電力、ガス、通信、サイバーセキュリティ、ソフトウェアなどなど多岐にわたる業種が指定されています。
この外為法は割と頻繁に改正されています。2020年も規制強化の方向で改正される見通しです(株式取得の閾値の10%→1%への引き下げ等)。

問題は、現在のような通常ではない相場の時などに機動的に対応できるかどうかです。
株価下落の結果として、国家安全保障に関わるような業種の企業の時価総額もかなり下がっています。外国資本の戦略的な企業買収に対して備えておく必要はあるでしょうね。
少なくとも、欧米各国のように方針を決めて世界に発信するだけでも効果はあると思います。

新型コロナへの経済対策は、今のところ生活支援や中小企業の資金繰り対策などにフォーカスされているのは連日報道されている通りです。
当然、これらは非常に重要なことですが、あわせて未来を見据えて安全保障上重要な産業、いわば「日本の財産」を守ることに備えるのもとても重要なことですね。

今回は以上です。
一日も早く平穏な日々が戻りますように。

2020年4月14日 火曜日 17:46 投稿者:HyAS&Co.川瀬太志
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